異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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 今回のたった一人の魔族による襲撃で、セリアの街は大きな被害を受けた。

 市民の犠牲は少なかったのだが、迎撃に出た国軍の兵士や冒険者の被害は甚大だった。国軍はほぼ全滅し、セリアを根拠地とする冒険者の実に七割が死傷し、ギルドもその役割を果たせなくなってしまった。

「とりあえず国から応援が派遣されて来るまでは、わたしたちが治安の維持を手伝うから」

「了解」

 当然俺に否やはない。セリアにはガンテスさんやジェシカなど、俺にとっても大事な人たちがいるからな。

 今回その人たちは無事だったが、次もそうだとは限らない。何とかこれ以上の犠牲者を出さないようにしなくちゃいかん。

 他にも動ける冒険者が警備にあたっていたのだが、これがなかなか大変だった。

 元々冒険者なんてのは、荒くれ者が多い。どちらかと言えば、取り締まるより取り締まられる側だ。そんな連中に警備が務まるはずもなく、逆に事態をややこしくするだけだった。

「だーかーらー、おまえらが問題起こすなって、何度言ったらわかるんだ?」

 今日も冒険者がモメてるとの報せを受けて、現場に駆り出されていた。

「いや、だってよう……」

「いい年した男がだってとか言ってんじゃねえよ」

「うう……」

 先日の魔族との一戦以来、魔族を単独で撃退した男として一目おかれるようになった。

 実際には単独というわけではないので少々心苦しいのだが、否定すると士気が下がるらしい。魔族にも対抗できる戦力がいるということで人心が安定すると言われれば、不本意でもその立場を受け入れざるを得ない。

 そんな看板があるもので、こういった揉め事の場に引っ張り出されることが増えていた。

「とにかく、騒ぎを起こすな。何が原因なんだ?」

「それが……」

 聞き出した理由は実にくだらないものだった。あまりのくだらなさに、殺意が駄々漏れになった。

「あのさ、ここんとこ忙しくてさ、俺寝てないんだよ。二日ぶりに寝れると思って布団に入ろうとしたところを呼び出されて来てみれば、単なる痴話喧嘩?   当人には深刻なのかも知れないけど、そんなのは自分たちだけで解決してくれ。それとも何か?   俺を寝不足で発狂させる気か?」

 なるべく静かな口調を心がけた。ここで激昂してもいい結果にならないだろうことだけはわかる。

「い、いや、悪かった。そんなつもりはなかったんだ」

「頼むぜ、マジで」

 そんな感じで細かい雑用に追われ、俺たちはかなりテンパった状態にあった。

 早いとこ応援が来てくれないと、正直キツいぞ……
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