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6章 女装して辺境伯領を堕とした(10歳)
93話 3年後の遠征 2
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「みんな! いのちだいじにだぞ!」
「「おー!!」」
「かり! かり!」
――孤児の中で、魔力やスキルに目覚めた、戦闘適性があった子たち。
冒険者としてそこそこに育ちつつある彼らは、僕が教え込んだ「いのちだいじに」を守ってくれている。
子供は素直だ。
教えたことをそのまま覚えてくれる。
これは実に良い買い物をしたな。
なにしろ元手はタダで数十人単位の人材を発掘できた上に、少しばかり食いぶちを分けてやっただけで簡単に懐くどころか崇拝して絶対に裏切らない、得しかない買い物を。
……って、またジュリオン様らしい悪い考えが出てきちゃうのは、もう諦めている。
なんだかんだ、善悪で言えば間違いなく――少なくとも現段階までは――善の思考の元で判断をしているって理解しているから、無理やりに押し込めることはない。
多少ゲスいくらいがちょうど良いんだ、ジュリオン様ってのは。
なにしろどの世界でも悪役なんだから。
「子供に負けるな、野郎ども!」
「応!」
両翼から、大人としての体格を活かしての走りで展開してフロア全体を囲んでいくのは、統一された装備を身に付けた兵たち。
彼らの大半は、ただの平民だ。
魔力を持たない彼らは、魔力や戦闘スキルに目覚めた子供たちよりも弱い。
――だけど、それだって使い方次第だ。
きちんとした防具と長めの剣――それと成人男性としての体力と筋力、集団行動を叩き込まれた統率力で「数人をまとめて1人」としてカウントすれば、そこそこの難易度のダンジョン――そのボス戦でも、遊撃部隊としては充分に役に立つ。
なんなら普通のダンジョンでも充分に活躍できるし、レベルが上がった先で魔力に目覚めるとかいう例も出てきたくらいだ。
……本来は盗賊とか反乱軍とか人相手への任務がメインだけども、彼らだって男だ――ダンジョン攻略は夢だからね、そのときの反響はすさまじかった。
それに、やはり数はそれだけで威圧感がある。
戦闘に関してはそこそこの知能を有するモンスターたちは、だからこそ武装した集団を戦力と見なし、警戒してくれて動きが鈍くなる。
無理と判断したら確実に引いてくれて、重傷者までは出さない程度には鍛え上げた兵士たちだ、このまま任せても良いだろう。
基本的に数人のパーティー内の役割しか意識しない冒険者よりも軍隊として統率の取れている彼らの方が、特にこうした大乱戦では間違いなく信用ができるからね。
「我ら平民にもここまで着いてこられると教えてくださった我らが主君へ、活躍をもってお返ししろ!」
「「お――――!!」」
……またこれだよ。
どうせ聞いてくれないけど、形式的にでも言っとかないと。
「そこ! 主君は父上です! あと次期当主は兄上です! 間違えないように! 私はただの次男坊の代役です! 公式には存在しない人間です! 折檻しますよ!」
「「申し訳ございません! 戦場ゆえお声が聞き取れません!」」
「ですが後で叩いてください!」
「ムチで……はぁはぁ」
「見え……見え……!」
……駄目だこりゃ。
「……聞こえているでしょうに……はぁ……」
僕は肩を落としつつ、まぁどうせダンジョン内とあって他人の目はないからと諦める。
最初から諦めているとも言う。
だって男ってのはどいつもこいつもバカばっかだもん。
うん、知ってた。
だって僕は男だから。
「頭が痛い……」
諦めているから、かなり広いボスフロアを眺め直す。
――デュクロワ領「外」へ数日行軍した場所で発見された、大規模なダンジョン。
偵察の結果、そこにはこの周辺の土地を支配下に置いているボスモンスターが存在すると判明。
ゲームでは中盤に攻略が可能になる、攻略が必須ではないけどおいしい経験値稼ぎの場として鉄板のダンジョンとして知られていたところ――だと思う。
こればかりは「流行のものにはとりあえずで乗っかってネットの潮流に流されることでコンテンツを楽しみたい」という、ごく一般的な今どきのカジュアルユーザーとして――あくまで周回して各ヒロインルート攻略を重視してただけだったせいで、詰まったときくらいにしか動画とか攻略サイトとか掲示板を見ていなかった前世を呪いたい。
必要最小限、かつ、失敗したらセーブポイントからいくらでも巻き戻ってやり直せたもんな――「ただのゲームだったから」。
つまり僕に知識がないせいで、知識チートはできない。
あくまでざっくりとした要所要所でのそれだけなんだ。
……そりゃ、まさか世間で人気のゲーム、そのどのルートでも悲惨な目に遭う悪役に転生するなんて想像しないもんな。
そんな妄想たくましい前世だったらちゃんと細かいところまで覚えてただろうけども、残念ながら僕はごく普通の人間だったんだ……多分。
もう前世に戻ることはできない、っていうか死んでるから意味はないけども、前世がある以上来世もきっと存在する。
なら、覚えておこう――どんな情報でも知識で、それは身を助けるもの。
知っているというのは、特に生存競争の厳しい世界ほど有利なんだ。
