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6章 女装して辺境伯領を堕とした(10歳)
94話 3年後の遠征 3
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――ここの推奨レベルは、10。
主人公パーティーの推奨レベルが10くらいでちょうど良いステージとしてどのルートでもお世話になった――ダンジョン名を見れば思い出せる程度の、あれ。
そもそも今世ですでに3年過ごしてるんだ、そういう名称なんて完全にすっぽ抜けているから確証がないのはしょうがない。
人類圏から少し外に出た場所、方角、モンスターの規模とレベルでの直感だけど、少なくとも似たようなダンジョンではあるはずだ。
ここは少なくとも、ゲーム内の序盤~中盤でおいしいダンジョンだったはず。
つまりはそこそこ育ってきたパーティーを育成させるのに――動画とかを見ながらでちょうど良いバランス。
……それに対して、ここに居る人たちの大半のレベルは恐らくは3程度――しかも、魔力や特別な力を持たない平民層も混ぜての推定値。
レベルが圧倒的に足りないのにここまで脱落者を出していないのは、ひとえに数の力。
――ここは、ゲームみたいにコマンドで楽々指示もできなければ時間もリアルタイムで待つ必要のある現実だ。
だからこそ、現実的に育ててきたチームワークというのが役に立つ。
「救護班! こっちへ来てくれ!」
「はい! 治癒魔法使い2名を!」
「第29部隊中破! 後退します!」
「第45部隊了解! 後退する!」
「助かる!」
この3年間で冒険者や兵士を「ユリア」として強制的にまとめ上げさせられ、強制的に鍛えさせられた成果がここにある。
それ自体はありがたいし、そうなるようにがんばってきた。
だからこそ、ゲーム内では多くて6人のパーティーで攻略する都合で足りなくなる手数と、ポーションなどの回復手段――そして交代で夜営をして日をまたいで攻略することにより、ゲームでのようにごく一部の上澄み、学園の生徒っていう入った時点でエリートな子たちでないと攻略できないようなダンジョンでも踏破できると踏んだ。
今回は500人と、かなりの規模を投入しての試み。
――だけど、それでもやはり「主人公くんハーレムでないと世界は滅びる」という運命は厳しく、上の階層まででかなりの脱落者を出している。
今戦える人数は、多くてその3分の1の150人くらい。
多いように見えるけども、これでも精鋭中の精鋭たちが6割脱落しているんだ。
うん。
単純に、生物としての強さと数が違いすぎるんだ――魔王軍の手先ってのは。
雑魚モンスターって言ってもレベル10までくらいなら無限にポップする仕組みだしな、ゲームでは。
瘴気とかいう魔力の素から自動生成されるBOTみたいな存在がモンスター。
何もかも限りのある人間にとって、あまりにも厳しすぎるよね。
「ぐっ……!」
「しまった! 不覚を!」
――そして、ゲームみたいに湧いてくるのにゲームよりも決まっていないランダムな攻撃も入ってくる。
どんな難易度なんだろう。
「いや、まだ戦え――」
腕を負傷した兵士が吠える。
けども――僕の教育は万全だ。
「撤退しろ! ユリア様から教わってきただろう! 『いのちをだいじに』だ!」
そうだ、この世界でも――本来なら平民の命なんて無視される世界だって、前世の通りにコスパを追求すると結果的にこうなるんだ――いちばん高いのが、人を育てる費用。
だからこそ、僕は叩き込んだ。
「僕の部下のうちは絶対に無茶をして死んだりするな」って。
「そうだ……俺は、あの方に……分かった! 第27部隊撤退する!」
「了解! 第34部隊が代わりに前に出る!」
――こういうアクシデントは、レベルが高くっても起きる。
それは、主人公くんと対をなすためにやたらと強いジュリオン様な僕以外のほとんどの人間がそうなんだ。
……やっぱ主人公くんが居ないと滅びるよな、こんな世界。
