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第10話:黄金の大地と永遠の誓い
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建国から、さらに数年の歳月が流れた。
ヴァインベルク公国は、大陸の誰もが羨む、豊かで平和な「黄金の国」として、その名を不動のものとしていた。国民は食うに困らず、子供たちは笑顔で学校に通い、様々な人種や文化が交じり合う、活気に満ちた理想郷。それが、俺とセレスティーナが築き上げた国の姿だった。
俺は、最高顧問として、そして大公配としてセレスティーナを支えながら、相変わらず畑に出て土いじりを続けていた。それが俺の原点であり、何より好きなことだったからだ。前世の知識と【大地創造】の力を組み合わせ、品種改良によって寒冷地や乾燥地でも育つ新しい作物を開発したり、乳製品や酒類といった新たな特産品を生み出したりと、俺の研究は尽きることがない。
セレスティーナは、国民から「慈愛の大公」と呼ばれ、深く敬愛されていた。彼女は決して城に閉じこもることなく、頻繁に国内を視察して回り、民の一人一人の声に真摯に耳を傾けた。彼女の賢明で、愛情深い統治が、この国の平和を支えていた。
そして、俺たち二人の間には、愛らしい宝物が生まれていた。
銀色の髪と、穏やかな黒い瞳を持つ男の子。レオンと名付けた。彼は、俺とセレスティーナの最高の傑作だった。
平和な日常が、陽だまりのように温かく流れていく。
建国記念祭の日、首都は一年で最も華やかな賑わいを見せていた。俺とセレスティーナ、そして小さなレオンは、お忍びで祭りを楽しむことにした。
広場では、国民たちが自分たちの収穫物を持ち寄り、歌い、踊っている。屋台からは、公国自慢の食材を使った美味しそうな匂いが立ち上っていた。
「父様、あれ、食べたい!」
レオンが指さしたのは、串に刺さった香ばしい焼き鳥だ。俺はレオンを肩車し、セレスティーナと三人で人混みの中を歩いた。ごく普通の、どこにでもいる家族のように。
すれ違う人々は、俺たちの正体に気づくと驚いた顔をするが、すぐに親しみを込めた笑顔で会釈をしてくれる。この国では、君主と国民の間に、壁など存在しなかった。
国の成長と、国民の幸せそうな笑顔を肌で感じ、俺たちの胸は温かい満足感で満たされた。
祭りの夜。
俺とセレスティーナは、レオンを寝かしつけた後、城のバルコニーに出ていた。
眼下には、ランタンの灯りが宝石のようにきらめく首都の夜景が広がり、その向こうには、月明かりに照らされて銀色に輝く広大な大地がどこまでも続いている。
「綺麗ね……。私たちが夢見た景色が、ここにあるわ」
セレスティーナが、俺の肩にそっと頭をもたせかけて呟いた。
「ああ。本当に、夢みたいだ」
俺は、彼女の肩を優しく抱き寄せた。
「俺、転生してきてよかった。貧しい村の生まれだったけど、家族がいて、そして……君に出会えたから」
俺の言葉に、セレスティーティーナは顔を上げて、悪戯っぽく微笑んだ。
「私もよ。私も、王都から追放されて、本当によかったわ。そうじゃなければ、あなたに出会えなかったもの」
かつての絶望は、今では最高の幸福へと続く、運命の扉だった。
俺たちは、どちらからともなく唇を重ねた。それは、これまでの感謝と、これからの未来への想いを込めた、穏やかで、深い口づけだった。
これからも、様々な困難が訪れるかもしれない。国と国との関係も、常に平穏とは限らないだろう。
けれど、俺たち二人なら、きっと乗り越えていける。
この愛する国を、大切な家族を、そして国民たちを、共に守り、育てていく。
俺たちは、眼下に広がる黄金の大地と、満天の星空に、永遠の愛と平和を誓った。
追放令嬢と、転生農民の物語は、ここで一つの終わりを迎える。
