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140 何考えてんだ!?
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私生活的には大きなイベントが済んで一息ついたが、世界を巡る状況は一息つく間もなく、動き続けていた。
世界各地で魔族の出現情報が相次ぎ、被害も出てきていたのだ。
魔王復活の刻は近い。
そう思わせる事象が頻発していた。
そうなると当然人心の不安も募るわけで、国全体の空気が重苦しいものになりつつあった。
「何か明るい話題を作りたいな」
ブライト王子が腕組みして言った。
「結婚式をしたばかりなんだが……」
明るい話題としての賞味期限が短すぎやしないだろうか? 悲しくなってくる。
「まあ、コータローの場合、知る人ぞ知るって存在だからな。一般民衆の間では認知度がイマイチなんだろうな」
「申し訳ありませんね。お役に立てなくて」
「男が拗ねても気持ち悪いだけだぞ」
「うるせえよ。それなら自分が結婚すりゃあいいじゃねえか。魔族殺しの英雄が結婚するとなれば盛り上がるだろうよ」
「そうしたいのは山々なんだが……」
「じれってえな。とっとと押し倒せ」
「そんなのとっくに済ましてる」
「あ、そうか」
「……」
微妙にバカっぽい空気になってしまった。
「…何かいい手はないか?」
「って言われてもなあ……断られてるんだよな……」
「あれが本心のわけがない」
そこは同意だが、じゃあどうするとなるとお手上げだ。
この時、会話に参加してこないシルヴィアとミネルヴァが目配せを交わしあっていることには、俺もブライト王子も気づかなかった。
結局具体的な方策が立たないまま時は過ぎ、夕食の時間になった。
「せっかくだから食ってけよ」
「そうだな。噂の天才料理人の飯をご馳走になるか」
アンソニーの作る飯は相変わらず美味い。そこらの飯屋よりよっぽど美味いものが食える。何人かの客に振る舞ったことがあり、そこから評判になった。
「さっきローザさんも呼んどいたから。そろそろ来る頃だと思うよ」
ミネルヴァが、にま、と笑いながら言った。
「何でわざわざ?」
「ただ帰りを待ってるのが気の毒かと思って」
「ふうん、まあいいか」
そして、階段に差し掛かった時ーー
「お兄様」
「ん?」
「ごめんなさい」
詫びの言葉と共にミネルヴァがブライト王子を軽く突き飛ばした。
軽くとは言っても、階段の上である。足を踏み外した王子は勢いよく階段を転がり落ち、階下の床に叩きつけられた。そのままピクリとも動かない。
「王子っ!?」
目の前で起きたことだが、現実のこととは思えなかった。
何でミネルヴァが王子を突き落とすんだ?
頭は混乱していたが、今はそれどころじゃない。階段を駆け降り、王子の容態を確認する。
「…ぐ……う……」
結構な重傷だったが、とりあえず意識はあった。
ほっとしたところへ悲鳴が響く。
「王子っ!?」
ものすごい勢いで駆け込んできたのはローザさんだった。
世界各地で魔族の出現情報が相次ぎ、被害も出てきていたのだ。
魔王復活の刻は近い。
そう思わせる事象が頻発していた。
そうなると当然人心の不安も募るわけで、国全体の空気が重苦しいものになりつつあった。
「何か明るい話題を作りたいな」
ブライト王子が腕組みして言った。
「結婚式をしたばかりなんだが……」
明るい話題としての賞味期限が短すぎやしないだろうか? 悲しくなってくる。
「まあ、コータローの場合、知る人ぞ知るって存在だからな。一般民衆の間では認知度がイマイチなんだろうな」
「申し訳ありませんね。お役に立てなくて」
「男が拗ねても気持ち悪いだけだぞ」
「うるせえよ。それなら自分が結婚すりゃあいいじゃねえか。魔族殺しの英雄が結婚するとなれば盛り上がるだろうよ」
「そうしたいのは山々なんだが……」
「じれってえな。とっとと押し倒せ」
「そんなのとっくに済ましてる」
「あ、そうか」
「……」
微妙にバカっぽい空気になってしまった。
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そこは同意だが、じゃあどうするとなるとお手上げだ。
この時、会話に参加してこないシルヴィアとミネルヴァが目配せを交わしあっていることには、俺もブライト王子も気づかなかった。
結局具体的な方策が立たないまま時は過ぎ、夕食の時間になった。
「せっかくだから食ってけよ」
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ミネルヴァが、にま、と笑いながら言った。
「何でわざわざ?」
「ただ帰りを待ってるのが気の毒かと思って」
「ふうん、まあいいか」
そして、階段に差し掛かった時ーー
「お兄様」
「ん?」
「ごめんなさい」
詫びの言葉と共にミネルヴァがブライト王子を軽く突き飛ばした。
軽くとは言っても、階段の上である。足を踏み外した王子は勢いよく階段を転がり落ち、階下の床に叩きつけられた。そのままピクリとも動かない。
「王子っ!?」
目の前で起きたことだが、現実のこととは思えなかった。
何でミネルヴァが王子を突き落とすんだ?
頭は混乱していたが、今はそれどころじゃない。階段を駆け降り、王子の容態を確認する。
「…ぐ……う……」
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ものすごい勢いで駆け込んできたのはローザさんだった。
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