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32 食事会
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時間がきて、俺とシルヴィアは指定された部屋へ向かった。
途中、すれ違う文官、武官たちが驚いた視線を向けてくる。ほとんど本宮にくることのないシルヴィアが出向いてきたことに驚いているようだが、話しかけてくることはなかったので、こちらもスルーした。
到着した部屋には既に王様が待っていた。ニコニコと親馬鹿丸出しの笑顔で迎えてくれる。
「おお、よく来てくれたね。清楚なドレスがとても似合っている」
目を細める王様は本当に嬉しそうだ。
「お待たせしてしまったようで、申し訳ありません」
「いやいや、まだ時間前だし、全員揃っているわけでもない」
促されて席に着く。
しばし王様と当たり障りのない会話で時間をつぶすが、他の参加者が一向に現れない。
時間にはなっているはずだが、現れないだけでなく、遅れる旨の連絡すらない。
最初のうちは父親に笑顔を見せていたシルヴィアだったが、時間が経つにつれ口数も少なくなり、俯き加減になっていく。
これだけ露骨にやられれば、俺でも気づく。この食事会、完全に王様の空回りだと。他の家族は歓迎してくれてはいないのだろう。願わくは、その反感が俺に向いていて欲しいところだ。
テーブルの下でシルヴィアの手を握る。小さな震えを抑え込むつもりで力を込めると、泣き出しそうな顔がこちらを向いた。
さすがに居心地が悪くなったのか、王様が従者に呼びに行かせた。それによってようやく他の家族が顔を揃えた。
王妃とシルヴィアの妹二人、俺より少し年上に見える男は公爵家の長男で上の妹の婚約者らしい。
何か知らんが、揃いも揃って不機嫌そうな面してやがる。最低限の礼儀を払うつもりもないようだ。
とりあえず心の臨戦態勢は調えておこう。こちらからことを荒立てることはないが、理不尽な言いがかりをつけてくるようなら、黙っているつもりもない。
「お待たせしてしまったようで、ごめんなさいね」
到底詫びているとは思えない棒読み口調で王妃が言った。どう解釈しても人の神経を逆立てるのを目的としているようにしか聞こえない。
だが、ここはまだ我慢だ。
「いえ、お忙しい中わざわざお時間をいただいて、恐縮です」
可能な限り丁寧に返答すると、王妃の表情が意外そうに動いた。
「今日は新たに増えることになった家族の顔合わせだ。まずはシルヴィアの婚約者、コータロー。召喚勇者にして今は冒険者として活動している。ギルマスが言うには、若手の有望株だそうだ」
…誰だよ、ギルマスって…会ったことねえぞ……
王様の厚意だと思うことにしよう。わざわざ話をややこしくすることもないだろう。
「高杉孝太郎です。まだこの世界に慣れていないのでご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いいたします」
四人とも固い表情で頷くだけで、言葉は返してこなかった。
「こちらから、ワシの妃のディアナ、次女のアンジェリーナ、その婚約者でエルダー公爵家の長男ウェイン殿、そして三女のマリエールだ。よろしく頼む」
「よろしくお願いいたします」
改めて頭を下げたが、またしても返事はなかった。
気分悪ぃな、こいつら。王族だかなんだか知らねえが、人としてどうなんだ。
王様はかなり渋い表情をしていたが、諌めたりすることはなかった。
正直帰ろうかと思ったが、どうやら悪意の矛先は俺に向いているようだったので、我慢した。俺の短気でシルヴィアの立場を悪くするわけにはいかない。
とは言え、ずっとこの調子でやられたら、我慢しきれるかどうか、自信はない……
ともあれ、料理が運ばれてきて、食事会は始まった。
途中、すれ違う文官、武官たちが驚いた視線を向けてくる。ほとんど本宮にくることのないシルヴィアが出向いてきたことに驚いているようだが、話しかけてくることはなかったので、こちらもスルーした。
到着した部屋には既に王様が待っていた。ニコニコと親馬鹿丸出しの笑顔で迎えてくれる。
「おお、よく来てくれたね。清楚なドレスがとても似合っている」
目を細める王様は本当に嬉しそうだ。
「お待たせしてしまったようで、申し訳ありません」
「いやいや、まだ時間前だし、全員揃っているわけでもない」
促されて席に着く。
しばし王様と当たり障りのない会話で時間をつぶすが、他の参加者が一向に現れない。
時間にはなっているはずだが、現れないだけでなく、遅れる旨の連絡すらない。
最初のうちは父親に笑顔を見せていたシルヴィアだったが、時間が経つにつれ口数も少なくなり、俯き加減になっていく。
これだけ露骨にやられれば、俺でも気づく。この食事会、完全に王様の空回りだと。他の家族は歓迎してくれてはいないのだろう。願わくは、その反感が俺に向いていて欲しいところだ。
テーブルの下でシルヴィアの手を握る。小さな震えを抑え込むつもりで力を込めると、泣き出しそうな顔がこちらを向いた。
さすがに居心地が悪くなったのか、王様が従者に呼びに行かせた。それによってようやく他の家族が顔を揃えた。
王妃とシルヴィアの妹二人、俺より少し年上に見える男は公爵家の長男で上の妹の婚約者らしい。
何か知らんが、揃いも揃って不機嫌そうな面してやがる。最低限の礼儀を払うつもりもないようだ。
とりあえず心の臨戦態勢は調えておこう。こちらからことを荒立てることはないが、理不尽な言いがかりをつけてくるようなら、黙っているつもりもない。
「お待たせしてしまったようで、ごめんなさいね」
到底詫びているとは思えない棒読み口調で王妃が言った。どう解釈しても人の神経を逆立てるのを目的としているようにしか聞こえない。
だが、ここはまだ我慢だ。
「いえ、お忙しい中わざわざお時間をいただいて、恐縮です」
可能な限り丁寧に返答すると、王妃の表情が意外そうに動いた。
「今日は新たに増えることになった家族の顔合わせだ。まずはシルヴィアの婚約者、コータロー。召喚勇者にして今は冒険者として活動している。ギルマスが言うには、若手の有望株だそうだ」
…誰だよ、ギルマスって…会ったことねえぞ……
王様の厚意だと思うことにしよう。わざわざ話をややこしくすることもないだろう。
「高杉孝太郎です。まだこの世界に慣れていないのでご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いいたします」
四人とも固い表情で頷くだけで、言葉は返してこなかった。
「こちらから、ワシの妃のディアナ、次女のアンジェリーナ、その婚約者でエルダー公爵家の長男ウェイン殿、そして三女のマリエールだ。よろしく頼む」
「よろしくお願いいたします」
改めて頭を下げたが、またしても返事はなかった。
気分悪ぃな、こいつら。王族だかなんだか知らねえが、人としてどうなんだ。
王様はかなり渋い表情をしていたが、諌めたりすることはなかった。
正直帰ろうかと思ったが、どうやら悪意の矛先は俺に向いているようだったので、我慢した。俺の短気でシルヴィアの立場を悪くするわけにはいかない。
とは言え、ずっとこの調子でやられたら、我慢しきれるかどうか、自信はない……
ともあれ、料理が運ばれてきて、食事会は始まった。
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