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6章 女装して辺境伯領を堕とした(10歳)
116話 VS.魔王軍、女幹部
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ぶわり。
僕の目と鼻の先に――文字通りに迫ってきている、彫刻のような美という恐怖。
「はぁ……♥ なんて美しくて歪め甲斐のある顔……♥ あのときから、ずぅーっと貴女のことだけを待っていたわぁ……♥」
僕の目の前に、魔王軍――人類そのものの大敵で、その魔王直轄の指揮を受け、「魔王」の不在な学園編開始~中盤までは実質的なトップのエロディーが。
こくりと――思わずで僕の喉が鳴ってしまったほどに美しい顔が、満面の笑みと甘ったるい吐息を吹き付けながら、僕を見つめている。
「――――――っ、ユリア!」
一瞬、体の中が熱くなって――前世に置いてきぼりにしてたはずの衝動がこみ上げてきそうになった僕は、普段は落ち着いているはずの絶叫で引き戻される。
「……ジャ、ジャッジメント!」
ばちばちばちっ。
頭も体もぐるぐるとして、魔力も魔法も全然コントロールできていない必殺技を――身の危険を感じる間もなく、無理やりに彼女へ向けて放つ。
「「グオォォォォ!?」」
「あはぁ、それよそれぇ……♥ ほんっとうに、魂まで痺れちゃうのぉ……♥」
けれどもその黒と紫と銀の稲妻は、ひょいと躱した彼女の横をすり抜け――トロールたちを直撃する。
――あまりにも簡単に、必殺技が避けられた。
精密さこそ劣っていたけども、少なくとも威力と速度は並の近接魔法以上ではあったはずなのに。
「あ、姉御のを!? ……じゃねぇ、おい痴女、どっか行け!」
「リラ、あまり刺激はするな、迎撃だけに留めろ! ……だけど、あれを回避するだと……!?」
激しい音と光で正気に返ったのか、兄妹がマルテルさんと僕の前に躍り出ながらナイフを投擲。
「ふぅん? おでこちゃんにマジメ君……光るものは……あるわねぇ?」
「……チッ」
「ユリア様、ここは……」
けれども、やはり2人からの攻撃も――余裕で回避。
完全に、遊ばれている。
文字通りに、レベル――この世界における生物の強さそのもの――が、違いすぎる。
「……ユリア。数年前に……ということだったけれど」
「ええ、以前の情報は白紙で。この魔族は、紛れもなく強敵です」
すっかり立ち直っているマルテルさんが、2人に加勢。
魔法で牽制し始め、僕たちはダンジョン最下層でボス戦を開始させられてしまった。
戦闘に入らずに撤退しようとしていたのに、最下層が冒険者を迎え入れてしまった。
「……ふぅーん……?」
――そんな、圧倒的有利な状況にもかかわらず、何事かを考えながらひらりひらりと――ときにはこちらへ完全に背中を向けながら攻撃を回避するエロディー。
何がしたいのかは分からないけども……レベルの差は、圧倒的だ。
――そうだ。
彼女はゲームでも登場時から、どのルートでも中ボス以上としての強さを誇っていた。
ぽんこつからラスボスまで出ずっぱりなジュリオン様よりも安定して、厄介な的だった。
ジュリオン様魔王ルートのときはさらに強くなるものの、基本的にはゲームのシナリオに合わせてそこそこのレベリングをこなしていれば――主人公パーティーなら、数人で倒せる。
けれども画面外の描写としては、彼女が万全な状態だと、彼女1人が相手でも王直属の精鋭軍数百人が壊滅するほどの災害とあったはず。
……ゲームでは、主人公へ――シナリオ的な都合からか、最初からある程度の好感度があり。
さらに「誘惑」しようと「遊んで」きていたために強制的に負けるイベントこそなかったものの、ターン経過で彼女が「諦めてくれる」のを待つというのもあった。
持久戦――それも、ヘイトを引きつけてくれるヒロインたちに守られながらの。
――そもそもなぜ、たったの3年でこれほどの力を蓄えての復活を達成しているんだ。
ぐるぐると、思考が上手く回らない。
なんだか、変だ。
それに――「どうして彼女は、あんなに扇情的なんだ」。
「はぁ……っ、はぁ……っ」
――思考が、やっぱり、おかしい。
胸元のリボンを握りしめ、息が苦しくなるほどに痛めつけて無理やりにその考えを断ち切ろうとして――息が荒い程度で済んでいるけども、これはまさか。
「ユリア……あなたまさか、誘惑魔法で?」
「……まだ思考などの乗っ取りはないようですが、体に違和感が」
「さっきみたいに接近されるのは危険ね……もっとも、あの速度に私たちが対応できるかどうかは分からないけれど」
誘惑――テンプテーション。
サキュバスである彼女の得意技。
固有スキル、かつ種族特有スキル――かつ、準ラスボス固有のスキル。
男性キャラ――つまりは主人公くん限定だけど、ゲーム内最強ユニットの主役を確率で数ターン行動不能にさせてくる、乱数次第ではレベルで余裕でも敗北もあり得る状態異常。
僕は、ふと下を見る。
……大丈夫だ。
まだ10歳児だからか、スカート姿で大変なことにはなっていない。
それが救いか、それともその段階ですでにここまでなるのかと嘆くか。
ちなみに「大変なこと」とは、男として情けない姿という意味ではない。
