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6章 女装して辺境伯領を堕とした(10歳)
123話 その身を差し出した、美しき令嬢
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「ユリア……セレス! 目を開けてくれ! 私を置いて死ぬな! ロリ妻セレスー!!」
「ママぁ……やめてくれ、嫌だよ! 俺のママが2回も死ぬだなんて! ママぁ――――!!」
「あ、あのっ……ピエールさま、ユーゴさま……ジュ、ユリアさま以外にも人が居ますから……その、甘えるのはもっと後で……」
大まかな位置しか特定されておらず、脅威も未確認だった「ゴブリン、ないしオークも出現すると推定される新規のダンジョン」。
そこへ、それらしいもっともな理由をつけて向かってしまった愛娘のユリア――もといジュリオン。
それを心配しすぎた辺境伯当主、時期当主の2人は――実はこっそりと軍を率い、数日後に出立していた。
彼らもまた「ゴブリンを始め、人間の尊厳を侵す上に魔王軍の脅威を高めるモンスターを生み出すダンジョン、それもスタンピード――ダンジョンの中からモンスターがあふれ、人里に被害を出しかねない状況に心を痛めている」と、誰もがうなずくどころか心の底から泣いて喜ぶ名目で、少数の軍に冒険者たちを率い、道中の――ジュリオンたちが戦闘を回避したり気づかなかったりしたモンスターたちを討伐しながらの行軍を続けており。
「でも、あの光……ジュリ――あ、えっと、ユリアさまの魔法なんですかぁ?」
「ジュリオンさまのところに行きますぅー……」と泣きじゃくりながら彼らに付き添い、道中ではことごとくに戦闘の邪魔をするしかなかったエミリーは、そのことをもうすっかり忘れ、眠っているジュリオンに自らの上着を羽織らせながら問う。
「……ええ、間違いはありません。ユリア様は、とっさの場面では闇魔法を使われていましたが……それとは真逆の光魔法とはいえ、あの場でこれほどの魔法を使えるのは……」
軍と合流し、引き返し、ユリアの場所へと案内する名目で1番に切り込んだマルテルが、乱れた髪を整えながら見上げる。
――ダンジョンの天井を「地上まで」貫通させている、数年前の再現を。
「ユリア様しか、あり得ませんわ……!」
「ええ、あのとき、わたくしたちの身代わりにと、まったく同じようにわたくしたちを先に行かせたときと……!」
「こう、ずばーっと天まで突き抜ける光でしたの! 以前は真っ黒な光の塔で、今回は真っ白な光の塔で! ずばーっと!」
ユリアの無事を知り、ぴょんぴょんと跳ねる3人娘は、駆けつけてきてひと息をついた関係者から温かい目で見守られている。
「……ですが……さぞ! さぞ、お辛い目に……!」
魔力を使い果たしたのか、熟睡しているユリア――と、一緒に寝ているルーシーの前で膝をつき、慟哭を上げるベルトラン。
「……3年前、ユリアが倒したはずの魔族、サキュバス。それが何らかの儀式で――おおかた、彼女の支配下にあるはずのこのダンジョンのモンスターたちが邪悪な儀式で復活させたのだろう。一体どれほどの犠牲を……」
「分かりませぬ……! しかしこのベルトラン、伯爵貴族令嬢として高潔な身でありながら、友のためにとその身を捧げ、危うく汚される覚悟だったと知り、この老いた心臓が今にも弾けそうでございまする……!」
「……な、なぁ兄貴……? あの爺さんは姉御のこと……」
「ああ……俺も、気を抜くと本気でそう思うこともあるからな……」
「兄貴??」
その老人は――残念ながら、もう、ジュリオンがユリアだと本気で思い込んでいた。
ついででテオも思い込みかけていた。
そのおかげか、魂の叫びは周囲の涙を誘い――ますますユリアの名声は高まった。
「彼」の放った光属性の極大魔法「ホーリージャッジメント」が、雲のあいだを突き抜けた空へと上がっていったように。
「けれど、ルーシー様は一体……?」
「きっと、上へ登り……良い感じのくぼみを見つけて潜んでいたのですわ!」
「そうですわね! かの有名な女神の逸話のように、タイミング良く飛び降りてユリア様の一撃への隙を作ったのですわ!」
「え、ええ……それは私も思うけれど……なら、あの髪と服装は、一体……?」
――ジュリオンに被さるようにして眠っていたルーシー。
彼女の髪は異様に長く伸び――たのが普段の長さまで戻り、切り離された大量の栗色の毛が地面に散乱しており。
「……ドロップ品……ですの?」
「宝箱! そうですわ、ルーシー様ったらユリア様並みに幸運属性ですもの!」
「羨ましいですわぁ……きっと、そのくぼみにあったのですわ……!」
その体は、純白のドレスとも表現できる服装となっていて。
「あれって……うーん? 確か、教会のえらい人のところに行ったとき、似たようなのが……?」
エミリーは首をかしげるも、結論は出ないまま。
――ジュリオンとルーシーの安全だけを確認した一行は、このダンジョンの深部までの掃討部隊だけを残し、即時に脱出。
次にジュリオンが目を覚ましたときには――尾ひれで塗り固められた美談エピソードが領内に広まりきり、もうどうしようもなくなっていたときだった。
そして「ユリアがサキュバスにあわやというところまで襲われる」という場面が、巷で――酒場で、町中で、娼館で――大流行したのにも頭を抱えることになった。
◇
【「元勇者」ルーシーが「■■■■■■■」と接触しました】
【「女神」の加護により、ルーシーは「聖女」となりました】
【本来「聖女」となる存在は適当なプリーストに変更されました】
【「聖女結婚ルート」並びに「教会敵対フラグ」が消滅しました】