彼がなにかしらのイベントをこなして魔王軍そのものを弱体化させるまでは、いくら慎重にしていてもキリがない。
――今のところ、ここで戦闘可能な150人以外の残りは既にダンジョンの外へ撤退させているけども、ここまで誰1人として死んだ人は居ないし、重傷までは行かせていない。
だって、そんな運用をしていたら損だもんな。
そんな、ジュリオン様としてのツンデレな考えの元で人材の最適化についてを考察していると――
「――ユリア様!」
「……ええ。そろそろですね」
考えごとをしているあいだに取り巻きモンスターはだいたい片付いた。
だけどジュリオン様のブレインは優秀だから、視界にさえ入っていれば、ぼーっとしていても戦場の1人1匹に至るまでを把握できる。
だから今だって、昔のことを思い出してたくせに負傷した兵士の動きまで見ていて、無茶しそうなら撤退の号令を飛ばそうとしていたんだ。
ほんと、こんなスペックのくせにどうしてゲームではあんなにも……いや、やっぱりシナリオの都合だな。
あるいは「完璧なヘイトキャラを作ろう!」ってがんばりすぎちゃった運営のせいで、逆に「おかわいそうなジュリオン様」になっちゃったせいか。
はたまたは「顔も良いし、どうせなら女装させてぐへへさせられるくらい徹底的にやってやろう」って悪ノリした結果として、多くのお姉様方とそれなりのお兄様方の大好物になっちゃって、まさかの人気投票トップになっちゃったか。
……全部だろうな。
だって生存ルートの女装ジュリオン様、あんまりにもかわいくていかがわしかったからね。
男には興味がない僕でも、中身が男なジュリオン様じゃなきゃときめいてたレベルだからね。
同じような哀れな野郎どもが、SNSとかで女装ジュリオン様を知ってから「男なのか!?」って衝撃を受けて「でも……」「もう男でも良いや……」って性癖ねじ曲げられた報告も多数存在したからね。
そんなジュリオン様になっちゃた以上、あんな姿になりたくはないね。
だからこそ今、僕はがんばっているんだ。
この3年間も、必死で生存ルートへのフラグを積み上げていっているんだ。
主人公パーティーの推奨レベルが10くらいでちょうど良いステージとしてどのルートでもお世話になった――ダンジョン名を見れば思い出せる程度の、あれ。
そもそも今世ですでに3年過ごしてるんだ、そういう名称なんて完全にすっぽ抜けているから確証がないのはしょうがない。
人類圏から少し外に出た場所、方角、モンスターの規模とレベルでの直感だけど、少なくとも似たようなダンジョンではあるはずだ。
ここは少なくとも、ゲーム内の序盤~中盤でおいしいダンジョンだったはず。
つまりはそこそこ育ってきたパーティーを育成させるのに――動画とかを見ながらでちょうど良いバランス。
……それに対して、ここに居る人たちの大半のレベルは恐らくは3程度――しかも、魔力や特別な力を持たない平民層も混ぜての推定値。
レベルが圧倒的に足りないのにここまで脱落者を出していないのは、ひとえに数の力。
――ここは、ゲームみたいにコマンドで楽々指示もできなければ時間もリアルタイムで待つ必要のある現実だ。
だからこそ、現実的に育ててきたチームワークというのが役に立つ。
「救護班! こっちへ来てくれ!」
「はい! 治癒魔法使い2名を!」
「第29部隊中破! 後退します!」
「第45部隊了解! 後退する!」
「助かる!」
この3年間で冒険者や兵士を「ユリア」として強制的にまとめ上げさせられ、強制的に鍛えさせられた成果がここにある。
それ自体はありがたいし、そうなるようにがんばってきた。
だからこそ、ゲーム内では多くて6人のパーティーで攻略する都合で足りなくなる手数と、ポーションなどの回復手段――そして交代で夜営をして日をまたいで攻略することにより、ゲームでのようにごく一部の上澄み、学園の生徒っていう入った時点でエリートな子たちでないと攻略できないようなダンジョンでも踏破できると踏んだ。
