出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた

黒崎隼人

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第34話「邪神の眷属、七つの大罪」

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 光苔の道に導かれ、俺たちは迷宮のさらに奥深くへと進んでいった。
 そしてついに、一つの巨大な円形の広間にたどり着いた。
 広さは闘技場ほどもあるだろうか。
 その中央には不気味な紫色の水晶がそびえ立っており、禍々しいオーラを放っている。

「……来るぞ」

 ダグが大剣を構えながらつぶやいた。
 その言葉と同時に、水晶が眩い光を放った。
 そして光が収まった時、そこには七体の異形の魔物が姿を現していた。
 一体は黄金の甲冑に身を包んだ、傲慢な雰囲気の騎士。
 一体は六本の腕を持ち、それぞれに違う武器を握った阿修羅のような戦士。
 一体は見る者を惑わす、妖艶な美女の姿をした魔女。
 他にも肥え太った豚の怪物や、蛇のように嫉妬深い目をした魔物など、どれもが一筋縄ではいかない強力なオーラを放っていた。

「こいつらが……」

 グラン爺がごくりと喉を鳴らす。
「邪神の最も信頼厚きしもべ。『七つの大罪』を司る、大罪の化身たちじゃ……!」

『傲慢』『憤怒』『色欲』『暴食』『嫉妬』『怠惰』『強欲』。
 人の負の感情から生まれた最強の眷属たち。
 こいつらを全て倒さなければ、その先に進むことはできない。

「上等じゃねえか!」

 ダグが雄叫びを上げた。
「一匹ずつ相手にするのは面倒だ! 俺がまとめて引き受けてやる!」

 ダグは無謀にも七体全員に向かって、突進しようとする。

「待て、ダグ!」

 俺は彼を制した。
「無策で突っ込んでも犬死にするだけだ! こいつらは一体一体が、俺たち一人一人に匹敵する力を持っている。連携して確実に仕留めるぞ!」

 俺の言葉に、ダグは舌打ちしながらも頷いた。

「よし、作戦を伝える!」

 俺は瞬時に相手の特徴と仲間たちの能力を照らし合わせ、最適なマッチアップを考え出した。

「エリアナさんは『傲慢』の騎士を! 騎士同士、誇りを賭けて戦ってください!」
「承知した!」

「ダグさんは『憤怒』の戦士を! その馬鹿力、存分に見せてやれ!」
「おうよ! 腕が鳴るぜ!」

「シルフィさんは『色欲』の魔女を! 同じ女性としてそのあざとさ、許せませんよね!」
「ええ、ええ! 木っ端微塵にしてやりますわ!」

「レオは『怠惰』を司る巨大なナマケモノみたいな奴を! お前の俊敏さで翻弄してやれ!」
「任せろ、カイ兄!」

「グラン爺は『強欲』の宝箱の化け物を! 魔法で中身ごと吹っ飛ばしてください!」
「ふぉっふぉっふぉ。任されよ」

「そして俺とセレスティアさんで、『暴食』の豚と『嫉妬』の蛇を同時に相手にする!」

「「「了解!!」」」

 俺たちは一斉に散開し、それぞれの敵へと向かっていった。
 広大な広間は、瞬く間に七つの戦場へと姿を変えた。
 エリアナと『傲慢』の騎士は、壮絶な剣戟を繰り広げていた。
 互いの剣が火花を散らし、一歩も譲らない。

「愚かな人間の騎士よ! 我が絶対の守りの前にひれ伏すがいい!」
「黙れ! 真の騎士の誇りは民を守る心に宿る! 貴様のような独りよがりの誇りなど、我が剣が打ち砕く!」

 ダグと『憤怒』の戦士は、まさに力と力のぶつかり合いだった。
 大剣と六本の武器が激しくぶつかり合い、衝撃波が周囲の岩を砕く。

「もっとだ! もっと楽しませろよぉ!」
「グオオオオッ!」

 シルフィと『色欲』の魔女の戦いは、華麗でしかし熾烈だった。
 魔女の幻術や誘惑の魔法を、シルフィはエルフの鋭い五感と風の魔法でことごとく見破り、正確無比な矢を放っていく。

「小賢しいエルフめ!」
「その厚化粧、剥がして差し上げますわ!」

 レオと『怠惰』の魔物は、追いかけっこをしているようだった。
 レオの目にも止まらぬ速さに動きの鈍い魔物は全くついていけず、いいように翻弄されている。
 グラン爺と『強欲』の宝箱の戦いは、派手な魔法の応酬だった。
 宝箱から放たれる金銀財宝の弾丸を、グラン爺は魔法障壁で防ぎ詠唱を続ける。

「欲に目がくらんだ哀れな化け物よ! ワシの究極魔法の味はどうじゃ! 『メテオ・ストライク』!」

 巨大な隕石が宝箱の頭上に降り注ぎ、木っ端微塵に破壊した。
 そして俺とセレスティアは、『暴食』と『嫉妬』の二体を相手にしていた。
『暴食』の豚は口から強力な胃酸を吐き出し、『嫉妬』の蛇は石化の魔眼でこちらを睨みつけてくる。
 厄介なコンビネーションだ。

「セレスティアさん! 援護を!」
「はい!」

 セレスティアが聖なる光の障壁を張り、胃酸と魔眼の効果を防いでくれる。
 その隙に俺はスキルを発動させた。

「お前らにはこいつをお見舞いしてやる!」

 俺は地面から無数の唐辛子を召喚し、それを野菜兵に持たせた。
 そして唐辛子をすり潰し、その粉末を二体の魔物へとぶちまけた。

「ブモッ!?」
「シャアアア!?」

 目と鼻に激辛の唐辛子粉末が入った二体は、猛烈な痛みと刺激にのたうち回る。

「とどめだ!」

 俺は地面から巨大で硬いゴボウを槍のように生えさせ、混乱している二体の心臓を正確に貫いた。

 こうして俺たちはそれぞれの死闘の末、七体の大罪の化身を全て打ち破ることに成功した。
 だが俺たちの消耗も激しかった。
 誰もが満身創痍で、その場に倒れ込む。

「はぁ……はぁ……。なんて奴らだ……」

 ダグが悪態をつく。
 だが休んでいる暇はなかった。
 七体の魔物が倒れたことで、広間の奥に新たな通路が開いたのだ。
 その通路の先から、今までとは比較にならないほどの濃密で邪悪な瘴気が溢れ出してくる。
『虚無の揺り籠』はもう、目と鼻の先だ。
 俺たちは傷ついた体に鞭を打ち、最後の力を振り絞って立ち上がった。
 世界の運命を決める最終決戦の舞台は、整ったのだ。
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