11 / 179
11 初仕事
しおりを挟む
駆け込んで来た男は、そのままの勢いでルミさんの前にやって来た。俺よりは年上だろうが、まだ若そうだ。
「あら、オランドさん。どうしたんですか、そんなに慌てて」
「大至急馬を手配できないか!?」
「馬ですか?」
困った感じにルミさんの眉が寄る。
シルヴィアから教えてもらったこの世界の事情だと、馬は希少だったはずだ。王宮にも五頭もいなかったと思う。
「心当たりは全部当たったんだが、全て出払ってしまっていて……」
「そうですか……」
「ルミちゃんだけが頼りなんだよ。ルミちゃんの顔の広さで何とかならないか!?」
こうやって緊急時に頼られてるところを見ると、ルミさんは本当に仕事はできるらしい。
ただ、そのルミさんをもってしても、馬の手配は手に余るようだ。困り果てている。
「急ぎの荷なんですか?」
「今日中にこれをセリアに届けなければならないんだ」
「今日中にセリアって……馬でも無理ですよ!?」
「しかし、今日中にこれを届けなければ、セリアの商会が潰されてしまうんだ。そうなれば、百人以上が路頭に迷うことになる……」
「……」
場の空気が重くなる。
「セリアって遠いの?」
首を突っ込んでいいか迷ったが、とりあえず訊いてみた。
「普通は歩いて一日半というところです。ですが、もう日が傾きかけています。馬を手配できたとしても、夜道は無理が利きませんので今日中というのは……」
一時間に四キロで八時間歩けば一日三十二キロ。五割増しで約五十キロってところか。こないだの感触なら何とかなるかな……
「行けるかもしれない」
「「え!?」」
ルミさんとオランドさんの素っ頓狂な声が重なった。
頭の中でした計算をルミさんに確認すると、概ね間違いないとのお墨付きをもらえた。
「その距離なら多分行けると思うけど、どうする?」
「こちらの方は?」
訝しげなオランドさん。まあ、この反応が普通だよな。
「今日冒険者になったコータローさんです」
「今日!?」
…そりゃ驚くだろう。そこは嘘でも少し盛って話すところじゃないのか?
「確かにまだ何の実績もありませんが、コータローさんは絶対大物になります。あたしの勘がそう言ってます。どうしますか?」
「むむう…ルミちゃんのお勧めか……しかし、人間があの距離をあの時間で走れるのか?」
「普通なら無理だろうが、俺の称号は『韋駄天』だぜ」
カッコよく決めたつもりだったのだが……
「イダテン?」
「何だ、それ?」
通じなかった……
ルミさんが首を傾げる。
「…あれ……イダテンって…どこかで聞いたような…それも、つい最近……あーっ!」
こらこら、人を指さすのは良くないぞ。
「シルヴィア様のお相手の、風みたいに走ってた人!?」
ルミさんのテンションがいきなり跳ね上がった。
「あら、オランドさん。どうしたんですか、そんなに慌てて」
「大至急馬を手配できないか!?」
「馬ですか?」
困った感じにルミさんの眉が寄る。
シルヴィアから教えてもらったこの世界の事情だと、馬は希少だったはずだ。王宮にも五頭もいなかったと思う。
「心当たりは全部当たったんだが、全て出払ってしまっていて……」
「そうですか……」
「ルミちゃんだけが頼りなんだよ。ルミちゃんの顔の広さで何とかならないか!?」
こうやって緊急時に頼られてるところを見ると、ルミさんは本当に仕事はできるらしい。
ただ、そのルミさんをもってしても、馬の手配は手に余るようだ。困り果てている。
「急ぎの荷なんですか?」
「今日中にこれをセリアに届けなければならないんだ」
「今日中にセリアって……馬でも無理ですよ!?」
「しかし、今日中にこれを届けなければ、セリアの商会が潰されてしまうんだ。そうなれば、百人以上が路頭に迷うことになる……」
「……」
場の空気が重くなる。
「セリアって遠いの?」
首を突っ込んでいいか迷ったが、とりあえず訊いてみた。
「普通は歩いて一日半というところです。ですが、もう日が傾きかけています。馬を手配できたとしても、夜道は無理が利きませんので今日中というのは……」
一時間に四キロで八時間歩けば一日三十二キロ。五割増しで約五十キロってところか。こないだの感触なら何とかなるかな……
「行けるかもしれない」
「「え!?」」
ルミさんとオランドさんの素っ頓狂な声が重なった。
頭の中でした計算をルミさんに確認すると、概ね間違いないとのお墨付きをもらえた。
「その距離なら多分行けると思うけど、どうする?」
「こちらの方は?」
訝しげなオランドさん。まあ、この反応が普通だよな。
「今日冒険者になったコータローさんです」
「今日!?」
…そりゃ驚くだろう。そこは嘘でも少し盛って話すところじゃないのか?
「確かにまだ何の実績もありませんが、コータローさんは絶対大物になります。あたしの勘がそう言ってます。どうしますか?」
「むむう…ルミちゃんのお勧めか……しかし、人間があの距離をあの時間で走れるのか?」
「普通なら無理だろうが、俺の称号は『韋駄天』だぜ」
カッコよく決めたつもりだったのだが……
「イダテン?」
「何だ、それ?」
通じなかった……
ルミさんが首を傾げる。
「…あれ……イダテンって…どこかで聞いたような…それも、つい最近……あーっ!」
こらこら、人を指さすのは良くないぞ。
「シルヴィア様のお相手の、風みたいに走ってた人!?」
ルミさんのテンションがいきなり跳ね上がった。
1
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる