出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた

黒崎隼人

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番外編3「辺境の収穫祭」

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 その日、俺の領地は一年で最も賑わう日を迎えていた。
 秋の収穫を祝う、『アークライト収穫祭』だ。

 この祭りは俺が領主になってから始めたものだ。
 一年間の豊かな実りに感謝し、領地の皆で美味いものを腹いっぱい食べようという、シンプルなお祭り。
 だが今ではその噂が口コミで広まり、ロックウェルの街や近隣の村からもたくさんの人が訪れる一大イベントになっていた。

 広場の中央には巨大なやぐらが組まれ、その周りにはたくさんの屋台が立ち並んでいる。
 屋台で売られているのは、もちろん俺の領地で採れた新鮮な食材を使った絶品グルメばかりだ。

「さあ、いらっしゃいいらっしゃい! 世界樹の恵みたっぷり! 特製フルーツジュースだよ!」
「焼きたてのトウモロコシはいかがかね! 醤油の焦げた匂いがたまらないよ!」

 テル村の村人たちが、生き生きとした表情で店番をしている。
 かつての貧しかった村の姿はもうどこにもない。
 誰もが笑顔でこの日を楽しんでいた。

 そして俺はというと。
 やぐらの上で巨大な鉄板を前に、汗だくで料理を作っていた。
 この収穫祭のメインイベント。
 領主である俺自らが料理を振る舞う、『領主様の大盤振る舞い』だ。

「はい、おまちどう! 特製焼きそば、一丁!」

 俺が威勢よく声を上げると、やぐらの下に集まった人々から、わっと歓声が上がった。
 俺の焼きそばは大人気なのだ。
 ソースももちろん自家製。トマトと様々なスパイスをブレンドした秘伝のソースだ。

「カイ! 俺にも大盛りで頼む!」

 懐かしい声に顔を上げると、そこには人混みをかき分けてやってきたダグの姿があった。
 いつの間にか紅蓮のグリフォンのメンバーも全員揃っている。

「なんだ、みんな来てたのか!」

「当たり前だろ! お前の祭りと聞いちゃあ、黙っていられるかよ!」
 ダグは豪快に笑った。

「カイ様のお料理、楽しみにしてましたわ」
「腹ぺこぺこだぜー!」
「酒も進むわい!」

 俺は旧友との再会に笑みを浮かべると、特大の焼きそばを彼らに振る舞った。
 彼らは子供のように目を輝かせ、その味に舌鼓を打っている。

 ふと視線をやぐらの下に向けると、エリアナの姿もあった。
 夫である副総長と仲睦まじく焼きそばを頬張っている。
 彼女もわざわざ王都から駆けつけてくれたのだ。
 俺が手を振ると、彼女は少し照れくさそうに手を振り返してくれた。

 そして、やぐらのすぐそばでは、大きくなったお腹を抱えたセレスティアが、ルプスと一緒に穏やかな笑みで俺を見守ってくれていた。
 彼女の笑顔が、俺の力の源だ。

 祭りは夜まで続いた。
 広場の中央ではキャンプファイヤーが焚かれ、人々はその周りで輪になって踊っている。
 子供たちの笑い声。
 大人たちの陽気な歌声。
 美味い飯と酒。
 そして大切な仲間たちの笑顔。

 俺はその幸せな光景を、ただ黙って目に焼き付けていた。
 ああ、なんて素晴らしい一日だろう。
 俺が作りたかった場所は、まさにこれだ。
 誰もが笑って暮らせる、平和で豊かな場所。

 俺は追放されたあの日、絶望の淵にいた。
 だが、あの出来事があったからこそ、今の俺がいる。
 人生、何が幸いするか分からないものだ。

 祭りの終わり。
 夜空に大きな打ち上げ花火が上がった。
 グラン爺が魔法で作り出してくれた特別な花火だ。
 色とりどりの光の華が夜空を彩り、人々から感嘆の声が漏れる。

 俺はセレスティアの肩をそっと抱き寄せた。
 彼女は俺の胸に顔をうずめる。
 お腹の中の赤ちゃんが、ぽこりと動いたのが分かった。

「……来年は、三人で見ような」
「……はい」

 俺たちの幸せな収穫祭は、これからもずっとずっと続いていく。
 この愛すべき領地で。
 大切な家族と仲間たちと共に。
 俺は心からの感謝を、この世界に捧げた。
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