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第20話:国を救った悪役令嬢
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クライマン宰相の陰謀は完全に暴かれ、彼は地下牢へと投獄された。一派の者共も、残らず捕縛された。
ヴァレンシュタイン家の潔白は証明され、それどころか、国を救った英雄として、その名は王国中に轟き渡った。
そして、その全ての功績の中心にいる人物として、私の名は、もはや伝説となっていた。
「イザベラ様は、宰相の陰謀を全てお見通しだったのだ」
「あえて罠にかかったフリをして、敵を一網打尽にするとは、まさに神業……」
「我らが聖女は、国を救うために降臨されたのだ!」
私は、解放された父と共に、再び王城へと召喚された。
玉座の前に立つと、国王陛下自ら、私に最大級の賛辞を贈ってくださった。
「イザベラ嬢。君の知略と勇気が、この王国を救った。言葉もない。本当に、感謝する」
「……もったいないお言葉です、陛下」
私は、引きつった笑みを浮かべることしかできなかった。知略も勇気も、私には欠片もないというのに。
全ての式典が終わり、私は王城のバルコニーで、一人、夜風に当たっていた。
(これから、どうなるのかしら……。もう、婚約破棄なんて無理そうだし……)
ため息をついていると、背後から足音が聞こえた。振り返ると、そこにはアルフォンス皇太子が立っていた。
彼の青い瞳は、今までにないほど真剣で、熱っぽい光を宿していた。
「イザベラ」
彼は、私の前に歩み寄ると、その場で片膝をついた。
「……え?」
驚く私の手を、彼は優しく取る。
「君には、謝らなければならない。私は、君が宰相の罠にかかったとき、何もできずにいた。君を信じると言いながら、ただ無力に傍観していることしかできなかった」
「いえ、そんなことは……」
「だが、君は違った。君はたった一人で、絶望的な状況を覆し、この国を救って見せた。君のその強さ、気高さ、そして全てを見通す知恵……。私は、心から君を尊敬している。そして――愛している」
彼の口から紡がれた、あまりにも真っすぐな言葉。
「国を救った君にこそ、私の隣にいてほしい。いや、君でなければ、駄目なんだ。イザベラ・フォン・ヴァレンシュタイン。どうか、私と結婚して、この国の王妃になってはくれないだろうか」
正式な、プロポーズだった。
王国の危機を乗り越え、愛を誓う二人。周りから見れば、それはそれは美しい光景だろう。
しかし、私の頭の中は、大パニックに陥っていた。
(け、結婚!? 王妃!? 冗談じゃないわ! そんなの、ニート生活から最も遠い役職じゃない!)
王妃になったら、公務だの、社交だの、世継ぎだの、面倒なことのオンパレードに決まっている。私の理想とする「食べて寝るだけの生活」は、夢のまた夢と消えてしまう。
それだけは、絶対に嫌だ!
穏便な婚約破棄は諦めた。でも、結婚は別問題だ。
私は、このプロポーズを、全力で断る決意を固めた。
ヴァレンシュタイン家の潔白は証明され、それどころか、国を救った英雄として、その名は王国中に轟き渡った。
そして、その全ての功績の中心にいる人物として、私の名は、もはや伝説となっていた。
「イザベラ様は、宰相の陰謀を全てお見通しだったのだ」
「あえて罠にかかったフリをして、敵を一網打尽にするとは、まさに神業……」
「我らが聖女は、国を救うために降臨されたのだ!」
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玉座の前に立つと、国王陛下自ら、私に最大級の賛辞を贈ってくださった。
「イザベラ嬢。君の知略と勇気が、この王国を救った。言葉もない。本当に、感謝する」
「……もったいないお言葉です、陛下」
私は、引きつった笑みを浮かべることしかできなかった。知略も勇気も、私には欠片もないというのに。
全ての式典が終わり、私は王城のバルコニーで、一人、夜風に当たっていた。
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ため息をついていると、背後から足音が聞こえた。振り返ると、そこにはアルフォンス皇太子が立っていた。
彼の青い瞳は、今までにないほど真剣で、熱っぽい光を宿していた。
「イザベラ」
彼は、私の前に歩み寄ると、その場で片膝をついた。
「……え?」
驚く私の手を、彼は優しく取る。
「君には、謝らなければならない。私は、君が宰相の罠にかかったとき、何もできずにいた。君を信じると言いながら、ただ無力に傍観していることしかできなかった」
「いえ、そんなことは……」
「だが、君は違った。君はたった一人で、絶望的な状況を覆し、この国を救って見せた。君のその強さ、気高さ、そして全てを見通す知恵……。私は、心から君を尊敬している。そして――愛している」
彼の口から紡がれた、あまりにも真っすぐな言葉。
「国を救った君にこそ、私の隣にいてほしい。いや、君でなければ、駄目なんだ。イザベラ・フォン・ヴァレンシュタイン。どうか、私と結婚して、この国の王妃になってはくれないだろうか」
正式な、プロポーズだった。
王国の危機を乗り越え、愛を誓う二人。周りから見れば、それはそれは美しい光景だろう。
しかし、私の頭の中は、大パニックに陥っていた。
(け、結婚!? 王妃!? 冗談じゃないわ! そんなの、ニート生活から最も遠い役職じゃない!)
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私は、このプロポーズを、全力で断る決意を固めた。
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