異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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116 それだけは絶対言っちゃダメだ

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 粛々と結婚式の準備を進めていたある日、ブライト王子に呼ばれて王城にやって来た。

 ミネルヴァとの婚約と前後して、俺たちは城下に新居を構えていた。パーティメンバーとも一緒で、今はそこを拠点に活動していた。

「準備は順調かな?」

「おかげさんで順調だよ」

 今のところ何の問題もない。あるとすれば、ブライト王子を義兄と呼ばなければならなくなることくらいか。

「ひとつ訊いておきたいことがあるんだーーコータロー、おまえ、王家に入る気はないか?」

「ない」

 ある程度予想していた質問だったので、即座に否定した。

「俺のことを買ってくれるのはありがたいが、ずっとここにいられるとも限らんしな」

「そうか。結構本気だったんだが、仕方ないか」

 俺の返答は予想していたんだろう。ブライト王子はあっさり話を引っ込めた。

「で、本題は?」

 訊くと、ブライト王子は苦笑した。

「また魔物が活性化してきている」

「そんなことだとは思ったが、まったくひねりがないな」

「いやいや、ここで変にひねられたら、そっちの方が困るっての」

「それもそうか」

 二人揃って肩をすくめる。

「それでだな、今回はちょっとマズいかもしれん」

「何があった?」

「被害報告が上がって、鎮圧のために派遣した部隊がやられた」

「魔物にか?」

「恐らくは」

「…確かにマズいかもしれんな……」

「実態の把握を頼みたいんだが、いいか?」

 苦渋の表情でブライト王子は言った。

 派遣された部隊を全滅させるような敵だ。半端な援軍出しても意味がない。かと言って、ただ大量に投入すればいいってもんでもない。

「偵察ってことでいいんだな」

「ああ。無理はしないでくれ。おまえに何かあったら、ミネルヴァが悲しむ」

 思わず苦笑がもれる。

 タイミング的には最悪だよな。死亡フラグのキング・オブ・王道だ。

「この作戦が終わったら、俺、あの娘と結婚するんだ」

 何があってもこの台詞だけは言ったらダメだ。口にした瞬間にバッドエンドが確定する。

 ブライト王子にフラグの概念なんてないはずだから、これは偶然なんだろう。だが、それだけに怖かった。

「じゃあできるだけ急いだ方がいいな」

「頼む」

 食糧などの装備を受け取り、早々に出発する。今回はスピード重視でいくので、単独行だ。

 パン、と両腿を叩いて走り出す。

 久々に「韋駄天」の出番だ。

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