159 / 179
159 周りに恵まれてます
しおりを挟む
レイナの希望で、派手な式などは挙げないことになった。
俺としては前の二人と同じようにきちんとした式を挙げるつもりでいたのだが、レイナに固辞されたのだ。
曰く「自分は王族でも何でもなく、分不相応なのはかえって居心地が悪くなってしまう。できれば身近な人たちだけでこぢんまりとした式がいい」とのことだった。
そういうことならばと、アンソニーに頑張ってもらって、新しい趣向を用意した。
ウェディングケーキの入刀である。
立った俺たちの目線の高さまであるケーキは、アンソニーの力作である。イメージを伝え、無理を言って作ってもらった。素晴らしい出来映えで、これが運び込まれた時は、参加者の間でどよめきが起こった。
「夫婦初の共同作業ってことで、このケーキに二人でナイフを入れるんだーーちなみに、これやるのはレイナとが初めてだから」
「ホントですか?」
レイナの顔が心底嬉しそうにほころぶ。この笑顔を見れただけでオッケーと思ったんだけどーー
無事に入刀を終えたところで気づいた。こちらを見るミネルヴァの視線に。抑えようとはしているようだったが、目が何よりも雄弁に「わたしもやりたい」と訴えかけてきていた。
見ればシルヴィアも、ミネルヴァほどではないものの羨ましそうな顔をしている。
「う……」
「こいつ、やらかしやがった」という空気が流れかけた瞬間、神が降臨した。
「あとふたつありますよ」
微苦笑しながら神ーーアンソニーが言った。
「え!?」
「こうなりそうな気がしたので……」
アンソニー、マジ、神。
「え、でも、今日はレイナのお祝いだし……」
シルヴィアはそう言ったが、口許は嬉しそうに緩んでいる。
「わたしなら全然かまいませんよ。みんなで幸せな気分になれるなら、その方がいいです」
レイナ、心が広い。マジ、神。
それに引き換え、こんな大事なこと見落とすなんて……マジ、クズ……
これまでの人生で一番深い反省。
ともあれ、レイナとアンソニーのおかげで雰囲気が壊れることもなく、和やかな宴が続いた。
そして、陽も傾き、夜の帳が降りる頃合い、俺は立ち上がって集まってくれた人たちに頭を下げた。
「今日はありがとう。レイナとの結婚は、集まってくれた人たちに誓う、人前式の形をとりたいと思います」
「え、今ここで?」
「うん」
「あれ? まだ式はしてなかったの?」
変なことを言い出したのはカズサさんだ。
「してないよ。何で?」
「だって、レイナさん、普通に綺麗じゃない。だから、式は別に挙げて今日は披露宴だけだと思ってたんだけど?」
「じゃあ呪いは自然に解けてたの?」
ユキノさんまでそんなことを言い出した。
「呪い、まだ解けてないよ」
「「「「え!?」」」」
何人かの声が重なる。
「…それって、レイナさんは今よりもっと綺麗になるってこと……?」
「俺にはレイナが皆の目にどう見えてるかがわからんので何とも言えねえけどーー」
ちょっともったいぶって言葉を切る。
「ホントのレイナはマジで綺麗だぞ」
「……」
何とも微妙な沈黙が落ちる。
「…嘘でしょ……」
「今より綺麗って……」
「自信なくすわぁ……」
皆の目には今の段階でレイナが美人に見えているらしい。
シルヴィアとミネルヴァの場合は、キスが呪いを解くカギになった。そして、俺はまだレイナとキスはしていない。
ただ、こういう反応をされると、俺も自信がなくなる。
呪い、解いたつもりはないけど、自然に解けてたのかな?
いずれにしても、先に進もう。
俺としては前の二人と同じようにきちんとした式を挙げるつもりでいたのだが、レイナに固辞されたのだ。
曰く「自分は王族でも何でもなく、分不相応なのはかえって居心地が悪くなってしまう。できれば身近な人たちだけでこぢんまりとした式がいい」とのことだった。
そういうことならばと、アンソニーに頑張ってもらって、新しい趣向を用意した。
ウェディングケーキの入刀である。
立った俺たちの目線の高さまであるケーキは、アンソニーの力作である。イメージを伝え、無理を言って作ってもらった。素晴らしい出来映えで、これが運び込まれた時は、参加者の間でどよめきが起こった。
「夫婦初の共同作業ってことで、このケーキに二人でナイフを入れるんだーーちなみに、これやるのはレイナとが初めてだから」
「ホントですか?」
レイナの顔が心底嬉しそうにほころぶ。この笑顔を見れただけでオッケーと思ったんだけどーー
無事に入刀を終えたところで気づいた。こちらを見るミネルヴァの視線に。抑えようとはしているようだったが、目が何よりも雄弁に「わたしもやりたい」と訴えかけてきていた。
見ればシルヴィアも、ミネルヴァほどではないものの羨ましそうな顔をしている。
「う……」
「こいつ、やらかしやがった」という空気が流れかけた瞬間、神が降臨した。
「あとふたつありますよ」
微苦笑しながら神ーーアンソニーが言った。
「え!?」
「こうなりそうな気がしたので……」
アンソニー、マジ、神。
「え、でも、今日はレイナのお祝いだし……」
シルヴィアはそう言ったが、口許は嬉しそうに緩んでいる。
「わたしなら全然かまいませんよ。みんなで幸せな気分になれるなら、その方がいいです」
レイナ、心が広い。マジ、神。
それに引き換え、こんな大事なこと見落とすなんて……マジ、クズ……
これまでの人生で一番深い反省。
ともあれ、レイナとアンソニーのおかげで雰囲気が壊れることもなく、和やかな宴が続いた。
そして、陽も傾き、夜の帳が降りる頃合い、俺は立ち上がって集まってくれた人たちに頭を下げた。
「今日はありがとう。レイナとの結婚は、集まってくれた人たちに誓う、人前式の形をとりたいと思います」
「え、今ここで?」
「うん」
「あれ? まだ式はしてなかったの?」
変なことを言い出したのはカズサさんだ。
「してないよ。何で?」
「だって、レイナさん、普通に綺麗じゃない。だから、式は別に挙げて今日は披露宴だけだと思ってたんだけど?」
「じゃあ呪いは自然に解けてたの?」
ユキノさんまでそんなことを言い出した。
「呪い、まだ解けてないよ」
「「「「え!?」」」」
何人かの声が重なる。
「…それって、レイナさんは今よりもっと綺麗になるってこと……?」
「俺にはレイナが皆の目にどう見えてるかがわからんので何とも言えねえけどーー」
ちょっともったいぶって言葉を切る。
「ホントのレイナはマジで綺麗だぞ」
「……」
何とも微妙な沈黙が落ちる。
「…嘘でしょ……」
「今より綺麗って……」
「自信なくすわぁ……」
皆の目には今の段階でレイナが美人に見えているらしい。
シルヴィアとミネルヴァの場合は、キスが呪いを解くカギになった。そして、俺はまだレイナとキスはしていない。
ただ、こういう反応をされると、俺も自信がなくなる。
呪い、解いたつもりはないけど、自然に解けてたのかな?
いずれにしても、先に進もう。
0
あなたにおすすめの小説
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる