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第11話「ざまぁ、そして才能の真価」
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帝国軍の先遣部隊は、「原石の輝き」の前に、ものの数時間で壊滅した。
指揮官を討ち取られ、統率を失った兵士たちは、武器を捨てて逃げ惑う。それは戦いというよりも、一方的な蹂躙だった。
戦いが終わった後、司たち三人は、王都の城門へと向かった。
門の前では、国王自らが出迎え、その周りを大臣や騎士たちが固めている。そして、その最後尾に、バルドをはじめとする宮廷魔術師団の面々が、俯いて立っていた。
「よくぞ、王国を救ってくれた! 英雄たちよ!」
国王は、司たちの手を取り、心からの感謝を述べた。
「この度の功績、望みのままに褒美を取らす! 何なりと申すがよい!」
「では、陛下。一つ、お願いがございます」
司は、国王に深々と頭を下げると、まっすぐにバルドたちの方を見据えた。
「宮廷魔術師団に所属する、レオとアンナ。この二人を、我々のパーティーに引き渡していただきたい」
その言葉に、バルドの肩が大きく跳ねた。
国王は、不思議そうな顔をしたが、すぐに了承した。
「うむ。それくらいのこと、訳もない。すぐに二人を連れて参れ」
やがて、二人の若い男女が、おずおずと司たちの前に連れてこられた。
気弱そうな少年、レオ。
負けん気の強そうな少女、アンナ。
二人とも、才能を燻らせ自信を失った目をしていたが、司は、その奥に眠るSランクの輝きを、はっきりと見て取っていた。
「司……さん……?」
アンナが、信じられないといった表情で、司の名前をつぶやいた。彼が追放された後も、二人は司から受けたアドバイスを忘れたことはなかったのだ。
「久しぶりだな、二人とも。迎えに来たぞ」
司は、優しく微笑みかけた。
そして、彼は踵を返し、今度こそバルドと正面から向き合った。
「バルド殿。いや、バルド。あんたは、俺のスキルを『節穴』だと言ったな。今、ここで、どちらの目が節穴だったか、証明してやろう」
司は、レオとアンナの肩に手を置くと、【才能鑑定】の結果を、その場にいる全員に聞こえるように高らかに告げた。
「【名前:レオ、才能限界値:聖騎士(S)】【名前:アンナ、才能限界値:大魔導士(S)】!」
「なっ……!?」
「Sランクだと!?」
その場の全員が、息をのんだ。Sランク。それは、歴史に名を残す英雄たちだけが持つとされる、最高の才能ランクだ。
「そうだ。あんたたちは、この国宝級の才能を、ただの石ころだと思い込み、泥の中に放置し続けた。それどころか、自分たちのくだらないプライドのために、意図的に潰そうとさえした」
司の言葉の一つ一つが、鋭い刃となって、バルドたちの心を突き刺す。
「だが、俺は違う。俺には、彼らがどれほどまばゆい輝きを秘めているかが、はっきりと見えていた。そして、その輝きを引き出す術も知っていた」
司は、リョウガとミリアを指し示した。
「ここにいる二人も、同じだ。剣聖と、大賢者の才能。あんたたちの節穴の目では、決して見抜くことのできなかった、本物の『原石』だ。俺は、その原石を拾い集め、こうして磨き上げた。その結果が、さっきの戦いだ。あんたたちが束になっても敵わなかった帝国軍を、俺たちは、たった三人で退けた」
事実だった。誰も、反論することなどできない。
「わかるか? これが、才能の真価だ。そして、それを見抜き、育てる力。それこそが、俺のスキルの、本当の価値なんだ」
バルドは、わなわなと唇を震わせ、顔を真っ赤にして俯いていた。
彼は、今、この瞬間、同時に二つのことを思い知らされていた。
一つは、自分たちがどれほど愚かで、取り返しのつかない過ちを犯したのかということ。
そしてもう一つは、自分たちが「無能」と蔑み、追放した男が、自分たちには到底及ばない、本物の育成能力を持っていたという、残酷な真実だ。
それは、物理的なダメージなどよりも、遥かに深く、そして痛みを伴う、精神的な敗北だった。
自分たちの信じてきた血統や身分が、才能の前では何の意味も持たないことを。自分たちの存在価値そのものを、根底から否定されたのだ。
「……う……あ……」
バルドは、意味のないうめき声を上げると、その場に膝から崩れ落ちた。他の魔術師たちも、皆、顔面蒼白で立つことすらままならないようだった。
これ以上、惨めな公開処刑はなかった。
司は、そんな彼らにもはや一瞥もせず、国王に向き直った。
「陛下。俺たちの褒美は、この二人だけで十分です。では、失礼します」
「ま、待ってくれ、司殿!」
国王が慌てて引き留める。
「どうか、その力を、この王国のために役立ててはくれまいか!? 魔術師団の……いや、この国の組織改革を、君に一任したい!」
それは、最大限の評価であり、懇願だった。
司は、少しだけ考えると、不敵な笑みを浮かべて答えた。
「ええ、いいでしょう。ただし、やり方は、俺のやり方でやらせてもらいますよ」
才能ある者が、正当に評価される国へ。