サキュバスは男も女も魅了することができ、魅了されると腰砕けで座り込むという描写があったから、それが心配なだけだ。
だから、まだ大丈夫――少なくとも、立っていられている今は、まだ。
僕の目と鼻の先に――文字通りに迫ってきている、彫刻のような美という恐怖。
「はぁ……♥ なんて美しくて歪め甲斐のある顔……♥ あのときから、ずぅーっと貴女のことだけを待っていたわぁ……♥」
僕の目の前に、魔王軍――人類そのものの大敵で、その魔王直轄の指揮を受け、「魔王」の不在な学園編開始~中盤までは実質的なトップのエロディーが。
こくりと――思わずで僕の喉が鳴ってしまったほどに美しい顔が、満面の笑みと甘ったるい吐息を吹き付けながら、僕を見つめている。
「――――――っ、ユリア!」
一瞬、体の中が熱くなって――前世に置いてきぼりにしてたはずの衝動がこみ上げてきそうになった僕は、普段は落ち着いているはずの絶叫で引き戻される。
「……ジャ、ジャッジメント!」
ばちばちばちっ。
頭も体もぐるぐるとして、魔力も魔法も全然コントロールできていない必殺技を――身の危険を感じる間もなく、無理やりに彼女へ向けて放つ。
「「グオォォォォ!?」」
「あはぁ、それよそれぇ……♥ ほんっとうに、魂まで痺れちゃうのぉ……♥」
けれどもその黒と紫と銀の稲妻は、ひょいと躱した彼女の横をすり抜け――トロールたちを直撃する。
――あまりにも簡単に、必殺技が避けられた。
精密さこそ劣っていたけども、少なくとも威力と速度は並の近接魔法以上ではあったはずなのに。
「あ、姉御のを!? ……じゃねぇ、おい痴女、どっか行け!」
「リラ、あまり刺激はするな、迎撃だけに留めろ! ……だけど、あれを回避するだと……!?」
激しい音と光で正気に返ったのか、兄妹がマルテルさんと僕の前に躍り出ながらナイフを投擲。
「ふぅん? おでこちゃんにマジメ君……光るものは……あるわねぇ?」
「……チッ」
「ユリア様、ここは……」
けれども、やはり2人からの攻撃も――余裕で回避。
完全に、遊ばれている。
文字通りに、レベル――この世界における生物の強さそのもの――が、違いすぎる。
「……ユリア。数年前に……ということだったけれど」
「ええ、以前の情報は白紙で。この魔族は、紛れもなく強敵です」
すっかり立ち直っているマルテルさんが、2人に加勢。
魔法で牽制し始め、僕たちはダンジョン最下層でボス戦を開始させられてしまった。
戦闘に入らずに撤退しようとしていたのに、最下層が冒険者を迎え入れてしまった。
「……ふぅーん……?」
――そんな、圧倒的有利な状況にもかかわらず、何事かを考えながらひらりひらりと――ときにはこちらへ完全に背中を向けながら攻撃を回避するエロディー。
何がしたいのかは分からないけども……レベルの差は、圧倒的だ。
――そうだ。
彼女はゲームでも登場時から、どのルートでも中ボス以上としての強さを誇っていた。
ぽんこつからラスボスまで出ずっぱりなジュリオン様よりも安定して、厄介な的だった。
ジュリオン様魔王ルートのときはさらに強くなるものの、基本的にはゲームのシナリオに合わせてそこそこのレベリングをこなしていれば――主人公パーティーなら、数人で倒せる。
けれども画面外の描写としては、彼女が万全な状態だと、彼女1人が相手でも王直属の精鋭軍数百人が壊滅するほどの災害とあったはず。
……ゲームでは、主人公へ――シナリオ的な都合からか、最初からある程度の好感度があり。
さらに「誘惑」しようと「遊んで」きていたために強制的に負けるイベントこそなかったものの、ターン経過で彼女が「諦めてくれる」のを待つというのもあった。
持久戦――それも、ヘイトを引きつけてくれるヒロインたちに守られながらの。
――そもそもなぜ、たったの3年でこれほどの力を蓄えての復活を達成しているんだ。
ぐるぐると、思考が上手く回らない。
なんだか、変だ。
それに――「どうして彼女は、あんなに扇情的なんだ」。
「はぁ……っ、はぁ……っ」
――思考が、やっぱり、おかしい。
胸元のリボンを握りしめ、息が苦しくなるほどに痛めつけて無理やりにその考えを断ち切ろうとして――息が荒い程度で済んでいるけども、これはまさか。
「ユリア……あなたまさか、誘惑魔法で?」
「……まだ思考などの乗っ取りはないようですが、体に違和感が」
「さっきみたいに接近されるのは危険ね……もっとも、あの速度に私たちが対応できるかどうかは分からないけれど」
誘惑――テンプテーション。
サキュバスである彼女の得意技。
固有スキル、かつ種族特有スキル――かつ、準ラスボス固有のスキル。
男性キャラ――つまりは主人公くん限定だけど、ゲーム内最強ユニットの主役を確率で数ターン行動不能にさせてくる、乱数次第ではレベルで余裕でも敗北もあり得る状態異常。
僕は、ふと下を見る。
……大丈夫だ。
まだ10歳児だからか、スカート姿で大変なことにはなっていない。
それが救いか、それともその段階ですでにここまでなるのかと嘆くか。
ちなみに「大変なこと」とは、男として情けない姿という意味ではない。
サキュバスは男も女も魅了することができ、魅了されると腰砕けで座り込むという描写があったから、それが心配なだけだ。
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