異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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126 結婚式の裏側で

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 ミネルヴァが開き直った。

 もしくは、はっちゃけた。

 結婚式に関して自ら積極的に意見を出して実利を得る方向へシフトしたミネルヴァは、かなりやり手な一面を見せた。

 ミネルヴァが希望したのは『異世界結婚式』ーーつまりは俺の世界の結婚式だ。それをできるだけ忠実に再現したい、というのがミネルヴァの希望だった。

 とは言え、向こうにいた時の俺はまだ高校生で、結婚式なんて親戚の姉ちゃんのやつに一回だけ出たことがあるっきりだ。しかもその時は様式や進行なんてものにはこれっぽっちも興味がなかったので、覚えていることといえば「あのステーキ美味かったな。量が全然足りなかったけど」くらいで、ポンコツと言われても反論できないレベルでしかなかった。

 ここで心強かったのがカズサさんにユキノさん、依頼を通じて知り合ったこの国の召喚勇者のお姉さま方だった。

 それはもうノリノリでああでもないこうでもないと全力でレクチャーしてくれた。しまいにはシルヴィアやツブラまで一緒になって楽しそうにしている。

 ミネルヴァたっての希望で俺も毎回話し合いに参加はしているのだが、置いてきぼりにされてる感は否めない。正直、口を挟む余地がない。

 それは別にいいんだけどね……



 そんなある日、ブライト王子がやって来た。

「コータロー、おまえら何を始めようとしてるんだ?」

「は?」

「いやな、ミネルヴァから、あれを準備しろ、これを寄越せと要求が上がって来るんだが、何に使うのかわからんものが多くてな。調達の担当者も困惑してるもんで、ちょっと偵察に来たんだよ」

 そりゃわからんよな。気の毒なことをした。

 異世界風の結婚式を準備している旨を説明して、納得してもらった。

「おまえも大変だな」

「他人事みたいに言うな。誰のせいでこうなってると思ってんだ」

「俺を英雄に仕立てあげたのはおまえじゃないか」

「……」

 それを言われると、返す言葉がない。

「あきらめろ。おまえももう俺と同じで、普通の生活はできねえよ」

「そこはあきらめたくねえな。俺のモットーは『日々是平穏』だぞ」

「少なくとも魔王戦が終わるまでは無理だな」

「…どうなんだ?」

 復活の予兆が各地に現れているとは聞いているが、具体的な話は全然知らない。

「それなんだがな、結婚式を口実にさせてもらって各国の舵取り役を集めて連絡と対策の会議を開く予定だ」

「ああ、そうかい」

 俺は肩をすくめた。文句を言う気にもならん。

「すまんとは思っている。おまえらを祝福する気持ちに曇りがないことは信じて欲しい」

「わかってるよ。俺はそれでいいが、ミネルヴァには知られんようにやってくれ」

「わかった。罪滅ぼしというわけではないが、希望に関しては最大限便宜を図らせてもらうから、何でも言ってくれ」

 それ言っちゃったら大変なことになりそうな気がするぞ。

 まあ、自分の嫁のことだから、ミネルヴァに関してはこっちで責任を持つことにしよう。

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