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6章 女装して辺境伯領を堕とした(10歳)
97話 壊れたデイジーさん
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「はぁ……はぁ……ジュリオンさまぁ……」
エミリーちゃんは疲れているんだ。
きっとそうだ。
それを慰めてくれるはずの心の中のジュリオン様は無事エミリーちゃんに射止められてしまったらしく、復活の兆しもないし。
「うぅ……でも、ジュリオン様が、ここは汚いから触っちゃダメってぇ……」
――復活したならば、僕の後ろでもじもじしてる、この状態のエミリーちゃんを任せたかったんだけど。
この子も懐いてるみたいだし……ほら、ジュリオン様時代から唯一といって良いほど明確に彼のことを好きだったみたいな子だし。
主人公くんへも中々なびかないほどの懐き具合……それが僕の女装のせいで変になっちゃってるからさ。
緑の髪はこの3年でかなり伸び、したがってポニーテールの長さが記憶にある10年後――じゃなくなって7年後のそれとほぼ同じになっている。
まぁまだ10歳だから、これからたわわになる体つきもまだまだ子供だけどね。
子供なのに、どうしてこうなっちゃったんだろう。
なんでだろうね、この子がこんなになっちゃったの。
いや、他の子も似たようなもんだし変わらないか。
……イケメンってのも大変だ。
無条件に周囲の女の子を無自覚にでも惚れさせて回るもんだから、そりゃあ女性関係のトラブルも増えるだろうよ。
ジュリオン様時代も扱いがひどかったし、僕になってからもそれなりに突き放した形になっているはずなのに、それでも好かれているんだからさ。
こんな状況のこと、前世一般平凡偏差値系男子だったらしい僕の前世は「正直めんどくさい」って言ってるし。
男が誰だって女の子にモテモテになりたいだなんて決めつけないでほしい。
僕は独り身でも良いから静かに穏やかに過ごしたいんだ。
……それか、せめて相手が20代以上で、かつ、普通の女性だったらあるいは……ほら、僕の精神年齢的にもこの世界のヒロインたち的にもさ。
――まぁ、女装してるせいで男からモテてるこの現状的にはぜいたく言うなってことなんだろうけどさ。
うん、まだまだメス堕ち・男の奴隷エンドが手ぐすね引いて待ち構えている以上、僕からは何も言えないんだ。
◇
「さすユリですユリア様!」
「デイジー様? その鳴き声、町じゅうに広めたのは貴女ですよね?」
「そんな些末なことはどうでも良いんです! 今回の遠征、ギルド長からも感謝の意をと……!」
「………………………………」
デイジーさん。
ブロンドの長い髪の毛をふわふわと――3年前よりも伸ばしながら、せっかくの美人さんな顔を台無しにして変な喜び方をしている残念美人さん。
完全に溶けたお口からはよだれが出るレベルのひどい有様だ。
気がつけば、まだ若いのにこの人がこのギルドのナンバー3とかになっているらしい彼女。
ゲームで立ち絵とか名前とかは記憶にないけども、ともかく僕に関わってるうちに重要人物になってしまったらしい。
まぁ今20歳くらいらしいし、この世界的には適齢期――じきに誰かと結婚し、7年も経ったら立派なお母さんとして僕とは関係ない世界を生きることになるだろうから、じきに引退するはず。
もう少しの辛抱だ……この、無駄に僕をヨイショしてくるっていうかアイドルの過激派ファンみたいな子の相手を苦笑いでするのは、あと少し。
……いや、なぜか同性(だと思っている)女の子な僕にしか興味がないっていうこの調子だと、この世界基準での行き遅れになる可能性もあるんだけども……大丈夫?
良心が痛むから良縁を紹介するのにも毎回断ってて、本当に大丈夫……?
「今の私は推し活が生き甲斐なんです!」とか……手遅れにならない……?
「……こほん。今回のユリア様によるダンジョン攻略により、デュクロワ領が事実上――4割ほど拡張されます。これは王国建国以来、初となる大戦果です。ために、今後しばらくは領主様の兵の方々と協力して各地のマッピング、及び残党の討伐がメインとなります」
僕の前で数分間ひとしきり変になったあとで、いきなり「すんっ」って真顔になって、一見できる受付嬢へと変貌するのも怖いんだよなぁ、この人……。
「この3年間、ユリア様へ何度となく緊急の援護をお願いした非礼を、ギルドとしてお詫びします」
「……いえ、民のためですから」
「さすユリ!!!」
あ、戻った。
「………………………………」
ああ。
この人、本来なら高スペックで高身長高収入イケメンをゲットできるはずなのに、推し活とかで婚期逃すタイプの可哀想な人だ。
こんな中世生まれなのに、ひと足早く現代の呪いに侵されている。
ていうかもうポジション的にも高嶺の花からお局様的なのになっちゃってて、釣り合いの取れる適齢期の男が10歳以上年上とか上級冒険者とか貴族くらいしか居なくなっているって自分で言ってた。
デイジーさん、婚活は大事だよ。
ほら、周りが心配してくれてる内が華なんだって。
なによりも――婚約者が居るくせに嫌われてるし、そもそもメインヒロインだから絶対結ばれないし、何よりメス堕ちしてお嫁さんになる未来抱えてる僕自身と比べたら……ね?