しかし、彼らが築いた楽園の物語は、希望に満ちた未来へと、これからも永遠に続いていくのだ。
ヴァインベルク公国は、大陸の誰もが羨む、豊かで平和な「黄金の国」として、その名を不動のものとしていた。国民は食うに困らず、子供たちは笑顔で学校に通い、様々な人種や文化が交じり合う、活気に満ちた理想郷。それが、俺とセレスティーナが築き上げた国の姿だった。
俺は、最高顧問として、そして大公配としてセレスティーナを支えながら、相変わらず畑に出て土いじりを続けていた。それが俺の原点であり、何より好きなことだったからだ。前世の知識と【大地創造】の力を組み合わせ、品種改良によって寒冷地や乾燥地でも育つ新しい作物を開発したり、乳製品や酒類といった新たな特産品を生み出したりと、俺の研究は尽きることがない。
セレスティーナは、国民から「慈愛の大公」と呼ばれ、深く敬愛されていた。彼女は決して城に閉じこもることなく、頻繁に国内を視察して回り、民の一人一人の声に真摯に耳を傾けた。彼女の賢明で、愛情深い統治が、この国の平和を支えていた。
そして、俺たち二人の間には、愛らしい宝物が生まれていた。
銀色の髪と、穏やかな黒い瞳を持つ男の子。レオンと名付けた。彼は、俺とセレスティーナの最高の傑作だった。
平和な日常が、陽だまりのように温かく流れていく。
建国記念祭の日、首都は一年で最も華やかな賑わいを見せていた。俺とセレスティーナ、そして小さなレオンは、お忍びで祭りを楽しむことにした。
広場では、国民たちが自分たちの収穫物を持ち寄り、歌い、踊っている。屋台からは、公国自慢の食材を使った美味しそうな匂いが立ち上っていた。
「父様、あれ、食べたい!」
レオンが指さしたのは、串に刺さった香ばしい焼き鳥だ。俺はレオンを肩車し、セレスティーナと三人で人混みの中を歩いた。ごく普通の、どこにでもいる家族のように。
すれ違う人々は、俺たちの正体に気づくと驚いた顔をするが、すぐに親しみを込めた笑顔で会釈をしてくれる。この国では、君主と国民の間に、壁など存在しなかった。
国の成長と、国民の幸せそうな笑顔を肌で感じ、俺たちの胸は温かい満足感で満たされた。
祭りの夜。
俺とセレスティーナは、レオンを寝かしつけた後、城のバルコニーに出ていた。
眼下には、ランタンの灯りが宝石のようにきらめく首都の夜景が広がり、その向こうには、月明かりに照らされて銀色に輝く広大な大地がどこまでも続いている。
「綺麗ね……。私たちが夢見た景色が、ここにあるわ」
セレスティーナが、俺の肩にそっと頭をもたせかけて呟いた。
「ああ。本当に、夢みたいだ」
俺は、彼女の肩を優しく抱き寄せた。
「俺、転生してきてよかった。貧しい村の生まれだったけど、家族がいて、そして……君に出会えたから」
俺の言葉に、セレスティーティーナは顔を上げて、悪戯っぽく微笑んだ。
「私もよ。私も、王都から追放されて、本当によかったわ。そうじゃなければ、あなたに出会えなかったもの」
かつての絶望は、今では最高の幸福へと続く、運命の扉だった。
俺たちは、どちらからともなく唇を重ねた。それは、これまでの感謝と、これからの未来への想いを込めた、穏やかで、深い口づけだった。
これからも、様々な困難が訪れるかもしれない。国と国との関係も、常に平穏とは限らないだろう。
けれど、俺たち二人なら、きっと乗り越えていける。
この愛する国を、大切な家族を、そして国民たちを、共に守り、育てていく。
俺たちは、眼下に広がる黄金の大地と、満天の星空に、永遠の愛と平和を誓った。
追放令嬢と、転生農民の物語は、ここで一つの終わりを迎える。
しかし、彼らが築いた楽園の物語は、希望に満ちた未来へと、これからも永遠に続いていくのだ。
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