追放された【才能鑑定】スキル持ちの俺、Sランクの原石たちをプロデュースして最強へ

黒崎隼人

文字の大きさ
12 / 15

第11話「ざまぁ、そして才能の真価」

しおりを挟む
 帝国軍の先遣部隊は、「原石の輝き」の前に、ものの数時間で壊滅した。
 指揮官を討ち取られ、統率を失った兵士たちは、武器を捨てて逃げ惑う。それは戦いというよりも、一方的な蹂躙だった。
 戦いが終わった後、司たち三人は、王都の城門へと向かった。
 門の前では、国王自らが出迎え、その周りを大臣や騎士たちが固めている。そして、その最後尾に、バルドをはじめとする宮廷魔術師団の面々が、俯いて立っていた。
「よくぞ、王国を救ってくれた! 英雄たちよ!」
 国王は、司たちの手を取り、心からの感謝を述べた。
「この度の功績、望みのままに褒美を取らす! 何なりと申すがよい!」
「では、陛下。一つ、お願いがございます」
 司は、国王に深々と頭を下げると、まっすぐにバルドたちの方を見据えた。
「宮廷魔術師団に所属する、レオとアンナ。この二人を、我々のパーティーに引き渡していただきたい」
 その言葉に、バルドの肩が大きく跳ねた。
 国王は、不思議そうな顔をしたが、すぐに了承した。
「うむ。それくらいのこと、訳もない。すぐに二人を連れて参れ」
 やがて、二人の若い男女が、おずおずと司たちの前に連れてこられた。
 気弱そうな少年、レオ。
 負けん気の強そうな少女、アンナ。
 二人とも、才能を燻らせ自信を失った目をしていたが、司は、その奥に眠るSランクの輝きを、はっきりと見て取っていた。
「司……さん……?」
 アンナが、信じられないといった表情で、司の名前をつぶやいた。彼が追放された後も、二人は司から受けたアドバイスを忘れたことはなかったのだ。
「久しぶりだな、二人とも。迎えに来たぞ」
 司は、優しく微笑みかけた。
 そして、彼は踵を返し、今度こそバルドと正面から向き合った。
「バルド殿。いや、バルド。あんたは、俺のスキルを『節穴』だと言ったな。今、ここで、どちらの目が節穴だったか、証明してやろう」
 司は、レオとアンナの肩に手を置くと、【才能鑑定】の結果を、その場にいる全員に聞こえるように高らかに告げた。
「【名前:レオ、才能限界値:聖騎士(S)】【名前:アンナ、才能限界値:大魔導士(S)】!」
「なっ……!?」
「Sランクだと!?」
 その場の全員が、息をのんだ。Sランク。それは、歴史に名を残す英雄たちだけが持つとされる、最高の才能ランクだ。
「そうだ。あんたたちは、この国宝級の才能を、ただの石ころだと思い込み、泥の中に放置し続けた。それどころか、自分たちのくだらないプライドのために、意図的に潰そうとさえした」
 司の言葉の一つ一つが、鋭い刃となって、バルドたちの心を突き刺す。
「だが、俺は違う。俺には、彼らがどれほどまばゆい輝きを秘めているかが、はっきりと見えていた。そして、その輝きを引き出す術も知っていた」
 司は、リョウガとミリアを指し示した。
「ここにいる二人も、同じだ。剣聖と、大賢者の才能。あんたたちの節穴の目では、決して見抜くことのできなかった、本物の『原石』だ。俺は、その原石を拾い集め、こうして磨き上げた。その結果が、さっきの戦いだ。あんたたちが束になっても敵わなかった帝国軍を、俺たちは、たった三人で退けた」
 事実だった。誰も、反論することなどできない。
「わかるか? これが、才能の真価だ。そして、それを見抜き、育てる力。それこそが、俺のスキルの、本当の価値なんだ」
 バルドは、わなわなと唇を震わせ、顔を真っ赤にして俯いていた。
 彼は、今、この瞬間、同時に二つのことを思い知らされていた。
 一つは、自分たちがどれほど愚かで、取り返しのつかない過ちを犯したのかということ。
 そしてもう一つは、自分たちが「無能」と蔑み、追放した男が、自分たちには到底及ばない、本物の育成能力を持っていたという、残酷な真実だ。
 それは、物理的なダメージなどよりも、遥かに深く、そして痛みを伴う、精神的な敗北だった。
 自分たちの信じてきた血統や身分が、才能の前では何の意味も持たないことを。自分たちの存在価値そのものを、根底から否定されたのだ。
「……う……あ……」
 バルドは、意味のないうめき声を上げると、その場に膝から崩れ落ちた。他の魔術師たちも、皆、顔面蒼白で立つことすらままならないようだった。
 これ以上、惨めな公開処刑はなかった。
 司は、そんな彼らにもはや一瞥もせず、国王に向き直った。
「陛下。俺たちの褒美は、この二人だけで十分です。では、失礼します」
「ま、待ってくれ、司殿!」
 国王が慌てて引き留める。
「どうか、その力を、この王国のために役立ててはくれまいか!? 魔術師団の……いや、この国の組織改革を、君に一任したい!」
 それは、最大限の評価であり、懇願だった。
 司は、少しだけ考えると、不敵な笑みを浮かべて答えた。
「ええ、いいでしょう。ただし、やり方は、俺のやり方でやらせてもらいますよ」
 才能ある者が、正当に評価される国へ。
 司の本当の戦いは、まだ始まったばかりだった。
 歴史の影に消えていく者たちを背に、新たな英雄たちの物語が、今、高らかに幕を開けた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!

たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。 途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。 鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒! 素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。 裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました

黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった! これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

勇者パーティを追放された地味な器用貧乏は、 魔王軍の女騎士とスローライフを送る

ちくわ食べます
ファンタジー
勇者パーティから「地味、英雄譚の汚点」と揶揄され追放された器用貧乏な裏方の僕。 帰る場所もなく死の森を彷徨っていたところ、偶然にも重傷を負った魔王軍四天王で最強の女騎士「黒鉄剣のリューシア」と遭遇する。 敵同士のはずなのに、なぜか彼女を放っておけなくて。治療し、世話をし、一緒に暮らすことになった僕。 これは追放された男と、敗北を重ね居場所を失った女の物語。

処理中です...