異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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5 おまえらの目、腐ってんぞ

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「まずは遠くから見てもらおう」

 王様と老人ーー宮廷魔導師のクラビッツさんというそうだーーに案内されて王宮の外れの方へやって来た。

「あそこにいるのが娘だ」

 花壇に水やりをしている細身の女性がいた。こちらに背を向けているので、顔は見えない。

 一通り水やりを終えたお姫様が振り返った。



 ズキューン!



 音が聞こえた。

 胸のど真ん中、一番柔らかい部分を撃ち抜かれた。

 同時にーー



 バリバリバリ



 もうひとつ音が聞こえた。

 全身が雷に打たれた。

 で、悟った。

 ああ、これが一目惚れってやつか……

 と、まあ、件のお姫様は超絶美少女だった。

 何でこの娘が容姿で嫌われるんだ!?   この国の連中、揃って目が腐ってんぞ。いや、目だけじゃねえ。その奥まで腐ってやがるに違いねえ。何にしてもこの娘を悲しませる罪、万死に値する。

「ーーどの、勇者殿!」

 頭の中は活発に働いていたのだが、身体の方はフリーズしてしまっていたらしい。王様に呼び掛けられて、我に返った。

「…やはり駄目か……」

「いやいやいや!」

 思わず声を荒げてしまう。

「あんたたちは本気であの娘をブサイクだってのか!?」

「…そこまでストレートには言わぬが……」

「このドアホウども!」

 身分などすっ飛ばして、反射的に怒鳴りつけていた。

「おまえらの目は腐ってる。何であの娘がブサイクなんて虐げられなきゃいかんのだ!?   この国の連中全員あの娘に土下座して謝れ!!」

 王様も宮廷魔導師のじいさんも目を白黒させている。

 怒りが収まらず、一発くらい殴ってやろうかと思った時ーー

「あの……」

 後ろから声がかかって振り向くと、お姫様がいた。

「うおっ!?」

 あまりに近くてビックリした。

「あ、ご、ごめんなさい」

 お姫様が慌てて顔を背けた。一瞬垣間見えた悲しげな表情に胸を抉られる。

 ヤバい。勘違いさせた。

「ちょっと待って。近くてビックリしただけだから!」

 咄嗟にお姫様の手首を掴む。

「え?」

「見る目のない連中が何を言ったか知らないけど、あなたは最高に綺麗です。自信持ってください!」

「……」

 お姫様は目を真ん丸に見開いて固まっている。そんな表情も可愛いのだから、美人は得だ。

「俺、高杉孝太郎っていいます。お名前、教えてもらえますか?」

「シ、シルヴィアです……」

「名前も素敵ですね」

 後になって、シルヴィアは笑って言った。

「見ず知らずの人に突然べた褒めされて、すごくビックリしたし、褒められたことなんてなかったから、すごく嬉しかったーー恥ずかしかったけど」

 これがシルヴィアとのファーストコンタクトだった。
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