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エピローグ『物語は続いていく』
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あれから、さらに数年の時が流れた。
エルンディア皇国は、大陸で最も豊かで平和な国として、その名を不動のものにしていた。その礎を築いたのが、『農業大臣』リネットと、『摂政皇太子』クロードであることは、国の子供たちでさえ知っている。
私は今、久しぶりに『恵みの谷』の農園に来ていた。大臣の仕事は後任に譲り、今は名誉顧問として、時々アドバイスをするくらいだ。おかげで、畑仕事に没頭する時間が増えた。
「リネット、休憩にしないか。新しい品種の紅茶を淹れたんだ」
小屋から出てきたのは、エプロン姿がすっかり板についた、私の生涯のパートナー、クロードだった。彼は皇太子の仕事の合間を縫っては、こうして毎日のように農園にやってくる。その姿は、もはや日常の風景だ。
「あら、ありがとう。ちょうど喉が渇いていたところよ」
私たちは、縁側に並んで腰掛け、彼が淹れてくれた紅茶を味わう。穏やかで、幸せな時間。
「……なあ、リネット」
「なあに?」
「時々、思うんだ。もし、あの時、私たちが離婚していなかったら、どうなっていただろう、と」
彼の問いに、私は少し考えてから、答えた。
「きっと、私は王宮の鳥かごの中で、一生、土に触れたいと願いながら、枯れていったでしょうね。そして、あなたは、そんな私を見て、苦しみ続けたかもしれない」
「……そうだな」
彼は、空を見上げて、そっと私の肩を抱いた。
「離婚して、よかったな」
「ええ、本当によかったわ」
私たちは、顔を見合わせて笑い合った。
「離婚してよかった。でも、今もこうして、あなたと一緒にいられる。それが、一番の幸せよ」
「ああ、全くだ」
ふと、私は畑の一角に、見慣れない芽が出ているのに気づいた。
「あら? あれは何かしら?」
「ああ、それか。君が開発した『太陽の恵み』と、私が育てた(数少ない成功作の)『皇太子の涙』という名のトウモロコシを、交配させてみたんだ」
「まあ! あなた、いつの間にそんな技術を……!」
「君のパートナーだからな。これくらいはできないと」
彼は、誇らしげに胸を張る。
私たちは、どちらからともなく立ち上がると、その新しい芽の元へと歩み寄った。
どんな実がなるのだろう。甘いのか、酸っぱいのか。赤くなるのか、黄色くなるのか。
わからない。でも、きっと、二人で育てれば、最高の作物が実るに違いない。
私たちの物語は、一度終わり、そして、新しく始まった。
離婚から始まった、最高に輝く人生。その物語は、これからも、この豊かな土の上で、続いていく。
二人で、新しい品種を、そして新しい未来を、育みながら。
エルンディア皇国は、大陸で最も豊かで平和な国として、その名を不動のものにしていた。その礎を築いたのが、『農業大臣』リネットと、『摂政皇太子』クロードであることは、国の子供たちでさえ知っている。
私は今、久しぶりに『恵みの谷』の農園に来ていた。大臣の仕事は後任に譲り、今は名誉顧問として、時々アドバイスをするくらいだ。おかげで、畑仕事に没頭する時間が増えた。
「リネット、休憩にしないか。新しい品種の紅茶を淹れたんだ」
小屋から出てきたのは、エプロン姿がすっかり板についた、私の生涯のパートナー、クロードだった。彼は皇太子の仕事の合間を縫っては、こうして毎日のように農園にやってくる。その姿は、もはや日常の風景だ。
「あら、ありがとう。ちょうど喉が渇いていたところよ」
私たちは、縁側に並んで腰掛け、彼が淹れてくれた紅茶を味わう。穏やかで、幸せな時間。
「……なあ、リネット」
「なあに?」
「時々、思うんだ。もし、あの時、私たちが離婚していなかったら、どうなっていただろう、と」
彼の問いに、私は少し考えてから、答えた。
「きっと、私は王宮の鳥かごの中で、一生、土に触れたいと願いながら、枯れていったでしょうね。そして、あなたは、そんな私を見て、苦しみ続けたかもしれない」
「……そうだな」
彼は、空を見上げて、そっと私の肩を抱いた。
「離婚して、よかったな」
「ええ、本当によかったわ」
私たちは、顔を見合わせて笑い合った。
「離婚してよかった。でも、今もこうして、あなたと一緒にいられる。それが、一番の幸せよ」
「ああ、全くだ」
ふと、私は畑の一角に、見慣れない芽が出ているのに気づいた。
「あら? あれは何かしら?」
「ああ、それか。君が開発した『太陽の恵み』と、私が育てた(数少ない成功作の)『皇太子の涙』という名のトウモロコシを、交配させてみたんだ」
「まあ! あなた、いつの間にそんな技術を……!」
「君のパートナーだからな。これくらいはできないと」
彼は、誇らしげに胸を張る。
私たちは、どちらからともなく立ち上がると、その新しい芽の元へと歩み寄った。
どんな実がなるのだろう。甘いのか、酸っぱいのか。赤くなるのか、黄色くなるのか。
わからない。でも、きっと、二人で育てれば、最高の作物が実るに違いない。
私たちの物語は、一度終わり、そして、新しく始まった。
離婚から始まった、最高に輝く人生。その物語は、これからも、この豊かな土の上で、続いていく。
二人で、新しい品種を、そして新しい未来を、育みながら。
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