異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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147 真性は怖い

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「ブロディ将軍が、怖いんです」

「…何かされたのか?」

 思わず声が険しくなった。もしそうだとしたら、絶対に許さねえ。きっちりケジメとってやる。

 その本気が伝わったのか、マリエールは慌てて首を振った。

「そういうわけじゃないんですけど、近くにいるだけでものすごく不安になるんです」

「なるほどな」

 女の勘ってのは案外侮れないものなのか?

 ブロディは絶対にまともじゃない。そのことを俺は確信しているが、話を聞く限りブロディの本性に気づいているのはほとんどいない。むしろカリスマとして崇拝されているくらいだ。

 それがいつか致命的なことにならなければいいと思うのだが、この分ならマリエールが防波堤になってくれるのかもしれない。

 ただこれはやり方を間違えたらマリエールの立場を悪くしかねないので、慎重にことを運ぶ必要がある。

「確かにヤツには危ない雰囲気がある。仮にもマリエールは王女だから滅多なことはしてこねえと思うが、隙は見せない方がいいな」

「はい……」

 とは言え、具体的にはどうすりゃいいの、って話だよな。それがなきゃマリエールの不安だって解消されないだろうし。

 今すぐにはいい考えも浮かんでこないが、しばらくはレジーナに滞在することになるので、その間に少しでもマリエールの不安を解消できるように頑張ることとしよう。

 とりあえず今は安心させてやるために、繋いだ手に力を込めた。



 帰還の途中、俺の後を追ってきた冒険者の一隊と合流した。その中にはシルヴィアもいて、姉妹で無事を喜びあった。

「危なかったけど、コータローさんが助けてくれたの」

「コータロー、ホントにありがとうね」

「礼を言われるようなことじゃねえだろ。マリエールは俺にとっても大事な妹なんだから」

「それでもよ。コータローがいてくれたからマリエールが生きてくれてる。そのことにどれだけ感謝すればいいのか……」

 そんな風に喜びあっていると、ブロディが現れた。

「ほう、シルヴィア姫ではないか。俺のものになる決心はついたか?」

「……」

 開いた口がふさがらない。

 開口一番これって、もう呆れるしかない。やっぱりこいつは真性だ。

「前にも断ったわ。たとえ何があってもあなたのものになんてならないわ。わたしのパートナーはコータローだけだから」

 シルヴィアがそう言うと、ブロディは口角を吊り上げた。まさしく肉食獣の笑みだ。

「いいぞ。嫌がれば嫌がるほど、屈服させた時の快感は大きくなる。俺のものになる時を楽しみにしていろ」

「……」

 あまりのイカレっぷりに、シルヴィアは俺の背中に逃げ込んだ。

 もう無礼だとか何だとか飛びこえちまって、ただただ気持ち悪かった。同じ空気を吸ってるのも嫌だ。

 まともに相手をする価値も認められない。踵を返そうとした瞬間、ブロディは更なる爆弾を炸裂させた。

「おい、そこの女、おまえだ」

「わたし!?」



 ブロディに指差されて素っ頓狂な声をあげたのはーーミネルヴァだった。
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