【解析眼】をゴミだと追放された俺、辺境で神獣と美少女たちに囲まれ最強の領地を築く~今更戻ってこいと言われても、もう遅い~

黒崎隼人

文字の大きさ
8 / 22

第7話「炎と鋼の獣人少女」

しおりを挟む
 シルヴィアの魔道具によって村の生活レベルは格段に上がった。しかし、俺にはまだやりたいことがあった。それは、村の自衛力を高めるための、より強力な武具の生産だ。

 幸運なことに、俺は村の近くの洞窟で、未知の鉱石を発見していた。【解析眼】で視ると、それはとんでもないポテンシャルを秘めた金属だった。

【対象:星屑鋼(せいせつこう)】
【特性:極めて高い硬度と魔力伝導率を誇る伝説級の鉱石。ただし、融点が異常に高く、通常の鍛冶技術では加工不可能。】
【加工法:特定の獣人族に伝わる『霊脈呼吸鍛造法』を用い、炎の温度を精密に制御し、分子の結合点が最も緩む一瞬を叩く必要がある。】

『霊脈呼吸鍛造法』。これを使える鍛冶師を探す必要があった。

 噂を頼りに近隣の街を巡っていると、俺は一人の少女と出会った。狼の耳と尻尾を持つ、快活な獣人族の少女だ。彼女は旅の鍛冶師で、フレアと名乗った。

「星屑鋼だって!?あんた、どこでそんな幻の鉱石を!」

 俺が持っていた星屑鋼の欠片を見るなり、フレアは目を輝かせた。話を聞くと、彼女の一族こそが『霊脈呼吸鍛造法』を伝承する一族だったが、彼女自身はその秘伝の技を上手く扱えず、悩んでいたらしい。

「一族の誰も、完璧に扱えた人はいないんだ。炎の温度とか、槌を打つタイミングとか、あまりに感覚的すぎて……。私も、この星屑鋼を叩いてみたことがあるけど、傷一つつかなかった」

 俺は、彼女こそが探していた人物だと確信した。

「フレア、もしよかったら、俺に手伝わせてくれないか?」

「あんたに?あんた、鍛冶師なのか?」

「いや、違う。でも、あんたが槌を振るうべき“完璧な一瞬”が、俺には見える」

 俺たちはアティス村に戻り、フレアのために最高の設備を備えた鍛冶場を用意した。シルヴィアが設計した、温度を精密に制御できる特製の炉だ。

 フレアは半信半疑ながらも、真っ赤に熱された星屑鋼を金床に乗せた。

「いいか、フレア。今から俺が言う通りにやってくれ」

 俺は【解析眼】を最大に集中させ、星屑鋼の内部構造を凝視する。熱によって絶えず変化する分子の配列。その中に、ほんの一瞬だけ生まれる、奇跡のような一点。

「炉の温度をあと3度上げて!……よし、今だ!そこから右に2ミリ、角度はそのまま!全力で叩け!」

「えっ、こ、ここか!?」

 フレアは戸惑いながらも、俺の指示通りに巨大な槌を振り下ろした。

 キィィィン!

 今まで傷一つ付かなかった星屑鋼が、火花を散らし、美しい曲線を描いてへこんだ。

「なっ……!?」

 フレアが驚愕に目を見開く。

「まだだ、続けるぞ!次は炉の温度を5度下げて!3秒後、今の打点から左に5ミリの場所だ!」

「お、おう!」

 俺の矢継ぎ早の指示に、フレアは必死でついてくる。

 カン!カン!カン!

 鍛冶場に響くリズミカルな槌の音は、まるで音楽のようだった。俺が完璧な楽譜を読み上げ、フレアという最高の奏者がそれを奏でる。

 俺には視えていた。炎の揺らめき、槌が当たるべき分子の結合点、力が最も効率よく伝わる角度。その全てが。

 数時間後。

 汗だくになったフレアの前には、一本の剣が置かれていた。

 星屑鋼から作られたその剣は、刀身に夜空の星々を映したかのような美しい紋様が浮かび、尋常ではない魔力を放っていた。

 フレアが恐る恐るその剣を手に取ると、剣は彼女の闘気に呼応するように、淡い光を放った。

「すごい……なんだよ、これ……。あたしが……あたしが、こんなものを作ったのか……?」

 フレアは、自らの手が生み出した伝説級の武具を前に、わなわなと震えていた。

 彼女は俺の方を振り返り、その瞳には尊敬と、そして熱い信頼の光が宿っていた。

「レオン……あんた、何者なんだ?いや、そんなこたぁどうでもいい!あんた、最高だぜ!」

 快活な少女は、ニカッと笑うと、俺の背中をバシンと叩いた。

「決めた!あたし、この村にあんた専用の鍛冶場を建てる!あたしの腕と、あんたの目があれば、世界一の武具だって作れる!いや、神話の武具だって作れるぞ!」

 情に厚く、腕は確かな獣人少女は、こうして俺の楽園計画に、炎と鋼の魂を吹き込んでくれることになった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

追放悪役令嬢、辺境の荒れ地を楽園に!元夫の求婚?ざまぁ、今更遅いです!

