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21 婚約
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「え? え? え?」
シルヴィアの目が俺の顔と懐剣の間を何往復もする。
「買った時は意味を知らなかった。でも、後で意味はちゃんと聞いた。その上で、これをシルヴィアに贈りたいと思った」
「……」
両手を口に当てたシルヴィアは、決壊寸前まで瞳を潤ませている。
シルヴィアの手を取る。
正面から視線を合わせる。
「お試し期間を終わりにして、俺と結婚してください」
「……っ……」
こぼれそうになる涙を必死に堪えるシルヴィア。
「ふぁい」
涙を堪えながらだったので少々乱れたが、シルヴィアははっきりと頷いてくれた。
「ありがとう!」
断られることはないだろうと信じてはいたが、実際にOKをもらえれば、天にも舞い上がりそうな気分になる。
「ありがとう、シルヴィア。本当に嬉しいよ。一生大切にするから」
「わ、わたしの方こそ……こんなわたしを…好きになってくれて……本当に…ありがとう……」
思いが通じ合うって、ホントに素晴らしい。今なら何でもできるって本気で思う。
抱き寄せると、素直に身体を預けてくれる。この柔らかくて温かい存在に、どんな言葉も陳腐になってしまうほどの愛しさを感じる。
いつまでも幸せな気分に浸っていたいところだったのだがーー
部屋の外が何やら騒がしい。ドタバタした空気が伝わってくる。
シルヴィアと顔を見合わせたが、心当たりはなさそうだ。
何かあったんだとしたらまずいと思って外を確認したのだが、扉を開けた瞬間に激しく脱力した。
「…何やってんすか……」
イリスさんをはじめとする侍女数人が、王様を取り押さえていたのだ。
あんた一体何したんだ、と思ったがすぐに真相に思い至った。どこかで話を聞きつけて覗きに来たのだろう。それを見つけたイリスさんがきっちり仕事をしてくれた、ということだろう。
…この国の行く末に、不安しか感じない……
「も、申し訳ございません、コータロー様」
「いやいや、イリスさんはこれっぽっちも悪くないから。悪いのは立場をわきまえないこの王様でしょ」
「婿殿、つれないことを言わんでくれい。これもすべて娘可愛さからくる親心」
「覗きなんて、年頃の女の子にしてみりゃあ一番やられたくないことだと思うけど」
シルヴィアのみならず、イリスさんや他の侍女の皆さんにも頷かれ、王様は顔色をなくした。
「す、すまなかったあ!」
王様がみっともないくらい取り乱す。娘に嫌われるのは、父親にとっては耐え難い苦痛なのだろう。
「さあ王様、これ以上邪魔したら本当に嫌われますよ」
襟首を掴まれた王様が連行されていく。あの人、本当に王様なのか? 威厳がないにも程があるだろう。
邪魔者は消えたが、壊れた空気は元には戻らない。
シルヴィアを見ると、やはりどことなく残念そうにしている。
そりゃそうだよな。あれで終わったら泣きたくなる。俺でさえそう思うんだから、シルヴィアにしてみれば余計に無念さがあるんだろう。
ここは甲斐性の見せどころなんだろうが、経験不足なので、上手くできるか、自信がない。
でも、やるしかない。
「とんだ邪魔が入っちまったけど、まだ言ってないことがあるんだ」
「はい?」
一応周りを確認する。
「ちょっと耳貸して」
シルヴィアに顔を寄せ、耳許で囁く。
「愛してる」
一瞬ぽかんとしたシルヴィアだったが、意味を理解するのと同時に爆発的に赤面した。
愛を囁くのは正直照れくさいが、この可愛い表情が見られるならお釣りがくる。
俺、頑張ったよね。
大役を果たした気になっていたら、まだ続きがあった。
「あ、あ、あ、あの、あの」
「ん?」
「…わ、わたしも…愛してます……」
消え入りそうな声だったが、はっきり耳に届いた。
「!」
うおー、嬉し恥ずかし、たまんねー
めちゃくちゃテンション上がるわー
「シルヴィアっ」
思いっきり抱きしめた。抱きしめずにはいられなかった。
潤んだ瞳で見つめられ、色々なものが限界を超えた。
ひょい、とシルヴィアをお姫様だっこで抱えあげ部屋に入る。
