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エピローグ:勘違い王妃の、ちっとも穏やかじゃない毎日
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数年後。
私は、アルフォンス国王の妃となり、イザベラ王妃として、まあ、それなりに暮らしていた。
約束通り、私の生活は手厚く保障されている。一日三度の昼寝は、何よりも優先されるべき国家行事として扱われ、私がまどろんでいる間は、王城全体が静寂に包まれるほどだ。
今日も今日とて、私は王宮の庭園にある木陰のハンモックで、うとうとしていた。
(ああ、平和だわ……。これぞ、私が求めていた生活……)
しかし、その平穏は、すぐに破られる。
遠くから、視察に来た農林大臣が、私の姿を見て、そばにいた役人に感動した声で話しているのが聞こえてきた。
「見ろ! 王妃様は、自ら木陰でまどろむことで、国土の緑化政策の重要性を我々に示しておられるのだ! 木々がもたらす安らぎと涼……これこそ、我が国の目指すべき姿! すぐに新たな植林計画を立てるのだ!」
……違う。ただ、日差しがまぶしかっただけだ。
昼寝から覚めて、ラウンジでお茶を飲んでいれば、隣国の大使が、私の手元を凝視している。
「ほう……王妃様が今日お選びになった茶葉は、東方の乾燥地帯でしか取れない希少なもの……。これは、我が国との貿易において、砂漠の向こうにある新興国との関係を重視せよ、という無言のメッセージか……! 恐るべき外交手腕だ……!」
……違う。コンラートが「新作です」って出してきたから、何も考えずに飲んでるだけだ。
結局、王妃になっても、私の周りの勘違いは少しも収まらなかった。
むしろ、立場が上がったことで、勘違いのスケールが国家レベル、国際レベルにまで拡大してしまっている。
「イザベラ、また何か面白いことを考えているのか?」
夫となったアルフォンスが、愛おしそうに私を見つめてくる。彼の目には、私が今もなお、深遠なる知恵を秘めた、世界一ミステリアスで魅力的な女性に映っているらしい。
「別に、何も考えていませんわ。今夜のデザートのことくらいです」
「ははは、そう言って、君はいつも私を驚かせる。君のその謙虚さが、私は好きなんだ」
もう、何を言っても無駄だ。
背後には、相変わらず、コンラート、リリア、ダリウスが控えている。
彼らは、私のどんな些細な言動も見逃すまいと、その瞳をキラキラさせている。
そして、すっかり私の親友になったエマは、今日も「王妃様に捧げる祈りの会」という、ちょっとどうかと思う活動に勤しんでいるらしい。
私の望んだ「静かで平穏なニート生活」とは、少し、いや、だいぶ違う。
毎日が、勘違いと深読みと、それに伴う騒動の連続だ。
でも、
美味しいお菓子があって、ふかふかのベッドがあって、私を絶対的に肯定してくれる人たちが、すぐそばにいる。
「……まあ、悪くはない、か」
ぽつりと呟いたその言葉を、また周りが深読みして、新たな騒動が起きるのかもしれない。
それでも、このちっとも穏やかじゃないけれど、まんざらでもない幸せな毎日を、私はこれからも生きていくのだろう。
勘違い王妃の、波乱万丈な日々は、まだまだ始まったばかりだ。
私は、アルフォンス国王の妃となり、イザベラ王妃として、まあ、それなりに暮らしていた。
約束通り、私の生活は手厚く保障されている。一日三度の昼寝は、何よりも優先されるべき国家行事として扱われ、私がまどろんでいる間は、王城全体が静寂に包まれるほどだ。
今日も今日とて、私は王宮の庭園にある木陰のハンモックで、うとうとしていた。
(ああ、平和だわ……。これぞ、私が求めていた生活……)
しかし、その平穏は、すぐに破られる。
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……違う。ただ、日差しがまぶしかっただけだ。
昼寝から覚めて、ラウンジでお茶を飲んでいれば、隣国の大使が、私の手元を凝視している。
「ほう……王妃様が今日お選びになった茶葉は、東方の乾燥地帯でしか取れない希少なもの……。これは、我が国との貿易において、砂漠の向こうにある新興国との関係を重視せよ、という無言のメッセージか……! 恐るべき外交手腕だ……!」
……違う。コンラートが「新作です」って出してきたから、何も考えずに飲んでるだけだ。
結局、王妃になっても、私の周りの勘違いは少しも収まらなかった。
むしろ、立場が上がったことで、勘違いのスケールが国家レベル、国際レベルにまで拡大してしまっている。
「イザベラ、また何か面白いことを考えているのか?」
夫となったアルフォンスが、愛おしそうに私を見つめてくる。彼の目には、私が今もなお、深遠なる知恵を秘めた、世界一ミステリアスで魅力的な女性に映っているらしい。
「別に、何も考えていませんわ。今夜のデザートのことくらいです」
「ははは、そう言って、君はいつも私を驚かせる。君のその謙虚さが、私は好きなんだ」
もう、何を言っても無駄だ。
背後には、相変わらず、コンラート、リリア、ダリウスが控えている。
彼らは、私のどんな些細な言動も見逃すまいと、その瞳をキラキラさせている。
そして、すっかり私の親友になったエマは、今日も「王妃様に捧げる祈りの会」という、ちょっとどうかと思う活動に勤しんでいるらしい。
私の望んだ「静かで平穏なニート生活」とは、少し、いや、だいぶ違う。
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でも、
美味しいお菓子があって、ふかふかのベッドがあって、私を絶対的に肯定してくれる人たちが、すぐそばにいる。
「……まあ、悪くはない、か」
ぽつりと呟いたその言葉を、また周りが深読みして、新たな騒動が起きるのかもしれない。
それでも、このちっとも穏やかじゃないけれど、まんざらでもない幸せな毎日を、私はこれからも生きていくのだろう。
勘違い王妃の、波乱万丈な日々は、まだまだ始まったばかりだ。
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