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40 女神を超えた日
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過去最高の討伐数イコール過去最高の稼ぎというわけで、自然と足取りは軽くなった。
「これでやっと……」
欲しい物があるのだ。そのために頑張って稼いだわけで、やっと目標額に達したと思うと、ついついにやけてしまう。
かなり有頂天だったのだがーー
「あれ、ない?」
昨日まで店頭に飾ってあったブツがなくなっている。
まさか……
血の気の引く思いを味わいながら店員さんに話を聞くと「さっき売れました」とのつれない返事。
マジか……
思わずその場に崩れ落ちそうになったのを何とかこらえ、鉛でも詰めたかのように重くなった足を引きずって店を後にした。
「うあー、何で買おうとした瞬間に売り切れるんだよ……」
悔やんでも悔やみきれない。後一日早ければ、というのがリアルに悔しさを煽る。
「…別のを探すしかないか…でも、あそこまで気に入る物って見つかるかな……」
探すしかない。絶対にもっといいやつを見つけだす。
決意を新たにしていたら、道の向こうからジャックがやって来た。
「おう、ちょうどよかった。ガンテスさんから届いたぞ」
「マジ!? よっしゃ」
と喜びはしたものの、このままでは計画を実行できない。
ジャックのところでいいのを扱っていないか訊いてみたら、変なことを言われた。
「とりあえず家に帰れ」
「は?」
「帰ればわかる」
何のこっちゃと思ったが、帰ってみたら本当にわかった。
シルヴィアが俺の欲しかった物ーーウェディングドレスを着ていたのだ。
「……」
あまりの美しさに言葉が出ない。
この前ドレス姿を見た時は女神だと思った。これ以上はないとも思ったのだが、俺はシルヴィアのポテンシャルを見誤っていたようだ。なんつうか、もう…マジで言葉になんねえ……
どこまで綺麗になるんだ……
これだけは言える。
俺は、世界一の幸せ者だ。
「…似合わ、ない……?」
いつまでたっても俺が何も言わないので不安になったのか、上目遣いで訊いてくる。
風切り音が聞こえそうな勢いで首を振る。
「想像をぶっちぎるくらい綺麗だ」
言葉には自然と熱がこもった。
「これ、シルヴィアに似合うだろうなってずっと思ってたんだ。でも、俺の想像力は貧困だった。現実に全然追いついてなかった。俺が想像していたよりも百倍は綺麗だ」
「よかった」
そのほっとした笑顔の破壊力もすさまじいことになっている。
抱きしめたい衝動に駆られたが、ドレスをぐしゃぐしゃにしてしまいそうで躊躇した。
しかし、迸る熱い想いは出口を求め、俺の手はもどかしさに宙をかいた。
そんな俺を見て、シルヴィアはクスリと笑った。
「…隣、いく?」
恥ずかしそうに訊く。
もう若い二人に言葉はいらなかった。
「これでやっと……」
欲しい物があるのだ。そのために頑張って稼いだわけで、やっと目標額に達したと思うと、ついついにやけてしまう。
かなり有頂天だったのだがーー
「あれ、ない?」
昨日まで店頭に飾ってあったブツがなくなっている。
まさか……
血の気の引く思いを味わいながら店員さんに話を聞くと「さっき売れました」とのつれない返事。
マジか……
思わずその場に崩れ落ちそうになったのを何とかこらえ、鉛でも詰めたかのように重くなった足を引きずって店を後にした。
「うあー、何で買おうとした瞬間に売り切れるんだよ……」
悔やんでも悔やみきれない。後一日早ければ、というのがリアルに悔しさを煽る。
「…別のを探すしかないか…でも、あそこまで気に入る物って見つかるかな……」
探すしかない。絶対にもっといいやつを見つけだす。
決意を新たにしていたら、道の向こうからジャックがやって来た。
「おう、ちょうどよかった。ガンテスさんから届いたぞ」
「マジ!? よっしゃ」
と喜びはしたものの、このままでは計画を実行できない。
ジャックのところでいいのを扱っていないか訊いてみたら、変なことを言われた。
「とりあえず家に帰れ」
「は?」
「帰ればわかる」
何のこっちゃと思ったが、帰ってみたら本当にわかった。
シルヴィアが俺の欲しかった物ーーウェディングドレスを着ていたのだ。
「……」
あまりの美しさに言葉が出ない。
この前ドレス姿を見た時は女神だと思った。これ以上はないとも思ったのだが、俺はシルヴィアのポテンシャルを見誤っていたようだ。なんつうか、もう…マジで言葉になんねえ……
どこまで綺麗になるんだ……
これだけは言える。
俺は、世界一の幸せ者だ。
「…似合わ、ない……?」
いつまでたっても俺が何も言わないので不安になったのか、上目遣いで訊いてくる。
風切り音が聞こえそうな勢いで首を振る。
「想像をぶっちぎるくらい綺麗だ」
言葉には自然と熱がこもった。
「これ、シルヴィアに似合うだろうなってずっと思ってたんだ。でも、俺の想像力は貧困だった。現実に全然追いついてなかった。俺が想像していたよりも百倍は綺麗だ」
「よかった」
そのほっとした笑顔の破壊力もすさまじいことになっている。
抱きしめたい衝動に駆られたが、ドレスをぐしゃぐしゃにしてしまいそうで躊躇した。
しかし、迸る熱い想いは出口を求め、俺の手はもどかしさに宙をかいた。
そんな俺を見て、シルヴィアはクスリと笑った。
「…隣、いく?」
恥ずかしそうに訊く。
もう若い二人に言葉はいらなかった。
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