エミリーちゃんは疲れているんだ。
きっとそうだ。
それを慰めてくれるはずの心の中のジュリオン様は無事エミリーちゃんに射止められてしまったらしく、復活の兆しもないし。
「うぅ……でも、ジュリオン様が、ここは汚いから触っちゃダメってぇ……」
――復活したならば、僕の後ろでもじもじしてる、この状態のエミリーちゃんを任せたかったんだけど。
この子も懐いてるみたいだし……ほら、ジュリオン様時代から唯一といって良いほど明確に彼のことを好きだったみたいな子だし。
主人公くんへも中々なびかないほどの懐き具合……それが僕の女装のせいで変になっちゃってるからさ。
緑の髪はこの3年でかなり伸び、したがってポニーテールの長さが記憶にある10年後――じゃなくなって7年後のそれとほぼ同じになっている。
まぁまだ10歳だから、これからたわわになる体つきもまだまだ子供だけどね。
子供なのに、どうしてこうなっちゃったんだろう。
なんでだろうね、この子がこんなになっちゃったの。
いや、他の子も似たようなもんだし変わらないか。
……イケメンってのも大変だ。
無条件に周囲の女の子を無自覚にでも惚れさせて回るもんだから、そりゃあ女性関係のトラブルも増えるだろうよ。
ジュリオン様時代も扱いがひどかったし、僕になってからもそれなりに突き放した形になっているはずなのに、それでも好かれているんだからさ。
こんな状況のこと、前世一般平凡偏差値系男子だったらしい僕の前世は「正直めんどくさい」って言ってるし。
男が誰だって女の子にモテモテになりたいだなんて決めつけないでほしい。
僕は独り身でも良いから静かに穏やかに過ごしたいんだ。
……それか、せめて相手が20代以上で、かつ、普通の女性だったらあるいは……ほら、僕の精神年齢的にもこの世界のヒロインたち的にもさ。
――まぁ、女装してるせいで男からモテてるこの現状的にはぜいたく言うなってことなんだろうけどさ。
うん、まだまだメス堕ち・男の奴隷エンドが手ぐすね引いて待ち構えている以上、僕からは何も言えないんだ。
◇
「さすユリですユリア様!」
「デイジー様? その鳴き声、町じゅうに広めたのは貴女ですよね?」
「そんな些末なことはどうでも良いんです! 今回の遠征、ギルド長からも感謝の意をと……!」
「………………………………」
デイジーさん。
ブロンドの長い髪の毛をふわふわと――3年前よりも伸ばしながら、せっかくの美人さんな顔を台無しにして変な喜び方をしている残念美人さん。
完全に溶けたお口からはよだれが出るレベルのひどい有様だ。
気がつけば、まだ若いのにこの人がこのギルドのナンバー3とかになっているらしい彼女。
ゲームで立ち絵とか名前とかは記憶にないけども、ともかく僕に関わってるうちに重要人物になってしまったらしい。
まぁ今20歳くらいらしいし、この世界的には適齢期――じきに誰かと結婚し、7年も経ったら立派なお母さんとして僕とは関係ない世界を生きることになるだろうから、じきに引退するはず。
もう少しの辛抱だ……この、無駄に僕をヨイショしてくるっていうかアイドルの過激派ファンみたいな子の相手を苦笑いでするのは、あと少し。
……いや、なぜか同性(だと思っている)女の子な僕にしか興味がないっていうこの調子だと、この世界基準での行き遅れになる可能性もあるんだけども……大丈夫?
良心が痛むから良縁を紹介するのにも毎回断ってて、本当に大丈夫……?
「今の私は推し活が生き甲斐なんです!」とか……手遅れにならない……?
「……こほん。今回のユリア様によるダンジョン攻略により、デュクロワ領が事実上――4割ほど拡張されます。これは王国建国以来、初となる大戦果です。ために、今後しばらくは領主様の兵の方々と協力して各地のマッピング、及び残党の討伐がメインとなります」
僕の前で数分間ひとしきり変になったあとで、いきなり「すんっ」って真顔になって、一見できる受付嬢へと変貌するのも怖いんだよなぁ、この人……。
「この3年間、ユリア様へ何度となく緊急の援護をお願いした非礼を、ギルドとしてお詫びします」
「……いえ、民のためですから」
「さすユリ!!!」
あ、戻った。
「………………………………」
ああ。
この人、本来なら高スペックで高身長高収入イケメンをゲットできるはずなのに、推し活とかで婚期逃すタイプの可哀想な人だ。
こんな中世生まれなのに、ひと足早く現代の呪いに侵されている。
ていうかもうポジション的にも高嶺の花からお局様的なのになっちゃってて、釣り合いの取れる適齢期の男が10歳以上年上とか上級冒険者とか貴族くらいしか居なくなっているって自分で言ってた。
デイジーさん、婚活は大事だよ。
ほら、周りが心配してくれてる内が華なんだって。
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