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128 アンジェリーナの胸の内
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ミネルヴァからお茶会に誘われたアンジェリーナとマリエールは、そこですっかりミネルヴァと意気投合した。三人が十年来の親友みたいに打ち解けている姿は、見ていて微笑ましかった。
「王族ともなると、対等の友人作るのも難しいんだろうな」
「よかったわ。ミネルヴァにも、アンジェたちにも」
そう言うシルヴィアの表情は何となくお母さんっぽい。言うと怒られそうだから言わないけど。
「ミネルヴァにも呪いがかかってたって、本当なの?」
「シルヴィア姉様みたいだったってことよね」
「シルヴィアさんがどんな感じだったかはわからないけど、わたしは酷かったです。それこそ縁談も片っ端から断られるくらい酷かったです」
ミネルヴァの言葉にシルヴィアは苦笑した。
「それはわたしも一緒よ。どうにもならなくなって、藁にもすがる思いでお父様が召喚してくれたのがコータローだったの」
「レジーナ王様に感謝です」
ミネルヴァが幸せいっぱいの笑顔を見せる。最高の笑顔だ。
「何で姉様やミネルヴァの本当の姿を見分けられたの?」
少々答えに困る質問だ。スキルのおかげと言えばその通りなんだが、今この場で求められている答えじゃないことくらいは鈍い俺にもわかる。
「どこかの誰かが、俺と出逢うまで悪い虫がつかないようにしてくれてたんかな」
ほとんど思いつきで言ったことだが、何となくしっくりきた。本当にそういうことなのかもしれない。
「言い換えれば、俺たちが出逢うことは決まってたってことなのかもな」
「運命、ってこと?」
「そうだな。ちょっと照れくさいけどな」
顔に似合わないことを言っているのは自覚している。こっちだってこっ恥ずかしいんだ。
「いいなあ。本気で羨ましい」
ため息混じりに言ったのはアンジェリーナだった。
「わたしの婚約者なんて無茶苦茶だったもんなぁ」
それについてはお気の毒としか言いようがない。確かにアレは酷かった。
「ま、まあ、手遅れになる前でよかったよな」
苦しいフォローに、当のアンジェリーナが笑顔を見せる。
「大丈夫ですよ。もう吹っ切れてますし、言う通り、手遅れになる前でよかったです」
アンジェリーナの笑みがイタズラっぽいものに変わる。
「今度ぜひ素敵な殿方を紹介してくださいね」
「ハードル高そうだな」
「そんなことないですよ。笑われるかも知れませんけど、わたし、恋愛がしてみたいんです」
その言葉には、俺以上にシルヴィアが胸を衝かれたようだった。
一国の姫ともなれば、自由な恋愛など望むべくもない。アンジェリーナのように夫が王になると定められていれば尚更だ。
姫とは言え女の子だ。恋に恋することだってあるだろうし、いいな、と思う相手ができることだってあるだろう。
でも、それがワガママとされ、認めてはもらえない。それがアンジェリーナの立場だ。
それに対して自分はーー
と考えたのだろう。シルヴィアはズンとヘ
ビーに落ち込んだ。
「やだ、姉様、そんな顔しないでください」
「でも……」
「わたし、姉様が幸せになってくれて、本当に嬉しいんですよ。大変な思いをしてきた分、これからもっと幸せになってもらいたいとも思ってます。こんな言い方はあれかもしれませんけど、姉様の幸せとわたしの幸せはまったく違うものです。だから、変に気を使うことはしないでくださいね」
そう言うアンジェリーナは、凛としてカッコよかった。
ともすれば綺麗事ととられてしまいそうな言葉だったが、アンジェリーナの纏う気品が、そんな下衆の勘繰りを許さなかった。
こいつ、佳い女になるな。
義理の妹に初めてそう思った。
「アンジェ、明日時間あるか?」
「明日、ですか? はい、大丈夫です」
「じゃあ俺につきあってくれ」
「え!?」
皆の目が揃って丸くなった。
「王族ともなると、対等の友人作るのも難しいんだろうな」
「よかったわ。ミネルヴァにも、アンジェたちにも」
そう言うシルヴィアの表情は何となくお母さんっぽい。言うと怒られそうだから言わないけど。
「ミネルヴァにも呪いがかかってたって、本当なの?」
「シルヴィア姉様みたいだったってことよね」
「シルヴィアさんがどんな感じだったかはわからないけど、わたしは酷かったです。それこそ縁談も片っ端から断られるくらい酷かったです」
ミネルヴァの言葉にシルヴィアは苦笑した。
「それはわたしも一緒よ。どうにもならなくなって、藁にもすがる思いでお父様が召喚してくれたのがコータローだったの」
「レジーナ王様に感謝です」
ミネルヴァが幸せいっぱいの笑顔を見せる。最高の笑顔だ。
「何で姉様やミネルヴァの本当の姿を見分けられたの?」
少々答えに困る質問だ。スキルのおかげと言えばその通りなんだが、今この場で求められている答えじゃないことくらいは鈍い俺にもわかる。
「どこかの誰かが、俺と出逢うまで悪い虫がつかないようにしてくれてたんかな」
ほとんど思いつきで言ったことだが、何となくしっくりきた。本当にそういうことなのかもしれない。
「言い換えれば、俺たちが出逢うことは決まってたってことなのかもな」
「運命、ってこと?」
「そうだな。ちょっと照れくさいけどな」
顔に似合わないことを言っているのは自覚している。こっちだってこっ恥ずかしいんだ。
「いいなあ。本気で羨ましい」
ため息混じりに言ったのはアンジェリーナだった。
「わたしの婚約者なんて無茶苦茶だったもんなぁ」
それについてはお気の毒としか言いようがない。確かにアレは酷かった。
「ま、まあ、手遅れになる前でよかったよな」
苦しいフォローに、当のアンジェリーナが笑顔を見せる。
「大丈夫ですよ。もう吹っ切れてますし、言う通り、手遅れになる前でよかったです」
アンジェリーナの笑みがイタズラっぽいものに変わる。
「今度ぜひ素敵な殿方を紹介してくださいね」
「ハードル高そうだな」
「そんなことないですよ。笑われるかも知れませんけど、わたし、恋愛がしてみたいんです」
その言葉には、俺以上にシルヴィアが胸を衝かれたようだった。
一国の姫ともなれば、自由な恋愛など望むべくもない。アンジェリーナのように夫が王になると定められていれば尚更だ。
姫とは言え女の子だ。恋に恋することだってあるだろうし、いいな、と思う相手ができることだってあるだろう。
でも、それがワガママとされ、認めてはもらえない。それがアンジェリーナの立場だ。
それに対して自分はーー
と考えたのだろう。シルヴィアはズンとヘ
ビーに落ち込んだ。
「やだ、姉様、そんな顔しないでください」
「でも……」
「わたし、姉様が幸せになってくれて、本当に嬉しいんですよ。大変な思いをしてきた分、これからもっと幸せになってもらいたいとも思ってます。こんな言い方はあれかもしれませんけど、姉様の幸せとわたしの幸せはまったく違うものです。だから、変に気を使うことはしないでくださいね」
そう言うアンジェリーナは、凛としてカッコよかった。
ともすれば綺麗事ととられてしまいそうな言葉だったが、アンジェリーナの纏う気品が、そんな下衆の勘繰りを許さなかった。
こいつ、佳い女になるな。
義理の妹に初めてそう思った。
「アンジェ、明日時間あるか?」
「明日、ですか? はい、大丈夫です」
「じゃあ俺につきあってくれ」
「え!?」
皆の目が揃って丸くなった。
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