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6 そりゃ拗らせるよな……
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「か、からかわないでください」
驚きから立ち直ったシルヴィアは、固い表情で言った。
「からかってなんかいないぞ」
「わ、わたしのことを、き、綺麗だなどと、からかいでなければ何だと言うのですか」
「……」
王様たちを睨むと、気まずそうに顔を伏せた。
人からの称賛を素直に信じられないのは、ここに至るまでの生活環境が原因なわけだから、後でこいつらには小一時間ほど説教をくれてやる。
「何度でも言うけど、シルヴィアは本当に綺麗だよ。俺が知ってる女の人の中で一番綺麗だ」
「……」
…うん、それは詐欺師か何かを見る目だよね。美人さんにそういう目で見られるのは、地味にキツいかもだよ……
これも後の述懐。
「めちゃくちゃ胡散臭かった。欠片も信用できなかった」
シルヴィアは父王に向き直る。
「お父様、お気持ちは嬉しいのですが、無理にお相手を探すのはもうやめてください。わたしのような女が結婚できるとは思っていませんし、する気もありませんから」
あーあ、かなり拗れちゃってるな。無理もねえけど……
長期戦になるのはしょうがない。ただ、このままだととっかかりさえ掴めない。それは困る。
こういう時は多少強引にーー
「シルヴィアさん、そりゃあないよ」
「え?」
「俺、そのために異世界から召喚されたんだぜ。それなのに一方的に要らないって言われて捨てられるのって、あまりにもひどくないか?」
「え? え?」
戸惑うのはあたりまえだ。多分シルヴィアはそのへんの事情にはノータッチだろうからな。
ま、俺にとってはそこにチャンスがあるわけでーー
「…そうだな…とりあえず、俺が元の世界に戻れるようになるまで限定のお試し期間ってことでどうだい?」
「お試し期間?」
「ああ。姫は俺のことが信用できないし、そんな相手と結婚なんてもってのほかってことだよな」
あえて断定口調で言う。
案の定シルヴィアは困った顔になる。
「あ、いえ…その…何と言うか……」
「俺は姫に一目惚れしたから、この話を受けてもいい、って言うか、受けたいと思ってる」
「ひ、一目惚れっ!?」
シルヴィアの目が泳ぎ始めた。
「そうだよ。それくらい綺麗なんだってば」
「そ、そんな……」
やっと本気が伝わったかな。顔が紅潮してきた。
「ただ、このままじゃチャンスすらもらえずにお払い箱だよね。さすがにそれはどうかと思うんだよ」
「あう……」
「姫の意向は尊重したいから、無理強いはしない。でも、もしよかったら、お試し期間ってことで、俺って人間を見てくれないか?」
「……」
「その上でやっぱり俺とは無理だってことなら、おとなしく元の世界に戻るよ」
シルヴィアは助けを求めて父王を見たが、王様は重々しく頷くだけだった。
ややあって、シルヴィアは小さなため息をついた。
「…わかり、ました……」
「ありがとう!」
シルヴィアの手を取って、ぶんぶん振り回す。
びっくりはしたようだったが、手を振り払われるようなことはなかった。
ほんのり顔が赤くなってるように見えたのは、俺の願望かな?
驚きから立ち直ったシルヴィアは、固い表情で言った。
「からかってなんかいないぞ」
「わ、わたしのことを、き、綺麗だなどと、からかいでなければ何だと言うのですか」
「……」
王様たちを睨むと、気まずそうに顔を伏せた。
人からの称賛を素直に信じられないのは、ここに至るまでの生活環境が原因なわけだから、後でこいつらには小一時間ほど説教をくれてやる。
「何度でも言うけど、シルヴィアは本当に綺麗だよ。俺が知ってる女の人の中で一番綺麗だ」
「……」
…うん、それは詐欺師か何かを見る目だよね。美人さんにそういう目で見られるのは、地味にキツいかもだよ……
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あーあ、かなり拗れちゃってるな。無理もねえけど……
長期戦になるのはしょうがない。ただ、このままだととっかかりさえ掴めない。それは困る。
こういう時は多少強引にーー
「シルヴィアさん、そりゃあないよ」
「え?」
「俺、そのために異世界から召喚されたんだぜ。それなのに一方的に要らないって言われて捨てられるのって、あまりにもひどくないか?」
「え? え?」
戸惑うのはあたりまえだ。多分シルヴィアはそのへんの事情にはノータッチだろうからな。
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「…そうだな…とりあえず、俺が元の世界に戻れるようになるまで限定のお試し期間ってことでどうだい?」
「お試し期間?」
「ああ。姫は俺のことが信用できないし、そんな相手と結婚なんてもってのほかってことだよな」
あえて断定口調で言う。
案の定シルヴィアは困った顔になる。
「あ、いえ…その…何と言うか……」
「俺は姫に一目惚れしたから、この話を受けてもいい、って言うか、受けたいと思ってる」
「ひ、一目惚れっ!?」
シルヴィアの目が泳ぎ始めた。
「そうだよ。それくらい綺麗なんだってば」
「そ、そんな……」
やっと本気が伝わったかな。顔が紅潮してきた。
「ただ、このままじゃチャンスすらもらえずにお払い箱だよね。さすがにそれはどうかと思うんだよ」
「あう……」
「姫の意向は尊重したいから、無理強いはしない。でも、もしよかったら、お試し期間ってことで、俺って人間を見てくれないか?」
「……」
「その上でやっぱり俺とは無理だってことなら、おとなしく元の世界に戻るよ」
シルヴィアは助けを求めて父王を見たが、王様は重々しく頷くだけだった。
ややあって、シルヴィアは小さなため息をついた。
「…わかり、ました……」
「ありがとう!」
シルヴィアの手を取って、ぶんぶん振り回す。
びっくりはしたようだったが、手を振り払われるようなことはなかった。
ほんのり顔が赤くなってるように見えたのは、俺の願望かな?
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