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149 ちょっと妬けちゃうんですけど……
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マリエールを城へ送り届け、すぐにお暇しようと思っていたのだが、王様が執務を放り出して心配していたために、取っ捕まって熱烈歓迎されることになった。
マリエールの無事はもちろん、王様にとってはシルヴィアの里帰りが殊の外嬉しかったらしい。デレデレになって出国以後の話を聞きたがっている。
これも親孝行かとほっこりしていると、執務を終えたアンジェリーナが合流してきた。
その姿を見て、俺は思わず目を瞠った。前に会った時からそれほど経っていないはずなのだが、まるで別人であるかのような印象を受けたのだ。
風格みたいな空気をまとい、自信に満ちたいい表情をしている。
ああ、いい方向に向かって行けてるんだな。
それが伝わってきて、自然に口元がほころんだ。
アンジェリーナと目が合うと、実にいい笑顔を見せてくれた。
「今度はマリエールの命まで助けていただいたそうで、本当に何とお礼を言っていいのか。王家一同コータロー様には頭が上がりませんね」
「水臭いこと言わんでくれ」
「それでもお礼は言わせてくださいーーありがとうございました」
「どういたしまして。これからも何かあれば遠慮なく言ってくれ。できることなら何でもやるから」
「じゃあそこはお互いさまということで単刀直入に訊きますねーーわたしたちは何をすればいいですか?」
「…参ったな。頼みがあるのはお見通しか」
「そりゃそうですよ。何もなしでコータローさんたちが今ここにいるわけないじゃないですか。ミネルヴァまで一緒ってことは、オルタナ王国絡みの大事な話ですよね」
「ああ、実はなーー」
ブライト王子の結婚事情にはじまり、レジーナ王国の後ろ楯が欲しい話、ブロディがシルヴィアとミネルヴァにちょっかいを出してくる話、そこに危ういものを感じている旨を説明した。
「なるほど。あの将軍の病気は治りませんね」
アンジェリーナは小さくため息をついた。
「ではこうしましょう。こちらで誓約の文言を作りますので、それをブライト殿下に届けてください。同盟を公なものにせず、密約という形をとれば問題ないと思います」
「おう、それいいな。お願いできる?」
「承知しましたーーお父様もよろしいですね?」
「こっちもそれでいいよな?」
それぞれに確認すると、全員揃ってポカーンとしている。
「どうした?」
訊くと、なぜか深刻なダメージを受けた様子のシルヴィアが、震える声を絞り出した。
「…な、何…今の息ドンピシャのやりとりは……」
続けて同じようにうちひしがれたミネルヴァが口を開く。
「口を挟む余地がどこにもなかった」
「それでいて導き出されたのは完璧な結論」
「胸がモヤモヤするわ」
「右に同じ」
二人から敵意に似た視線を向けられて、アンジェリーナは急にオロオロし始めた。
「ね、姉さん……?」
「うー」
「うー」
「いい加減にしろ」
二人の頭にアイアンクローをかませる。
「痛いいたいいたい」
「目がさめたか?」
「ひどいよお」
「どっちがひどいんだ。アンジェが怯えてるじゃねえか」
「だってぇ、わたしたち、あんなに息の合ったやりとりしたことないし……」
「コータローも楽しそうだし……」
二人揃って半べそかかれると、強く言えなくなってしまう。
「はあ……」
今度は二人の頭をポンポンと叩く。
「変な心配すんな。今のは仕事、アンジェは義妹。ただそれだけ」
「「ごめんなさい」」
「ん。ーーごめんな、アンジェ」
「大丈夫ですよ。ちょっとびっくりしましたけど」
アンジェリーナはにっこり笑って謝罪を受け入れてくれた。
「今の話はそういうことでいいんですか?」
「それでお願いします」
ミネルヴァが頷き、話はまとまった。
マリエールの無事はもちろん、王様にとってはシルヴィアの里帰りが殊の外嬉しかったらしい。デレデレになって出国以後の話を聞きたがっている。
これも親孝行かとほっこりしていると、執務を終えたアンジェリーナが合流してきた。
その姿を見て、俺は思わず目を瞠った。前に会った時からそれほど経っていないはずなのだが、まるで別人であるかのような印象を受けたのだ。
風格みたいな空気をまとい、自信に満ちたいい表情をしている。
ああ、いい方向に向かって行けてるんだな。
それが伝わってきて、自然に口元がほころんだ。
アンジェリーナと目が合うと、実にいい笑顔を見せてくれた。
「今度はマリエールの命まで助けていただいたそうで、本当に何とお礼を言っていいのか。王家一同コータロー様には頭が上がりませんね」
「水臭いこと言わんでくれ」
「それでもお礼は言わせてくださいーーありがとうございました」
「どういたしまして。これからも何かあれば遠慮なく言ってくれ。できることなら何でもやるから」
「じゃあそこはお互いさまということで単刀直入に訊きますねーーわたしたちは何をすればいいですか?」
「…参ったな。頼みがあるのはお見通しか」
「そりゃそうですよ。何もなしでコータローさんたちが今ここにいるわけないじゃないですか。ミネルヴァまで一緒ってことは、オルタナ王国絡みの大事な話ですよね」
「ああ、実はなーー」
ブライト王子の結婚事情にはじまり、レジーナ王国の後ろ楯が欲しい話、ブロディがシルヴィアとミネルヴァにちょっかいを出してくる話、そこに危ういものを感じている旨を説明した。
「なるほど。あの将軍の病気は治りませんね」
アンジェリーナは小さくため息をついた。
「ではこうしましょう。こちらで誓約の文言を作りますので、それをブライト殿下に届けてください。同盟を公なものにせず、密約という形をとれば問題ないと思います」
「おう、それいいな。お願いできる?」
「承知しましたーーお父様もよろしいですね?」
「こっちもそれでいいよな?」
それぞれに確認すると、全員揃ってポカーンとしている。
「どうした?」
訊くと、なぜか深刻なダメージを受けた様子のシルヴィアが、震える声を絞り出した。
「…な、何…今の息ドンピシャのやりとりは……」
続けて同じようにうちひしがれたミネルヴァが口を開く。
「口を挟む余地がどこにもなかった」
「それでいて導き出されたのは完璧な結論」
「胸がモヤモヤするわ」
「右に同じ」
二人から敵意に似た視線を向けられて、アンジェリーナは急にオロオロし始めた。
「ね、姉さん……?」
「うー」
「うー」
「いい加減にしろ」
二人の頭にアイアンクローをかませる。
「痛いいたいいたい」
「目がさめたか?」
「ひどいよお」
「どっちがひどいんだ。アンジェが怯えてるじゃねえか」
「だってぇ、わたしたち、あんなに息の合ったやりとりしたことないし……」
「コータローも楽しそうだし……」
二人揃って半べそかかれると、強く言えなくなってしまう。
「はあ……」
今度は二人の頭をポンポンと叩く。
「変な心配すんな。今のは仕事、アンジェは義妹。ただそれだけ」
「「ごめんなさい」」
「ん。ーーごめんな、アンジェ」
「大丈夫ですよ。ちょっとびっくりしましたけど」
アンジェリーナはにっこり笑って謝罪を受け入れてくれた。
「今の話はそういうことでいいんですか?」
「それでお願いします」
ミネルヴァが頷き、話はまとまった。
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