これ以上邪魔が入らないように鍵もかけた。
…………
シルヴィアの目が俺の顔と懐剣の間を何往復もする。
「買った時は意味を知らなかった。でも、後で意味はちゃんと聞いた。その上で、これをシルヴィアに贈りたいと思った」
「……」
両手を口に当てたシルヴィアは、決壊寸前まで瞳を潤ませている。
シルヴィアの手を取る。
正面から視線を合わせる。
「お試し期間を終わりにして、俺と結婚してください」
「……っ……」
こぼれそうになる涙を必死に堪えるシルヴィア。
「ふぁい」
涙を堪えながらだったので少々乱れたが、シルヴィアははっきりと頷いてくれた。
「ありがとう!」
断られることはないだろうと信じてはいたが、実際にOKをもらえれば、天にも舞い上がりそうな気分になる。
「ありがとう、シルヴィア。本当に嬉しいよ。一生大切にするから」
「わ、わたしの方こそ……こんなわたしを…好きになってくれて……本当に…ありがとう……」
思いが通じ合うって、ホントに素晴らしい。今なら何でもできるって本気で思う。
抱き寄せると、素直に身体を預けてくれる。この柔らかくて温かい存在に、どんな言葉も陳腐になってしまうほどの愛しさを感じる。
いつまでも幸せな気分に浸っていたいところだったのだがーー
部屋の外が何やら騒がしい。ドタバタした空気が伝わってくる。
シルヴィアと顔を見合わせたが、心当たりはなさそうだ。
何かあったんだとしたらまずいと思って外を確認したのだが、扉を開けた瞬間に激しく脱力した。
「…何やってんすか……」
イリスさんをはじめとする侍女数人が、王様を取り押さえていたのだ。
あんた一体何したんだ、と思ったがすぐに真相に思い至った。どこかで話を聞きつけて覗きに来たのだろう。それを見つけたイリスさんがきっちり仕事をしてくれた、ということだろう。
…この国の行く末に、不安しか感じない……
「も、申し訳ございません、コータロー様」
「いやいや、イリスさんはこれっぽっちも悪くないから。悪いのは立場をわきまえないこの王様でしょ」
「婿殿、つれないことを言わんでくれい。これもすべて娘可愛さからくる親心」
「覗きなんて、年頃の女の子にしてみりゃあ一番やられたくないことだと思うけど」
シルヴィアのみならず、イリスさんや他の侍女の皆さんにも頷かれ、王様は顔色をなくした。
「す、すまなかったあ!」
王様がみっともないくらい取り乱す。娘に嫌われるのは、父親にとっては耐え難い苦痛なのだろう。
「さあ王様、これ以上邪魔したら本当に嫌われますよ」
襟首を掴まれた王様が連行されていく。あの人、本当に王様なのか? 威厳がないにも程があるだろう。
邪魔者は消えたが、壊れた空気は元には戻らない。
シルヴィアを見ると、やはりどことなく残念そうにしている。
そりゃそうだよな。あれで終わったら泣きたくなる。俺でさえそう思うんだから、シルヴィアにしてみれば余計に無念さがあるんだろう。
ここは甲斐性の見せどころなんだろうが、経験不足なので、上手くできるか、自信がない。
でも、やるしかない。
「とんだ邪魔が入っちまったけど、まだ言ってないことがあるんだ」
「はい?」
一応周りを確認する。
「ちょっと耳貸して」
シルヴィアに顔を寄せ、耳許で囁く。
「愛してる」
一瞬ぽかんとしたシルヴィアだったが、意味を理解するのと同時に爆発的に赤面した。
愛を囁くのは正直照れくさいが、この可愛い表情が見られるならお釣りがくる。
俺、頑張ったよね。
大役を果たした気になっていたら、まだ続きがあった。
「あ、あ、あ、あの、あの」
「ん?」
「…わ、わたしも…愛してます……」
消え入りそうな声だったが、はっきり耳に届いた。
「!」
うおー、嬉し恥ずかし、たまんねー
めちゃくちゃテンション上がるわー
「シルヴィアっ」
思いっきり抱きしめた。抱きしめずにはいられなかった。
潤んだ瞳で見つめられ、色々なものが限界を超えた。
ひょい、とシルヴィアをお姫様だっこで抱えあげ部屋に入る。
これ以上邪魔が入らないように鍵もかけた。
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