――もっとも、知りすぎて女装とかした結果大惨事になることもあるけどね。
「「おー!!」」
「かり! かり!」
――孤児の中で、魔力やスキルに目覚めた、戦闘適性があった子たち。
冒険者としてそこそこに育ちつつある彼らは、僕が教え込んだ「いのちだいじに」を守ってくれている。
子供は素直だ。
教えたことをそのまま覚えてくれる。
これは実に良い買い物をしたな。
なにしろ元手はタダで数十人単位の人材を発掘できた上に、少しばかり食いぶちを分けてやっただけで簡単に懐くどころか崇拝して絶対に裏切らない、得しかない買い物を。
……って、またジュリオン様らしい悪い考えが出てきちゃうのは、もう諦めている。
なんだかんだ、善悪で言えば間違いなく――少なくとも現段階までは――善の思考の元で判断をしているって理解しているから、無理やりに押し込めることはない。
多少ゲスいくらいがちょうど良いんだ、ジュリオン様ってのは。
なにしろどの世界でも悪役なんだから。
「子供に負けるな、野郎ども!」
「応!」
両翼から、大人としての体格を活かしての走りで展開してフロア全体を囲んでいくのは、統一された装備を身に付けた兵たち。
彼らの大半は、ただの平民だ。
魔力を持たない彼らは、魔力や戦闘スキルに目覚めた子供たちよりも弱い。
――だけど、それだって使い方次第だ。
きちんとした防具と長めの剣――それと成人男性としての体力と筋力、集団行動を叩き込まれた統率力で「数人をまとめて1人」としてカウントすれば、そこそこの難易度のダンジョン――そのボス戦でも、遊撃部隊としては充分に役に立つ。
なんなら普通のダンジョンでも充分に活躍できるし、レベルが上がった先で魔力に目覚めるとかいう例も出てきたくらいだ。
……本来は盗賊とか反乱軍とか人相手への任務がメインだけども、彼らだって男だ――ダンジョン攻略は夢だからね、そのときの反響はすさまじかった。
それに、やはり数はそれだけで威圧感がある。
戦闘に関してはそこそこの知能を有するモンスターたちは、だからこそ武装した集団を戦力と見なし、警戒してくれて動きが鈍くなる。
無理と判断したら確実に引いてくれて、重傷者までは出さない程度には鍛え上げた兵士たちだ、このまま任せても良いだろう。
基本的に数人のパーティー内の役割しか意識しない冒険者よりも軍隊として統率の取れている彼らの方が、特にこうした大乱戦では間違いなく信用ができるからね。
「我ら平民にもここまで着いてこられると教えてくださった我らが主君へ、活躍をもってお返ししろ!」
「「お――――!!」」
……またこれだよ。
どうせ聞いてくれないけど、形式的にでも言っとかないと。
「そこ! 主君は父上です! あと次期当主は兄上です! 間違えないように! 私はただの次男坊の代役です! 公式には存在しない人間です! 折檻しますよ!」
「「申し訳ございません! 戦場ゆえお声が聞き取れません!」」
「ですが後で叩いてください!」
「ムチで……はぁはぁ」
「見え……見え……!」
……駄目だこりゃ。
「……聞こえているでしょうに……はぁ……」
僕は肩を落としつつ、まぁどうせダンジョン内とあって他人の目はないからと諦める。
最初から諦めているとも言う。
だって男ってのはどいつもこいつもバカばっかだもん。
うん、知ってた。
だって僕は男だから。
「頭が痛い……」
諦めているから、かなり広いボスフロアを眺め直す。
――デュクロワ領「外」へ数日行軍した場所で発見された、大規模なダンジョン。
偵察の結果、そこにはこの周辺の土地を支配下に置いているボスモンスターが存在すると判明。
ゲームでは中盤に攻略が可能になる、攻略が必須ではないけどおいしい経験値稼ぎの場として鉄板のダンジョンとして知られていたところ――だと思う。
こればかりは「流行のものにはとりあえずで乗っかってネットの潮流に流されることでコンテンツを楽しみたい」という、ごく一般的な今どきのカジュアルユーザーとして――あくまで周回して各ヒロインルート攻略を重視してただけだったせいで、詰まったときくらいにしか動画とか攻略サイトとか掲示板を見ていなかった前世を呪いたい。
必要最小限、かつ、失敗したらセーブポイントからいくらでも巻き戻ってやり直せたもんな――「ただのゲームだったから」。
つまり僕に知識がないせいで、知識チートはできない。
あくまでざっくりとした要所要所でのそれだけなんだ。
……そりゃ、まさか世間で人気のゲーム、そのどのルートでも悲惨な目に遭う悪役に転生するなんて想像しないもんな。
そんな妄想たくましい前世だったらちゃんと細かいところまで覚えてただろうけども、残念ながら僕はごく普通の人間だったんだ……多分。
もう前世に戻ることはできない、っていうか死んでるから意味はないけども、前世がある以上来世もきっと存在する。
なら、覚えておこう――どんな情報でも知識で、それは身を助けるもの。
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――もっとも、知りすぎて女装とかした結果大惨事になることもあるけどね。
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