今回は500人と、かなりの規模を投入しての試み。
――だけど、それでもやはり「主人公くんハーレムでないと世界は滅びる」という運命は厳しく、上の階層まででかなりの脱落者を出している。
今戦える人数は、多くてその3分の1の150人くらい。
多いように見えるけども、これでも精鋭中の精鋭たちが6割脱落しているんだ。
うん。
単純に、生物としての強さと数が違いすぎるんだ――魔王軍の手先ってのは。
雑魚モンスターって言ってもレベル10までくらいなら無限にポップする仕組みだしな、ゲームでは。
瘴気とかいう魔力の素から自動生成されるBOTみたいな存在がモンスター。
何もかも限りのある人間にとって、あまりにも厳しすぎるよね。
「ぐっ……!」
「しまった! 不覚を!」
――そして、ゲームみたいに湧いてくるのにゲームよりも決まっていないランダムな攻撃も入ってくる。
どんな難易度なんだろう。
「いや、まだ戦え――」
腕を負傷した兵士が吠える。
けども――僕の教育は万全だ。
「撤退しろ! ユリア様から教わってきただろう! 『いのちをだいじに』だ!」
そうだ、この世界でも――本来なら平民の命なんて無視される世界だって、前世の通りにコスパを追求すると結果的にこうなるんだ――いちばん高いのが、人を育てる費用。
だからこそ、僕は叩き込んだ。
「僕の部下のうちは絶対に無茶をして死んだりするな」って。
「そうだ……俺は、あの方に……分かった! 第27部隊撤退する!」
「了解! 第34部隊が代わりに前に出る!」
――こういうアクシデントは、レベルが高くっても起きる。
それは、主人公くんと対をなすためにやたらと強いジュリオン様な僕以外のほとんどの人間がそうなんだ。
……やっぱ主人公くんが居ないと滅びるよな、こんな世界。
彼がなにかしらのイベントをこなして魔王軍そのものを弱体化させるまでは、いくら慎重にしていてもキリがない。
――今のところ、ここで戦闘可能な150人以外の残りは既にダンジョンの外へ撤退させているけども、ここまで誰1人として死んだ人は居ないし、重傷までは行かせていない。
だって、そんな運用をしていたら損だもんな。
そんな、ジュリオン様としてのツンデレな考えの元で人材の最適化についてを考察していると――
「――ユリア様!」
「……ええ。そろそろですね」
考えごとをしているあいだに取り巻きモンスターはだいたい片付いた。
だけどジュリオン様のブレインは優秀だから、視界にさえ入っていれば、ぼーっとしていても戦場の1人1匹に至るまでを把握できる。
だから今だって、昔のことを思い出してたくせに負傷した兵士の動きまで見ていて、無茶しそうなら撤退の号令を飛ばそうとしていたんだ。
ほんと、こんなスペックのくせにどうしてゲームではあんなにも……いや、やっぱりシナリオの都合だな。
あるいは「完璧なヘイトキャラを作ろう!」ってがんばりすぎちゃった運営のせいで、逆に「おかわいそうなジュリオン様」になっちゃったせいか。
はたまたは「顔も良いし、どうせなら女装させてぐへへさせられるくらい徹底的にやってやろう」って悪ノリした結果として、多くのお姉様方とそれなりのお兄様方の大好物になっちゃって、まさかの人気投票トップになっちゃったか。
……全部だろうな。
だって生存ルートの女装ジュリオン様、あんまりにもかわいくていかがわしかったからね。
男には興味がない僕でも、中身が男なジュリオン様じゃなきゃときめいてたレベルだからね。
同じような哀れな野郎どもが、SNSとかで女装ジュリオン様を知ってから「男なのか!?」って衝撃を受けて「でも……」「もう男でも良いや……」って性癖ねじ曲げられた報告も多数存在したからね。
そんなジュリオン様になっちゃた以上、あんな姿になりたくはないね。
だからこそ今、僕はがんばっているんだ。
この3年間も、必死で生存ルートへのフラグを積み上げていっているんだ。
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