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第8章:新たな挑戦と最初のヒット商品
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「アースガルディア・アグリカルチャー・カンパニー」の加工工場は、希望と活気に満ちていた。リリアーナが設計に加わった生産ラインは効率的で、衛生管理も徹底されている。従業員となった村の若者たちは、最初は慣れない機械に戸惑いながらも、目を輝かせて新しい技術を習得していった。彼らにとって、この工場は単なる職場ではなく、村の未来そのものだった。
リリアーナ、エリック、そして農業技術顧問となったトーマスの三人が、この新しい船の舵取り役だ。リリアーナは商品開発と全体の戦略を、エリックは販売と経営実務を、トーマスは原料となる作物の品質管理と安定供給を担当する。それぞれの専門知識が噛み合った時、会社は強力な推進力を得た。
最初の商品ラインナップとして、リリアーナは二つの柱を立てた。一つは、先日投資家たちを唸らせた「濃厚ポタージュ」。もう一つは、様々な種類の野菜を乾燥させた「お手軽乾燥野菜ミックス」。どちらも、前世の知識を活かした商品だった。ポタージュは手軽に栄養が摂れるため、忙しい都市部の住人や兵士に需要が見込める。乾燥野菜は、長期保存が可能で、野菜が不足しがちな冬場の貴重な栄養源となる。これは、国の食糧安定供給にも繋がる戦略的な商品だった。
商品開発は、まさに試行錯誤の連続だった。ポタージュの味付けは、何十種類ものハーブを試し、最もジャガイモの風味を引き立てる組み合わせを探った。乾燥野菜は、栄養価を損なわない最適な乾燥温度と時間を見つけ出すのに、何日もかかった。パッケージデザインも、リリアーナが自らスケッチを描き、商品の魅力が一目で伝わるように工夫を凝らした。
そして、数週間の奮闘の末、ついに記念すべき第一号商品が完成した。琥珀色の美しい箱に収められたポタージュと、彩り豊かな乾燥野菜。それらを前に、リリアーナと従業員たちの顔には、深い満足感と自信が浮かんでいた。
「さあ、ここからが本番だ!」
エリックの号令一下、販売戦略が開始された。彼はまず、自身の商会の太いパイプを活かし、エルドニアの町だけでなく、王都の高級食材店や有力な商会に商品を売り込んだ。リリアーナも、時には自ら営業に赴いた。
彼女の存在は、良くも悪くも注目を集めた。「追放されたあの悪役令嬢が、商売を始めたらしい」という噂は、王都の社交界にまで届いていた。最初は好奇の目や侮りの目で見ていた商人たちも、実際に商品を試食し、リリアーナの熱意あふれる説明を聞くうちに、その認識を改めていった。
「これは…本当に、あの令嬢が?」
「品質は本物だ。辺境の産物とは思えん」
リリアーナは、元悪役令嬢という評判を逆手に取った。「わたくし、追放されて初めて食の大切さを知りましたの。この商品は、わたくしの再起をかけた情熱そのものですわ」と、物語性を交えて語ることで、人々の心を掴んでいった。
そして、最初の大きな注文が舞い込んだ。王都で最も格式高いとされる、貴族御用達の高級食材店「ゴールデンリーフ」からの大量発注だった。そのニュースは、会社全体を大きな喜びに包んだ。
「やりましたね、リリアーナさん!」
エリックが興奮気味に言うと、リリアーナも満面の笑みで頷いた。
「ええ。でも、これはまだ始まりに過ぎませんわ」
順調な滑り出し。しかし、リリアーナは決して油断していなかった。彼女の成功が大きくなればなるほど、それを快く思わない者たちからの風当たりも強くなるだろう。特に、王都でアルフレッド王子の隣にいるセシリアが、黙って見ているはずがない。リリアーナは、耳に入ってきたセシリアに関する不穏な噂を思い出し、気を引き締めた。
品質と実績こそが、最大の武器。リリアーナは、自らが作り出した商品に絶対の自信を持っていた。どんな困難が待ち受けていようとも、この仲間たちと、この商品と共に乗り越えてみせる。
会社の新たな挑戦は、王都にまでその名を轟かせ、輝かしい未来を予感させていた。しかし、その光が強ければ強いほど、濃い影もまた、すぐそばまで迫っていることを、リリアーナはまだ知らなかった。
リリアーナ、エリック、そして農業技術顧問となったトーマスの三人が、この新しい船の舵取り役だ。リリアーナは商品開発と全体の戦略を、エリックは販売と経営実務を、トーマスは原料となる作物の品質管理と安定供給を担当する。それぞれの専門知識が噛み合った時、会社は強力な推進力を得た。
最初の商品ラインナップとして、リリアーナは二つの柱を立てた。一つは、先日投資家たちを唸らせた「濃厚ポタージュ」。もう一つは、様々な種類の野菜を乾燥させた「お手軽乾燥野菜ミックス」。どちらも、前世の知識を活かした商品だった。ポタージュは手軽に栄養が摂れるため、忙しい都市部の住人や兵士に需要が見込める。乾燥野菜は、長期保存が可能で、野菜が不足しがちな冬場の貴重な栄養源となる。これは、国の食糧安定供給にも繋がる戦略的な商品だった。
商品開発は、まさに試行錯誤の連続だった。ポタージュの味付けは、何十種類ものハーブを試し、最もジャガイモの風味を引き立てる組み合わせを探った。乾燥野菜は、栄養価を損なわない最適な乾燥温度と時間を見つけ出すのに、何日もかかった。パッケージデザインも、リリアーナが自らスケッチを描き、商品の魅力が一目で伝わるように工夫を凝らした。
そして、数週間の奮闘の末、ついに記念すべき第一号商品が完成した。琥珀色の美しい箱に収められたポタージュと、彩り豊かな乾燥野菜。それらを前に、リリアーナと従業員たちの顔には、深い満足感と自信が浮かんでいた。
「さあ、ここからが本番だ!」
エリックの号令一下、販売戦略が開始された。彼はまず、自身の商会の太いパイプを活かし、エルドニアの町だけでなく、王都の高級食材店や有力な商会に商品を売り込んだ。リリアーナも、時には自ら営業に赴いた。
彼女の存在は、良くも悪くも注目を集めた。「追放されたあの悪役令嬢が、商売を始めたらしい」という噂は、王都の社交界にまで届いていた。最初は好奇の目や侮りの目で見ていた商人たちも、実際に商品を試食し、リリアーナの熱意あふれる説明を聞くうちに、その認識を改めていった。
「これは…本当に、あの令嬢が?」
「品質は本物だ。辺境の産物とは思えん」
リリアーナは、元悪役令嬢という評判を逆手に取った。「わたくし、追放されて初めて食の大切さを知りましたの。この商品は、わたくしの再起をかけた情熱そのものですわ」と、物語性を交えて語ることで、人々の心を掴んでいった。
そして、最初の大きな注文が舞い込んだ。王都で最も格式高いとされる、貴族御用達の高級食材店「ゴールデンリーフ」からの大量発注だった。そのニュースは、会社全体を大きな喜びに包んだ。
「やりましたね、リリアーナさん!」
エリックが興奮気味に言うと、リリアーナも満面の笑みで頷いた。
「ええ。でも、これはまだ始まりに過ぎませんわ」
順調な滑り出し。しかし、リリアーナは決して油断していなかった。彼女の成功が大きくなればなるほど、それを快く思わない者たちからの風当たりも強くなるだろう。特に、王都でアルフレッド王子の隣にいるセシリアが、黙って見ているはずがない。リリアーナは、耳に入ってきたセシリアに関する不穏な噂を思い出し、気を引き締めた。
品質と実績こそが、最大の武器。リリアーナは、自らが作り出した商品に絶対の自信を持っていた。どんな困難が待ち受けていようとも、この仲間たちと、この商品と共に乗り越えてみせる。
会社の新たな挑戦は、王都にまでその名を轟かせ、輝かしい未来を予感させていた。しかし、その光が強ければ強いほど、濃い影もまた、すぐそばまで迫っていることを、リリアーナはまだ知らなかった。
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