68 / 179
68 らしくないユキノさん
しおりを挟む
「シルヴィアは元気になったみたいだねえ」
意味ありげな笑みを浮かべたユキノさんがやって来た。
「久々にコータロー成分をたっぷり補給できたみたいだねえ。肌が艶々してるよ」
何でこの人が言うと実際以上に卑猥に聞こえるんだろう?
「シルヴィアは甘え下手だからね。コータローが気を配ってあげないと、すーぐ干からびちゃうからね」
それは今回の件でよくわかった。気をつけることにする。
「そう言えば、ガンテスさんの装備がそろそろできあがりそうだってよ」
話題を変えたことに他意はなかったのだが、なぜかユキノさんの表情が曇った。
「それは楽しみだけど、オリハルコンの剣に神獣の革鎧って、完全に分不相応だよね」
「何言ってんだよ。そんな殊勝な物言い、ユキノさんらしくないじゃんか」
「…コータローの中でわたしの評価がどんなものなのかじっくり話し合いたいところだけど……正直自信をなくすよね……弱いのに、装備だけ強力ってどうなのよって思うし」
「だったら余計にいい装備は必要じゃん」
「え?」
「俺たちはーーまあ俺たちじゃなくてもだけど、何があっても生き残らなきゃいけないわけだろ。そのために強くなろうとするんだよな?」
「…まあ、そうね」
「もし実力が足りないと思うなら、手に入る一番いい装備を求めるのってあたりまえじゃん?」
「でも、何だかズルしてる気がして……」
「それを言い出したら、俺が一番ズルくない?」
「コータローはズルくないよ。直接もらってるんだし」
「何が違う?」
「え?」
「おこがましい言い方だけど、俺、なぜか皆に気に入ってもらえて色んな恩恵を受けてるわけじゃん。俺は俺の大切な人たちに恩恵のおすそ分けをしてるだけだから、遠慮なく受け取ってよ。そこで使ってもらえない方が悲しいから」
「……」
ユキノさんは、非常にらしからぬ、穏やかな笑顔を見せた。いつもの邪悪さがないと、こんな優しそうになるんだ……
「…何だか失礼なことを考えてるわね」
「んなことないっす」
背筋をピンと伸ばす。
ユキノさんは小さく笑った。
「ーーコータローは、いい男だね」
「……?」
いきなり褒められて、まず最初に何か裏があるんじゃないかと疑ってしまった俺の心は汚れてしまっているのだろうか……そうじゃないと思いたいが……
「装備はありがたく使わせてもらうよ。ありがとう」
「どういたしまして」
「お礼はシルヴィアに仕込んどくから、楽しみにしてて」
「ちょ、ちょっと、仕込むって何!?」
イヤな、というか、アブない予感しかしない。
「シルヴィアは優秀な生徒だよ。教え甲斐があるな、うん」
「うんじゃねえよ。余計なことしなくていいから!」
「ホントに余計なことかな?」
顔をのぞきこまれると、言葉につまってしまう。
「だよねー。これで恩恵を被るのはコータローだもんねー」
むむ…否定する材料がない…ないのだが、釈然としない……
しかしーー
「アブノーマルなのはやめてくれ」
そう言うのが精一杯だった……
「はいはーい」
楽しげに去っていくユキノさん。何とかいつも通りに戻ってくれたかな。しおらしいユキノさんなんて調子狂うだけだもんな。これでよかった、んだろう。多分。
ちなみに、お礼と称してシルヴィアに仕込まれた業はかなりの破壊力を誇るものでした。
意味ありげな笑みを浮かべたユキノさんがやって来た。
「久々にコータロー成分をたっぷり補給できたみたいだねえ。肌が艶々してるよ」
何でこの人が言うと実際以上に卑猥に聞こえるんだろう?
「シルヴィアは甘え下手だからね。コータローが気を配ってあげないと、すーぐ干からびちゃうからね」
それは今回の件でよくわかった。気をつけることにする。
「そう言えば、ガンテスさんの装備がそろそろできあがりそうだってよ」
話題を変えたことに他意はなかったのだが、なぜかユキノさんの表情が曇った。
「それは楽しみだけど、オリハルコンの剣に神獣の革鎧って、完全に分不相応だよね」
「何言ってんだよ。そんな殊勝な物言い、ユキノさんらしくないじゃんか」
「…コータローの中でわたしの評価がどんなものなのかじっくり話し合いたいところだけど……正直自信をなくすよね……弱いのに、装備だけ強力ってどうなのよって思うし」
「だったら余計にいい装備は必要じゃん」
「え?」
「俺たちはーーまあ俺たちじゃなくてもだけど、何があっても生き残らなきゃいけないわけだろ。そのために強くなろうとするんだよな?」
「…まあ、そうね」
「もし実力が足りないと思うなら、手に入る一番いい装備を求めるのってあたりまえじゃん?」
「でも、何だかズルしてる気がして……」
「それを言い出したら、俺が一番ズルくない?」
「コータローはズルくないよ。直接もらってるんだし」
「何が違う?」
「え?」
「おこがましい言い方だけど、俺、なぜか皆に気に入ってもらえて色んな恩恵を受けてるわけじゃん。俺は俺の大切な人たちに恩恵のおすそ分けをしてるだけだから、遠慮なく受け取ってよ。そこで使ってもらえない方が悲しいから」
「……」
ユキノさんは、非常にらしからぬ、穏やかな笑顔を見せた。いつもの邪悪さがないと、こんな優しそうになるんだ……
「…何だか失礼なことを考えてるわね」
「んなことないっす」
背筋をピンと伸ばす。
ユキノさんは小さく笑った。
「ーーコータローは、いい男だね」
「……?」
いきなり褒められて、まず最初に何か裏があるんじゃないかと疑ってしまった俺の心は汚れてしまっているのだろうか……そうじゃないと思いたいが……
「装備はありがたく使わせてもらうよ。ありがとう」
「どういたしまして」
「お礼はシルヴィアに仕込んどくから、楽しみにしてて」
「ちょ、ちょっと、仕込むって何!?」
イヤな、というか、アブない予感しかしない。
「シルヴィアは優秀な生徒だよ。教え甲斐があるな、うん」
「うんじゃねえよ。余計なことしなくていいから!」
「ホントに余計なことかな?」
顔をのぞきこまれると、言葉につまってしまう。
「だよねー。これで恩恵を被るのはコータローだもんねー」
むむ…否定する材料がない…ないのだが、釈然としない……
しかしーー
「アブノーマルなのはやめてくれ」
そう言うのが精一杯だった……
「はいはーい」
楽しげに去っていくユキノさん。何とかいつも通りに戻ってくれたかな。しおらしいユキノさんなんて調子狂うだけだもんな。これでよかった、んだろう。多分。
ちなみに、お礼と称してシルヴィアに仕込まれた業はかなりの破壊力を誇るものでした。
0
あなたにおすすめの小説
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる