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第43話「民の祈り、奇跡の光」
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ヴァイス領の人々が祈りを捧げ始めてから、数日が過ぎた。
最初は、ほんの小さな変化だった。
祈りの間で結界の維持に努めていたエルナとアルトが、ふと自分たちの体の負担が少しだけ軽くなっていることに気づいたのだ。
「……アルト、何か感じる?」
「うん。なんだか、あったかい……」
まるでたくさんの人々が、後ろから自分たちの体を優しく支えてくれているような、そんな不思議な感覚だった。
その感覚は、日を追うごとに強くなっていった。
人々が捧げる純粋な感謝と、平和への願い。
その「想いの力」が目には見えないエネルギーとなって、エルナとアルトの聖なる力を補強し始めていたのだ。
消耗する一方だった二人の魔力は、少しずつ回復の兆しを見せ始めた。アルトの顔色にも血の気が戻り、再び笑顔が見られるようになった。
「……すごい。みんなの想いが、本当に力になっているんだわ……」
エルナは、胸が熱くなるのを感じた。
この国は、本当に温かい。
誰もが、誰かのために心を寄せることができる。
この絆こそが、この国の本当の強さなのだ。
そしてその奇跡は、結界の外にも影響を及し始めていた。
結界を維持するエルナとアルトの負担が減ったことで、余剰となった聖なる力が結界そのものから溢れ出すようになったのだ。
それは、浄化の光だった。
結界の周囲に駐留していたガルニア帝国の兵士たちは、その光を浴びるうちに心の中に不思議な変化が起きるのを感じていた。
長年の戦いで荒みきっていた心が、穏やかになっていく。
故郷に残してきた家族の顔が、思い浮かぶ。
『俺たちは、ここで一体何をしているんだろう……』
『こんな意味のない戦い、もうやめにしたい……』
兵士たちの間に、厭戦気分が急速に広がっていった。
戦意を失った兵士たちは次々と武器を捨て、故郷へと脱走し始めたのだ。
「ま、待て! どこへ行く!」
将軍たちがいくら制止しても、その流れはもう止まらなかった。
最終的に、ヴァイス領を包囲していた大軍は戦うことなく、内側から瓦解してしまった。
そして皇帝の元にも、その知らせは届いた。
「……聖なる光が、兵士たちの戦意を奪った、だと……?」
皇帝は信じられないという顔で、報告を聞いていた。
「なんという恐ろしい力だ……。武力で国を奪うことしか考えてこなかった儂には、理解できん……」
彼はその時初めて、本当の恐怖を感じた。
それは剣や魔法に対する恐怖ではない。
人の「想い」が持つ、計り知れない力に対する畏怖だった。
ガルニア帝国は、ヴァイス領への侵攻を完全に断念した。
それどころか皇帝はこれまでの覇権主義を改め、周辺諸国との協調路線へと舵を切ることを決意したという。
ヴァイス領が放った奇跡の光は、邪な野心を打ち砕き、一つの帝国の在り方さえも変えてしまったのだ。
脅威が完全に去ったことを確認したエルナは、ゆっくりと結界を解いた。
数ヶ月ぶりに、ヴァイス領は外の世界と再び繋がった。
国境には帝国軍が慌てて撤退した際に置き去りにしていった、大量の武器や物資が残されているだけだった。
ヴァイス領は一人の犠牲者も出すことなく、血を流すこともなく、史上最大の国難を乗り越えたのだ。
その知らせに、国中は歓喜に沸いた。
人々は広場に集まり、互いの健闘を讃え合った。
その輪の中心で、エルナとガイオン、そしてアルトは、人々からの嵐のような感謝の拍手を浴びていた。
「聖女様、ありがとう!」
「領主様、万歳!」
「アルト様も、よく頑張られた!」
エルナは目に涙を浮かべながら、集まってくれた人々に深々と頭を下げた。
「……いいえ。わたくしたちだけではありません。この国を守ったのは、皆さん一人一人の『想い』の力です」
その言葉に、人々は誇らしげに胸を張った。
この勝利は、誰か一人の英雄がもたらしたものではない。
この国に住むすべての人々が心を一つにして勝ち取った、奇跡の勝利だったのだ。
