74 / 179
74 シルヴィア様ですか?
しおりを挟む
場合によっては国境を越える時に一悶着あるかなと思っていたのだが、拍子抜けするくらいあっさりと通過できた。
国境を越えたからと言って、空気や風景が急に変わるというわけではないのだが、気分的にはリフレッシュされた。
心のどこかで追っ手がかかるかもという不安があったわけで、国境を越えたことでその可能性は大幅に減り、皆に一息つかせていた。
ただ、追っ手がかからなくても、トラブルに巻き込まれることはある。
「ーー!?」
「ん……?」
最初に反応したのは、様々に優れたツブラだった。
「悲鳴。争う声が聞こえる」
「行くわよ!」
カズサさんが、一瞬の迷いも見せずに即決する。
「先行する」
状況確認と判断が俺の仕事だ。現場を見て、介入するのかしないのか。するとしたらどちらに与するのか、その判断は俺に任されている。
「気をつけて!」
シルヴィアの声を背に駆け出した俺に並ぶ影があった。
「わたしも行く」
ツブラだった。
「助かる」
ウチのパーティで一番強いのは、どう見てもツブラだ。心強いことこの上ない。
「コータロー、走るの早いね。わたしでもついていくのがやっとだよ」
「これしか取り柄ないからな」
「そんなことないよ。コータローはね、すごく興味深いよ。他の人とは全然違うの。善いものも悪いものも、色んなものを引き寄せる、不思議な体質? なの」
「それを今言われても……」
そんなことを言われたら、向かってる先に厄介事が待ってる気しかしない。
「大丈夫だよ。コータローは、わたしが召喚契約を結びたいと思った人なんだから」
「サンキュ。それじゃあツブラの人を見る目は確かだってことを証明できるように頑張らないとな」
そんなやりとりをしている内に現場が見えてきた。
「ーー盗賊だな」
「盗賊ね」
二十人ほどの盗賊が、一台の馬車を襲っていた。
馬車を準備できる時点である程度の財力は保証されたようなものだ。それがごくわずかな護衛のみで移動しているとなれば、盗賊どもにとっては格好の獲物だろう。
どちらに味方するかは打ち合わせるまでもない。
「俺が突っ込んで撹乱するから、掃討頼むな」
「うん、任せて」
まあ、いつものやり方だ。
トップスピードで戦場に乱入する。
いつものように剣を振るったのだが、オリハルコンの剣は今までとはまったく切れ味が違った。一太刀だけで十分なダメージを与えられた。
双剣を振る姿はまさに無双状態。あっという間に盗賊は壊滅した。
「掃討頼むな、って言われたけど、必要ないじゃない」
ツブラに呆れられた。
「ごめん」
俺自身、装備を変えただけでここまで戦闘力が上がるとは、思ってもみなかった。
「あ、あの……」
恐る恐るといった感じの声をかけられた。馬車に乗っていた人らしい。何となく、イリスさんに似た印象だ。
「あ、ありがとうございました。本当に助かりました」
「間に合って良かったです。後から来る仲間に治癒魔法の使い手がいるので、怪我した人は言ってください」
「え? 治癒魔法?」
「はいーーああ、来たかな」
シルヴィアたちが見えてきた。
「大丈夫?」
「ああ。盗賊だった。怪我人診てあげて」
「はい」
シルヴィアは手際よく怪我人を治していく。
声をかけてきた女性は、呆然とシルヴィアを見ている。
「…治癒魔法にその美貌……もしかして、シルヴィア様ですか?」
この言葉から、新たな展開が生まれることになった。
国境を越えたからと言って、空気や風景が急に変わるというわけではないのだが、気分的にはリフレッシュされた。
心のどこかで追っ手がかかるかもという不安があったわけで、国境を越えたことでその可能性は大幅に減り、皆に一息つかせていた。
ただ、追っ手がかからなくても、トラブルに巻き込まれることはある。
「ーー!?」
「ん……?」
最初に反応したのは、様々に優れたツブラだった。
「悲鳴。争う声が聞こえる」
「行くわよ!」
カズサさんが、一瞬の迷いも見せずに即決する。
「先行する」
状況確認と判断が俺の仕事だ。現場を見て、介入するのかしないのか。するとしたらどちらに与するのか、その判断は俺に任されている。
「気をつけて!」
シルヴィアの声を背に駆け出した俺に並ぶ影があった。
「わたしも行く」
ツブラだった。
「助かる」
ウチのパーティで一番強いのは、どう見てもツブラだ。心強いことこの上ない。
「コータロー、走るの早いね。わたしでもついていくのがやっとだよ」
「これしか取り柄ないからな」
「そんなことないよ。コータローはね、すごく興味深いよ。他の人とは全然違うの。善いものも悪いものも、色んなものを引き寄せる、不思議な体質? なの」
「それを今言われても……」
そんなことを言われたら、向かってる先に厄介事が待ってる気しかしない。
「大丈夫だよ。コータローは、わたしが召喚契約を結びたいと思った人なんだから」
「サンキュ。それじゃあツブラの人を見る目は確かだってことを証明できるように頑張らないとな」
そんなやりとりをしている内に現場が見えてきた。
「ーー盗賊だな」
「盗賊ね」
二十人ほどの盗賊が、一台の馬車を襲っていた。
馬車を準備できる時点である程度の財力は保証されたようなものだ。それがごくわずかな護衛のみで移動しているとなれば、盗賊どもにとっては格好の獲物だろう。
どちらに味方するかは打ち合わせるまでもない。
「俺が突っ込んで撹乱するから、掃討頼むな」
「うん、任せて」
まあ、いつものやり方だ。
トップスピードで戦場に乱入する。
いつものように剣を振るったのだが、オリハルコンの剣は今までとはまったく切れ味が違った。一太刀だけで十分なダメージを与えられた。
双剣を振る姿はまさに無双状態。あっという間に盗賊は壊滅した。
「掃討頼むな、って言われたけど、必要ないじゃない」
ツブラに呆れられた。
「ごめん」
俺自身、装備を変えただけでここまで戦闘力が上がるとは、思ってもみなかった。
「あ、あの……」
恐る恐るといった感じの声をかけられた。馬車に乗っていた人らしい。何となく、イリスさんに似た印象だ。
「あ、ありがとうございました。本当に助かりました」
「間に合って良かったです。後から来る仲間に治癒魔法の使い手がいるので、怪我した人は言ってください」
「え? 治癒魔法?」
「はいーーああ、来たかな」
シルヴィアたちが見えてきた。
「大丈夫?」
「ああ。盗賊だった。怪我人診てあげて」
「はい」
シルヴィアは手際よく怪我人を治していく。
声をかけてきた女性は、呆然とシルヴィアを見ている。
「…治癒魔法にその美貌……もしかして、シルヴィア様ですか?」
この言葉から、新たな展開が生まれることになった。
0
あなたにおすすめの小説
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる