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6章 女装して辺境伯領を堕とした(10歳)
104話 兄さんもおしまい!
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「ままぁ……」
「兄上、弟の胸元に抱きついて顔をうずめないでください」
父さんの頭の手前に――僕の顔にもっと近い頭がもうひとつ。
今世の兄。
父さん譲りの超イケメン。
前世換算高校生、しかも文武両道でバリバリ遠征とか出てる体育会系。
控えめに言って女子からの人気は嫉妬するほどに高い。
兄さんは――なぜか遺伝子さんたちの働きっぷりが片寄り過ぎているようで、兄さんは父さんの若いバージョン――クローンって言っても通じるし、なんならヒゲを生やしてそれらしい演技したら普通に父さんと間違えるレベル。
一方で僕は――父さん曰く「王城にあったセレスの肖像画と寸分違わぬ美貌……あれらの超絶美少女っぷりは、決して宮廷画家の誇張ではなかったのだ……セレスぅぅぅぅ!!!」らしく、完全に母さん似らしい。
そりゃあ3年前、まったく演技もしていないのに女装しただけで――髪の毛も短かかったのに、使用人さんとかおじいさんがああなるレベルだからな。
それから3年。
みんなに強制されたのもあって髪の毛は伸ばし放題、毎日のお風呂であわあわされて髪の毛のケアも30分とか1時間とかかけられて、もうすっかりつやっつや。
……僕も兄さんみたいなイケメンになりたかったよ。
いやまぁジュリオン様である以上、学園編には多少男らしさも出る高身長イケメンにはなるのは確定なんだけどさ。
なんなら髪の毛をざっくり切って普通の男の格好すれば美男子のはずなんだけどさ。
そんなこと絶対許されなくなっちゃったけども。
僕だって普通に男として――貴族のイケメン男子として女子にモテたかったよ……。
「ママぁ……俺、また判断を間違えて部下を死なせちゃったぁ……」
おっと、まずは兄さんだ。
高校生が戦場で指揮する重み――それは多少は理解できるし、ここは年長者として慰めてあげないとね。
「……戦いにおいて死者が出てしまうのは世の常です。兄上は、立派に――」
「ユーゴって呼んで!!」
……あげないとね。
「……ユーゴはがんばっていますよ」
「ままぁ――――――!!!」
「………………………………」
僕の胸元で泣きじゃくる、ユーゴ兄さん(前世換算高校生男子・時期当主)。
ああ。
この家は、もうダメかもしれない。
「うぅ……」
「なんとお美しい……」
「まるで芸術品……」
こんな、成人男性共が女装少年に抱きついて泣いている姿に泣いている使用人さんたちも、もうダメかもしれない。
「当然です! ジュリオンさまは優しいんです!」
「そうです! わたしたちにもお優しいんです!」
遠巻きに見てきているエミリーちゃんとアメリアちゃんも、もうダメかもしれない。
「はぁ……いいなぁ。姉御に抱きつけて」
「ご家族の特権だからな……だが、いつか俺も……!」
リラちゃん兄妹は――これ以上壊れないでね。
「ユリアさま……聖母……まま……生えてるけど、お母さん……!」
ルーシーちゃんは――僕がやらかしちゃったから文句は言えないけど、人の居ない場所ではとたんに甘えてくるの勘弁してほしいかな。
「それでだセレス――もといユリア、今回の遠征でセレスは当然のごとくに領外のダンジョンを制圧を」
くぐもったダンディな声が、僕の下から聞こえてくる。
「股ぐらに顔うずめたまま自然に話し出さないでください父上」
「だって、セレスなら本気で落ち込んでるときは許してくれてぇ」
「父上? 使用人たちどころか娘の前ですが?」
「後の処理は俺たちに任せてくださいママ上」
くぐもったイケメンボイスが、僕の胸元から聞こえてくる。
「兄上もさりげなく胸を揉みながら言わないでください。それはただのパッドです」
あと……ママ上って……何……?
