追放された悪役令嬢、辺境で植物魔法に目覚める。銀狼領主の溺愛と精霊の加護で幸せスローライフ!〜真の聖女は私でした〜

黒崎隼人

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第19話「赦しと新たな未来へ」

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 戦いが終わり、静けさを取り戻した森で、ユリウスはカイルとリリアの前に進み出ると、深く、深く頭を下げた。

「リリア嬢……そして、ファングクラウ殿。本当に、申し訳なかった。私の愚かさが、君たちと、この土地の人々を苦しめた。王国を代表して、心から謝罪する」

 その姿には、かつての傲慢な王子の面影はなく、自らの過ちを真摯に悔いる一人の男の姿があった。

 リリアは、複雑な気持ちで彼を見つめた。

 彼に追放された日のことは、今も忘れられない。

 簡単に赦すことは、できない。

 でも、彼が自らの過ちを正すために、ここまで来てくれたことも事実だ。

 彼のおかげで、これ以上誰も傷つくことなく、戦いを終わらせることができた。

 隣を見ると、カイルが静かに頷いた。

 彼もまた、領民たちの平和な未来を、何よりも優先したいのだろう。

「……顔を上げてください、ユリウス殿下」

 リリアが静かに言うと、ユリウスは恐る恐る顔を上げた。

「私は、あなたを完全に赦すことは、まだできません。でも、あなたが真実を明らかにしてくださったこと、そして、これ以上血が流れることを防いでくださったことには、感謝しています」

 それは、リリアなりの精一杯の答えだった。

 ユリウスは、その言葉に救われたように、わずかに表情を和らげた。

「償いとして、とは言えないかもしれないが……」

 ユリウスは、一つの提案をした。

「王国は、この魔狼の森を、カイル・ファングクラウ殿が治める独立自治領として、その主権を正式に認める。今後、王都からのいかなる内政干渉も行わないことを、ここに誓う」

 それは、事実上の和解であり、辺境領の独立宣言だった。

 カイルは、リリアと民の顔を見渡し、そして力強く頷いた。

「……その提案、受け入れよう」

 こうして、魔狼の森と王国の間に、新たな関係が築かれることになった。

 王国軍は、捕虜となったセレーネを連れて静かに撤退していった。

 すべてが終わり、緊張の糸が切れたリリアは、どっと押し寄せた疲労から、その場にふらりと倒れ込みそうになる。

 その体を、カイルが優しく、しかし力強く支えた。

「リリア! しっかりしろ!」

「カイル……」

 彼の腕の中で、リリアは安心しきったように意識を失った。

 カイルは、愛しい婚約者をその逞しい腕に抱き上げると、領主館へと歩き出す。

 その背中を、獣人たちと、そして、森の木々が静かに見守っていた。

 長い戦いが終わり、魔狼の森に、本当の平和が訪れた。

 これからは、自分たちの手で、新しい国を、未来を、築いていくのだ。
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