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第17話:絶望と諦めの言葉
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屋敷に軟禁されて、二日が過ぎた。
状況は、悪くなる一方だった。宰相一派は次々と新たな「証拠」をでっち上げ、ヴァレンシュタイン家は完全に孤立無援となっていた。
私は、すっかり気力を失っていた。
食事も喉を通らず、ただ窓の外を眺めては、ため息をつくばかり。
もう、疲れた。何もかも。
破滅フラグを回避しようと、目立たないようにしようと、そう思っていたのに、結果は最悪の方向に向かっている。
私のそばには、常に三人の忠臣が控えていた。
コンラート、リリア、ダリウス。彼らは、静かに、しかしその瞳の奥に激しい炎を宿して、私の次の言葉を待っていた。
彼らは信じていた。この絶体絶命の状況すら、我が主イザベラ様の壮大な計画の一部なのだと。あえて敵を油断させ、泳がせ、その上で一気に叩き潰すための、深遠なる計略なのだと。
そして今、その反撃の狼煙が上がる瞬間を、固唾を飲んで待っているのだ。
しかし、そんな彼らの期待を知る由もない私は、ついに心の糸がぷつりと切れてしまった。
ぽろぽろと涙を流しながら、私は諦めの言葉を呟いた。
「もう……どうでもいいわ……」
その一言に、三人の体がピクリと反応する。
「家に、帰りたい……」
家に帰りたい。それは、このヴァレンシュタイン邸のことではない。前世の、私の本当の家に帰りたい、という魂の叫びだった。
もう、公爵令嬢も、聖女も、悪役令嬢も、全部やめたい。ただの私に、戻りたい。
絶望と諦めから生まれた、私の弱々しい呟き。
しかし、その言葉は、忠誠心でフィルターがかかった三人の耳には、全く違う決死の号令として響き渡った。
コンラートの解釈。
(『もう、どうでもいいわ』……つまり、手加減は不要ということか。『家に帰りたい』……このヴァレンシュタイン家こそが、我らの帰るべき楽園。その楽園を脅かす不埒者共を、完膚なきまでに叩き潰し、我らの安寧を取り戻せ、と……! 承知いたしました、お嬢様! このコンラート、地獄の底までお供します!)
リリアの解釈。
(『どうでもいい』……既存の秩序や常識は、もはやどうでもいい。『家に帰りたい』……私たちが目指すべき理想郷、ヴァレンシュタイン領の平和を守れ、と! そのための手段は、選ぶな! お嬢様、あなたのその覚悟、このリリア、受け止めました! 私の全ての発明は、この時のためにあったのです!)
ダリウスの解釈。
(『どうでもいい』……敵の命など、どうでもいいということだ! 『家に帰りたい』……我らが忠誠を誓うこの家、ヴァレンシュタインの名誉を、命を懸けて守り抜け! おお……! お嬢様は、我々に決起を促しておられるのだ! このダリウス、武人としてこれ以上の誉れはありません!)
「「「御意に」」」
三人の声が、重なった。
彼らは私の前に片膝をつき、深く頭を垂れる。その姿は、最後の戦いに赴く騎士のようだった。
「え……?」
呆然とする私を置き去りにして、三人は立ち上がった。その顔には、もう迷いはない。
あるのはただ、敬愛する主の「最終命令」を遂行するという、鋼の決意だけだった。
「お嬢様、しばしお待ちを」
「すぐに、我らの楽園を取り戻してまいります」
「お嬢様を悲しませる全てのものを、この世から消し去って……!」
三人は、嵐のように部屋を出て行った。
私は、何が起きたのか分からず、ただその場に座り込むことしかできなかった。
私の、ただの弱音。
それが、最強の忠臣たちによる、電光石火の反撃劇の引き金になってしまったことを、私はまだ知らない。
物語は、クライマックスへと向けて、急加速を始めていた。
状況は、悪くなる一方だった。宰相一派は次々と新たな「証拠」をでっち上げ、ヴァレンシュタイン家は完全に孤立無援となっていた。
私は、すっかり気力を失っていた。
食事も喉を通らず、ただ窓の外を眺めては、ため息をつくばかり。
もう、疲れた。何もかも。
破滅フラグを回避しようと、目立たないようにしようと、そう思っていたのに、結果は最悪の方向に向かっている。
私のそばには、常に三人の忠臣が控えていた。
コンラート、リリア、ダリウス。彼らは、静かに、しかしその瞳の奥に激しい炎を宿して、私の次の言葉を待っていた。
彼らは信じていた。この絶体絶命の状況すら、我が主イザベラ様の壮大な計画の一部なのだと。あえて敵を油断させ、泳がせ、その上で一気に叩き潰すための、深遠なる計略なのだと。
そして今、その反撃の狼煙が上がる瞬間を、固唾を飲んで待っているのだ。
しかし、そんな彼らの期待を知る由もない私は、ついに心の糸がぷつりと切れてしまった。
ぽろぽろと涙を流しながら、私は諦めの言葉を呟いた。
「もう……どうでもいいわ……」
その一言に、三人の体がピクリと反応する。
「家に、帰りたい……」
家に帰りたい。それは、このヴァレンシュタイン邸のことではない。前世の、私の本当の家に帰りたい、という魂の叫びだった。
もう、公爵令嬢も、聖女も、悪役令嬢も、全部やめたい。ただの私に、戻りたい。
絶望と諦めから生まれた、私の弱々しい呟き。
しかし、その言葉は、忠誠心でフィルターがかかった三人の耳には、全く違う決死の号令として響き渡った。
コンラートの解釈。
(『もう、どうでもいいわ』……つまり、手加減は不要ということか。『家に帰りたい』……このヴァレンシュタイン家こそが、我らの帰るべき楽園。その楽園を脅かす不埒者共を、完膚なきまでに叩き潰し、我らの安寧を取り戻せ、と……! 承知いたしました、お嬢様! このコンラート、地獄の底までお供します!)
リリアの解釈。
(『どうでもいい』……既存の秩序や常識は、もはやどうでもいい。『家に帰りたい』……私たちが目指すべき理想郷、ヴァレンシュタイン領の平和を守れ、と! そのための手段は、選ぶな! お嬢様、あなたのその覚悟、このリリア、受け止めました! 私の全ての発明は、この時のためにあったのです!)
ダリウスの解釈。
(『どうでもいい』……敵の命など、どうでもいいということだ! 『家に帰りたい』……我らが忠誠を誓うこの家、ヴァレンシュタインの名誉を、命を懸けて守り抜け! おお……! お嬢様は、我々に決起を促しておられるのだ! このダリウス、武人としてこれ以上の誉れはありません!)
「「「御意に」」」
三人の声が、重なった。
彼らは私の前に片膝をつき、深く頭を垂れる。その姿は、最後の戦いに赴く騎士のようだった。
「え……?」
呆然とする私を置き去りにして、三人は立ち上がった。その顔には、もう迷いはない。
あるのはただ、敬愛する主の「最終命令」を遂行するという、鋼の決意だけだった。
「お嬢様、しばしお待ちを」
「すぐに、我らの楽園を取り戻してまいります」
「お嬢様を悲しませる全てのものを、この世から消し去って……!」
三人は、嵐のように部屋を出て行った。
私は、何が起きたのか分からず、ただその場に座り込むことしかできなかった。
私の、ただの弱音。
それが、最強の忠臣たちによる、電光石火の反撃劇の引き金になってしまったことを、私はまだ知らない。
物語は、クライマックスへと向けて、急加速を始めていた。
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