「それでもいい……それでもいいんだ……!」
「それでもいいんだよママ……!」
「………………………………」
この父子は、もうとっくにダメかもしれない。
「……それで? 父――ピエールとユーゴの遠征はどうだったのですか?」
「!!! 聞いてくれるかセレス!!」
「せめてユリアでお願いします……頭が痛い……」
「ユリアママ!!」
「せめてユリア姉さんとでもお願いします……心臓が痛い……」
名前を呼ぶと、がばりと顔を向けてくる成人男性共から――膝とふとももと腰と胸を占拠されているために首だけでのけ反って、可能な限りに距離を離す。
………………………………。
この3年間で女装を――対外的には女の子のフリをし女の子として扱われてきたから、少しだけ女の子の気持ちが分かる気がする。
……どんなイケメンでも妻に泣きつくような夫だったり、いい年して母親に泣きつくような青年は――気持ちが悪いと。
いや、こういうのが好きだっていう気持ちとかはまったくもって分からないけどさ。
「兄上、弟の胸元に抱きついて顔をうずめないでください」
父さんの頭の手前に――僕の顔にもっと近い頭がもうひとつ。
今世の兄。
父さん譲りの超イケメン。
前世換算高校生、しかも文武両道でバリバリ遠征とか出てる体育会系。
控えめに言って女子からの人気は嫉妬するほどに高い。
兄さんは――なぜか遺伝子さんたちの働きっぷりが片寄り過ぎているようで、兄さんは父さんの若いバージョン――クローンって言っても通じるし、なんならヒゲを生やしてそれらしい演技したら普通に父さんと間違えるレベル。
一方で僕は――父さん曰く「王城にあったセレスの肖像画と寸分違わぬ美貌……あれらの超絶美少女っぷりは、決して宮廷画家の誇張ではなかったのだ……セレスぅぅぅぅ!!!」らしく、完全に母さん似らしい。
そりゃあ3年前、まったく演技もしていないのに女装しただけで――髪の毛も短かかったのに、使用人さんとかおじいさんがああなるレベルだからな。
それから3年。
みんなに強制されたのもあって髪の毛は伸ばし放題、毎日のお風呂であわあわされて髪の毛のケアも30分とか1時間とかかけられて、もうすっかりつやっつや。
……僕も兄さんみたいなイケメンになりたかったよ。
いやまぁジュリオン様である以上、学園編には多少男らしさも出る高身長イケメンにはなるのは確定なんだけどさ。
なんなら髪の毛をざっくり切って普通の男の格好すれば美男子のはずなんだけどさ。
そんなこと絶対許されなくなっちゃったけども。
僕だって普通に男として――貴族のイケメン男子として女子にモテたかったよ……。
「ママぁ……俺、また判断を間違えて部下を死なせちゃったぁ……」
おっと、まずは兄さんだ。
高校生が戦場で指揮する重み――それは多少は理解できるし、ここは年長者として慰めてあげないとね。
「……戦いにおいて死者が出てしまうのは世の常です。兄上は、立派に――」
「ユーゴって呼んで!!」
……あげないとね。
「……ユーゴはがんばっていますよ」
「ままぁ――――――!!!」
「………………………………」
僕の胸元で泣きじゃくる、ユーゴ兄さん(前世換算高校生男子・時期当主)。
ああ。
この家は、もうダメかもしれない。
「うぅ……」
「なんとお美しい……」
「まるで芸術品……」
こんな、成人男性共が女装少年に抱きついて泣いている姿に泣いている使用人さんたちも、もうダメかもしれない。
「当然です! ジュリオンさまは優しいんです!」
「そうです! わたしたちにもお優しいんです!」
遠巻きに見てきているエミリーちゃんとアメリアちゃんも、もうダメかもしれない。
「はぁ……いいなぁ。姉御に抱きつけて」
「ご家族の特権だからな……だが、いつか俺も……!」
リラちゃん兄妹は――これ以上壊れないでね。
「ユリアさま……聖母……まま……生えてるけど、お母さん……!」
ルーシーちゃんは――僕がやらかしちゃったから文句は言えないけど、人の居ない場所ではとたんに甘えてくるの勘弁してほしいかな。
「それでだセレス――もといユリア、今回の遠征でセレスは当然のごとくに領外のダンジョンを制圧を」
くぐもったダンディな声が、僕の下から聞こえてくる。
「股ぐらに顔うずめたまま自然に話し出さないでください父上」
「だって、セレスなら本気で落ち込んでるときは許してくれてぇ」
「父上? 使用人たちどころか娘の前ですが?」
「後の処理は俺たちに任せてくださいママ上」
くぐもったイケメンボイスが、僕の胸元から聞こえてくる。
「兄上もさりげなく胸を揉みながら言わないでください。それはただのパッドです」
あと……ママ上って……何……?
「それでもいい……それでもいいんだ……!」
「それでもいいんだよママ……!」
「………………………………」
この父子は、もうとっくにダメかもしれない。
「……それで? 父――ピエールとユーゴの遠征はどうだったのですか?」
「!!! 聞いてくれるかセレス!!」
「せめてユリアでお願いします……頭が痛い……」
「ユリアママ!!」
「せめてユリア姉さんとでもお願いします……心臓が痛い……」
名前を呼ぶと、がばりと顔を向けてくる成人男性共から――膝とふとももと腰と胸を占拠されているために首だけでのけ反って、可能な限りに距離を離す。
………………………………。
この3年間で女装を――対外的には女の子のフリをし女の子として扱われてきたから、少しだけ女の子の気持ちが分かる気がする。
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