黒崎隼人
ファンタジー
皇太子カイルから「政治的理由」で離婚を宣告され、辺境へ追放された悪役令嬢レイナ。しかし彼女は、前世の農業知識と、偶然出会った神獣フェンリルの力を得て、荒れ地を豊かな楽園へと変えていく。 そんな彼女の元に現れたのは、離婚したはずの元夫。「離婚は君を守るためだった」と告白し、復縁を迫るカイルだが、レイナの答えは「ノー」。 「離婚したからこそ、本当の幸せが見つかった」 これは、悪女のレッテルを貼られた令嬢が、自らの手で未来を切り拓き、元夫と「夫婦ではない」最高のパートナーシップを築く、成り上がりと新しい絆の物語。

追放された悪役令嬢、規格外魔力でもふもふ聖獣を手懐け隣国の王子に溺愛される

黒崎隼人
ファンタジー
「ようやく、この息苦しい生活から解放される!」 無実の罪で婚約破棄され、国外追放を言い渡された公爵令嬢エレオノーラ。しかし彼女は、悲しむどころか心の中で歓喜の声をあげていた。完璧な淑女の仮面の下に隠していたのは、国一番と謳われた祖母譲りの規格外な魔力。追放先の「魔の森」で力を解放した彼女の周りには、伝説の聖獣グリフォンをはじめ、可愛いもふもふ達が次々と集まってきて……!? 自由気ままなスローライフを満喫する元悪役令嬢と、彼女のありのままの姿に惹かれた「氷の王子」。二人の出会いが、やがて二つの国の運命を大きく動かすことになる。 窮屈な世界から解き放たれた少女が、本当の自分と最高の幸せを見つける、溺愛と逆転の異世界ファンタジー、ここに開幕!

婚約破棄された悪役令嬢の私、前世の記憶を頼りに辺境で農業始めます。~美味しい野菜で国を救ったら聖女と呼ばれました~

黒崎隼人
ファンタジー
王太子アルベルトから「悪役令嬢」の濡れ衣を着せられ、辺境へ追放された公爵令嬢エリザベート。しかし彼女は動じない。なぜなら彼女には、前世で日本の農業研究者だった記憶があったから! 痩せた土地、疲弊した人々――「ならば私が、この地を楽園に変えてみせる!」 持ち前の知識と行動力で、次々と農業改革を成功させていくエリザベート。やがて彼女の噂は王都にも届き、離婚を告げたはずの王太子が、後悔と疑問を胸に辺境を訪れる。 「離婚した元夫婦」が、王国を揺るがす大きな運命の歯車を回し始める――。これは、復縁しない二人が、最高のパートナーとして未来を築く、新しい関係の物語。

ゴミスキル【生態鑑定】で追放された俺、実は動物や神獣の心が分かる最強能力だったので、もふもふ達と辺境で幸せなスローライフを送る

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティの一員だったカイは、魔物の名前しか分からない【生態鑑定】スキルが原因で「役立たず」の烙印を押され、仲間から追放されてしまう。全てを失い、絶望の中でたどり着いた辺境の森。そこで彼は、自身のスキルが動物や魔物の「心」と意思疎通できる、唯一無二の能力であることに気づく。 森ウサギに衣食住を学び、神獣フェンリルやエンシェントドラゴンと友となり、もふもふな仲間たちに囲まれて、カイの穏やかなスローライフが始まった。彼が作る料理は魔物さえも惹きつけ、何気なく作った道具は「聖者の遺物」として王都を揺るがす。 一方、カイを失った勇者パーティは凋落の一途をたどっていた。自分たちの過ちに気づき、カイを連れ戻そうとする彼ら。しかし、カイの居場所は、もはやそこにはなかった。 これは、一人の心優しき青年が、大切な仲間たちと穏やかな日常を守るため、やがて伝説の「森の聖者」となる、心温まるスローライフファンタジー。

離婚と追放された悪役令嬢ですが、前世の農業知識で辺境の村を大改革!気づいた元夫が後悔の涙を流しても、隣国の王子様と幸せになります

黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢リセラは、夫である王子ルドルフから突然の離婚を宣告される。理由は、異世界から現れた聖女セリーナへの愛。前世が農業大学の学生だった記憶を持つリセラは、ゲームのシナリオ通り悪役令嬢として処刑される運命を回避し、慰謝料として手に入れた辺境の荒れ地で第二の人生をスタートさせる! 前世の知識を活かした農業改革で、貧しい村はみるみる豊かに。美味しい作物と加工品は評判を呼び、やがて隣国の知的な王子アレクサンダーの目にも留まる。 「君の作る未来を、そばで見ていたい」――穏やかで誠実な彼に惹かれていくリセラ。 一方、リセラを捨てた元夫は彼女の成功を耳にし、後悔の念に駆られ始めるが……? これは、捨てられた悪役令嬢が、農業で華麗に成り上がり、真実の愛と幸せを掴む、痛快サクセス・ラブストーリー!

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~

黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。 待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金! チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。 「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない! 輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる! 元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!

処理中です...