【「メス堕ちフラグ」が32%更新されました】
◆◆◆
ジュリオン様は章ごとのご提供です。次章完成までしばらくお待ちください。
「ママぁ……やめてくれ、嫌だよ! 俺のママが2回も死ぬだなんて! ママぁ――――!!」
「あ、あのっ……ピエールさま、ユーゴさま……ジュ、ユリアさま以外にも人が居ますから……その、甘えるのはもっと後で……」
大まかな位置しか特定されておらず、脅威も未確認だった「ゴブリン、ないしオークも出現すると推定される新規のダンジョン」。
そこへ、それらしいもっともな理由をつけて向かってしまった愛娘のユリア――もといジュリオン。
それを心配しすぎた辺境伯当主、時期当主の2人は――実はこっそりと軍を率い、数日後に出立していた。
彼らもまた「ゴブリンを始め、人間の尊厳を侵す上に魔王軍の脅威を高めるモンスターを生み出すダンジョン、それもスタンピード――ダンジョンの中からモンスターがあふれ、人里に被害を出しかねない状況に心を痛めている」と、誰もがうなずくどころか心の底から泣いて喜ぶ名目で、少数の軍に冒険者たちを率い、道中の――ジュリオンたちが戦闘を回避したり気づかなかったりしたモンスターたちを討伐しながらの行軍を続けており。
「でも、あの光……ジュリ――あ、えっと、ユリアさまの魔法なんですかぁ?」
「ジュリオンさまのところに行きますぅー……」と泣きじゃくりながら彼らに付き添い、道中ではことごとくに戦闘の邪魔をするしかなかったエミリーは、そのことをもうすっかり忘れ、眠っているジュリオンに自らの上着を羽織らせながら問う。
「……ええ、間違いはありません。ユリア様は、とっさの場面では闇魔法を使われていましたが……それとは真逆の光魔法とはいえ、あの場でこれほどの魔法を使えるのは……」
軍と合流し、引き返し、ユリアの場所へと案内する名目で1番に切り込んだマルテルが、乱れた髪を整えながら見上げる。
――ダンジョンの天井を「地上まで」貫通させている、数年前の再現を。
「ユリア様しか、あり得ませんわ……!」
「ええ、あのとき、わたくしたちの身代わりにと、まったく同じようにわたくしたちを先に行かせたときと……!」
「こう、ずばーっと天まで突き抜ける光でしたの! 以前は真っ黒な光の塔で、今回は真っ白な光の塔で! ずばーっと!」
ユリアの無事を知り、ぴょんぴょんと跳ねる3人娘は、駆けつけてきてひと息をついた関係者から温かい目で見守られている。
「……ですが……さぞ! さぞ、お辛い目に……!」
魔力を使い果たしたのか、熟睡しているユリア――と、一緒に寝ているルーシーの前で膝をつき、慟哭を上げるベルトラン。
「……3年前、ユリアが倒したはずの魔族、サキュバス。それが何らかの儀式で――おおかた、彼女の支配下にあるはずのこのダンジョンのモンスターたちが邪悪な儀式で復活させたのだろう。一体どれほどの犠牲を……」
「分かりませぬ……! しかしこのベルトラン、伯爵貴族令嬢として高潔な身でありながら、友のためにとその身を捧げ、危うく汚される覚悟だったと知り、この老いた心臓が今にも弾けそうでございまする……!」
「……な、なぁ兄貴……? あの爺さんは姉御のこと……」
「ああ……俺も、気を抜くと本気でそう思うこともあるからな……」
「兄貴??」
その老人は――残念ながら、もう、ジュリオンがユリアだと本気で思い込んでいた。
ついででテオも思い込みかけていた。
そのおかげか、魂の叫びは周囲の涙を誘い――ますますユリアの名声は高まった。
「彼」の放った光属性の極大魔法「ホーリージャッジメント」が、雲のあいだを突き抜けた空へと上がっていったように。
「けれど、ルーシー様は一体……?」
「きっと、上へ登り……良い感じのくぼみを見つけて潜んでいたのですわ!」
「そうですわね! かの有名な女神の逸話のように、タイミング良く飛び降りてユリア様の一撃への隙を作ったのですわ!」
「え、ええ……それは私も思うけれど……なら、あの髪と服装は、一体……?」
――ジュリオンに被さるようにして眠っていたルーシー。
彼女の髪は異様に長く伸び――たのが普段の長さまで戻り、切り離された大量の栗色の毛が地面に散乱しており。
「……ドロップ品……ですの?」
「宝箱! そうですわ、ルーシー様ったらユリア様並みに幸運属性ですもの!」
「羨ましいですわぁ……きっと、そのくぼみにあったのですわ……!」
その体は、純白のドレスとも表現できる服装となっていて。
「あれって……うーん? 確か、教会のえらい人のところに行ったとき、似たようなのが……?」
エミリーは首をかしげるも、結論は出ないまま。
――ジュリオンとルーシーの安全だけを確認した一行は、このダンジョンの深部までの掃討部隊だけを残し、即時に脱出。
次にジュリオンが目を覚ましたときには――尾ひれで塗り固められた美談エピソードが領内に広まりきり、もうどうしようもなくなっていたときだった。
そして「ユリアがサキュバスにあわやというところまで襲われる」という場面が、巷で――酒場で、町中で、娼館で――大流行したのにも頭を抱えることになった。
◇
【「元勇者」ルーシーが「■■■■■■■」と接触しました】
【「女神」の加護により、ルーシーは「聖女」となりました】
【本来「聖女」となる存在は適当なプリーストに変更されました】
【「聖女結婚ルート」並びに「教会敵対フラグ」が消滅しました】
【「メス堕ちフラグ」が32%更新されました】
◆◆◆
ジュリオン様は章ごとのご提供です。次章完成までしばらくお待ちください。
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