司の本当の戦いは、まだ始まったばかりだった。
歴史の影に消えていく者たちを背に、新たな英雄たちの物語が、今、高らかに幕を開けた。
指揮官を討ち取られ、統率を失った兵士たちは、武器を捨てて逃げ惑う。それは戦いというよりも、一方的な蹂躙だった。
戦いが終わった後、司たち三人は、王都の城門へと向かった。
門の前では、国王自らが出迎え、その周りを大臣や騎士たちが固めている。そして、その最後尾に、バルドをはじめとする宮廷魔術師団の面々が、俯いて立っていた。
「よくぞ、王国を救ってくれた! 英雄たちよ!」
国王は、司たちの手を取り、心からの感謝を述べた。
「この度の功績、望みのままに褒美を取らす! 何なりと申すがよい!」
「では、陛下。一つ、お願いがございます」
司は、国王に深々と頭を下げると、まっすぐにバルドたちの方を見据えた。
「宮廷魔術師団に所属する、レオとアンナ。この二人を、我々のパーティーに引き渡していただきたい」
その言葉に、バルドの肩が大きく跳ねた。
国王は、不思議そうな顔をしたが、すぐに了承した。
「うむ。それくらいのこと、訳もない。すぐに二人を連れて参れ」
やがて、二人の若い男女が、おずおずと司たちの前に連れてこられた。
気弱そうな少年、レオ。
負けん気の強そうな少女、アンナ。
二人とも、才能を燻らせ自信を失った目をしていたが、司は、その奥に眠るSランクの輝きを、はっきりと見て取っていた。
「司……さん……?」
アンナが、信じられないといった表情で、司の名前をつぶやいた。彼が追放された後も、二人は司から受けたアドバイスを忘れたことはなかったのだ。
「久しぶりだな、二人とも。迎えに来たぞ」
司は、優しく微笑みかけた。
そして、彼は踵を返し、今度こそバルドと正面から向き合った。
「バルド殿。いや、バルド。あんたは、俺のスキルを『節穴』だと言ったな。今、ここで、どちらの目が節穴だったか、証明してやろう」
司は、レオとアンナの肩に手を置くと、【才能鑑定】の結果を、その場にいる全員に聞こえるように高らかに告げた。
「【名前:レオ、才能限界値:聖騎士(S)】【名前:アンナ、才能限界値:大魔導士(S)】!」
「なっ……!?」
「Sランクだと!?」
その場の全員が、息をのんだ。Sランク。それは、歴史に名を残す英雄たちだけが持つとされる、最高の才能ランクだ。
「そうだ。あんたたちは、この国宝級の才能を、ただの石ころだと思い込み、泥の中に放置し続けた。それどころか、自分たちのくだらないプライドのために、意図的に潰そうとさえした」
司の言葉の一つ一つが、鋭い刃となって、バルドたちの心を突き刺す。
「だが、俺は違う。俺には、彼らがどれほどまばゆい輝きを秘めているかが、はっきりと見えていた。そして、その輝きを引き出す術も知っていた」
司は、リョウガとミリアを指し示した。
「ここにいる二人も、同じだ。剣聖と、大賢者の才能。あんたたちの節穴の目では、決して見抜くことのできなかった、本物の『原石』だ。俺は、その原石を拾い集め、こうして磨き上げた。その結果が、さっきの戦いだ。あんたたちが束になっても敵わなかった帝国軍を、俺たちは、たった三人で退けた」
事実だった。誰も、反論することなどできない。
「わかるか? これが、才能の真価だ。そして、それを見抜き、育てる力。それこそが、俺のスキルの、本当の価値なんだ」
バルドは、わなわなと唇を震わせ、顔を真っ赤にして俯いていた。
彼は、今、この瞬間、同時に二つのことを思い知らされていた。
一つは、自分たちがどれほど愚かで、取り返しのつかない過ちを犯したのかということ。
そしてもう一つは、自分たちが「無能」と蔑み、追放した男が、自分たちには到底及ばない、本物の育成能力を持っていたという、残酷な真実だ。
それは、物理的なダメージなどよりも、遥かに深く、そして痛みを伴う、精神的な敗北だった。
自分たちの信じてきた血統や身分が、才能の前では何の意味も持たないことを。自分たちの存在価値そのものを、根底から否定されたのだ。
「……う……あ……」
バルドは、意味のないうめき声を上げると、その場に膝から崩れ落ちた。他の魔術師たちも、皆、顔面蒼白で立つことすらままならないようだった。
これ以上、惨めな公開処刑はなかった。
司は、そんな彼らにもはや一瞥もせず、国王に向き直った。
「陛下。俺たちの褒美は、この二人だけで十分です。では、失礼します」
「ま、待ってくれ、司殿!」
国王が慌てて引き留める。
「どうか、その力を、この王国のために役立ててはくれまいか!? 魔術師団の……いや、この国の組織改革を、君に一任したい!」
それは、最大限の評価であり、懇願だった。
司は、少しだけ考えると、不敵な笑みを浮かべて答えた。
「ええ、いいでしょう。ただし、やり方は、俺のやり方でやらせてもらいますよ」
才能ある者が、正当に評価される国へ。
司の本当の戦いは、まだ始まったばかりだった。
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