この日、ヴァイス領の絆は、世界中のどんな国よりも強く、固く結ばれたのだった。
最初は、ほんの小さな変化だった。
祈りの間で結界の維持に努めていたエルナとアルトが、ふと自分たちの体の負担が少しだけ軽くなっていることに気づいたのだ。
「……アルト、何か感じる?」
「うん。なんだか、あったかい……」
まるでたくさんの人々が、後ろから自分たちの体を優しく支えてくれているような、そんな不思議な感覚だった。
その感覚は、日を追うごとに強くなっていった。
人々が捧げる純粋な感謝と、平和への願い。
その「想いの力」が目には見えないエネルギーとなって、エルナとアルトの聖なる力を補強し始めていたのだ。
消耗する一方だった二人の魔力は、少しずつ回復の兆しを見せ始めた。アルトの顔色にも血の気が戻り、再び笑顔が見られるようになった。
「……すごい。みんなの想いが、本当に力になっているんだわ……」
エルナは、胸が熱くなるのを感じた。
この国は、本当に温かい。
誰もが、誰かのために心を寄せることができる。
この絆こそが、この国の本当の強さなのだ。
そしてその奇跡は、結界の外にも影響を及し始めていた。
結界を維持するエルナとアルトの負担が減ったことで、余剰となった聖なる力が結界そのものから溢れ出すようになったのだ。
それは、浄化の光だった。
結界の周囲に駐留していたガルニア帝国の兵士たちは、その光を浴びるうちに心の中に不思議な変化が起きるのを感じていた。
長年の戦いで荒みきっていた心が、穏やかになっていく。
故郷に残してきた家族の顔が、思い浮かぶ。
『俺たちは、ここで一体何をしているんだろう……』
『こんな意味のない戦い、もうやめにしたい……』
兵士たちの間に、厭戦気分が急速に広がっていった。
戦意を失った兵士たちは次々と武器を捨て、故郷へと脱走し始めたのだ。
「ま、待て! どこへ行く!」
将軍たちがいくら制止しても、その流れはもう止まらなかった。
最終的に、ヴァイス領を包囲していた大軍は戦うことなく、内側から瓦解してしまった。
そして皇帝の元にも、その知らせは届いた。
「……聖なる光が、兵士たちの戦意を奪った、だと……?」
皇帝は信じられないという顔で、報告を聞いていた。
「なんという恐ろしい力だ……。武力で国を奪うことしか考えてこなかった儂には、理解できん……」
彼はその時初めて、本当の恐怖を感じた。
それは剣や魔法に対する恐怖ではない。
人の「想い」が持つ、計り知れない力に対する畏怖だった。
ガルニア帝国は、ヴァイス領への侵攻を完全に断念した。
それどころか皇帝はこれまでの覇権主義を改め、周辺諸国との協調路線へと舵を切ることを決意したという。
ヴァイス領が放った奇跡の光は、邪な野心を打ち砕き、一つの帝国の在り方さえも変えてしまったのだ。
脅威が完全に去ったことを確認したエルナは、ゆっくりと結界を解いた。
数ヶ月ぶりに、ヴァイス領は外の世界と再び繋がった。
国境には帝国軍が慌てて撤退した際に置き去りにしていった、大量の武器や物資が残されているだけだった。
ヴァイス領は一人の犠牲者も出すことなく、血を流すこともなく、史上最大の国難を乗り越えたのだ。
その知らせに、国中は歓喜に沸いた。
人々は広場に集まり、互いの健闘を讃え合った。
その輪の中心で、エルナとガイオン、そしてアルトは、人々からの嵐のような感謝の拍手を浴びていた。
「聖女様、ありがとう!」
「領主様、万歳!」
「アルト様も、よく頑張られた!」
エルナは目に涙を浮かべながら、集まってくれた人々に深々と頭を下げた。
「……いいえ。わたくしたちだけではありません。この国を守ったのは、皆さん一人一人の『想い』の力です」
その言葉に、人々は誇らしげに胸を張った。
この勝利は、誰か一人の英雄がもたらしたものではない。
この国に住むすべての人々が心を一つにして勝ち取った、奇跡の勝利だったのだ。
この日、ヴァイス領の絆は、世界中のどんな国よりも強く、固く結ばれたのだった。
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