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1章 女装して屋敷を堕とした(7歳スタート・すでに手遅れっぽいけど)
3話 死亡ルート回避策――「女装ジュリオン様」3
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悪役貴族令息・ジュリオン様に転生して判明した事実。
家庭環境が5歳の時点で崩壊――母親がまさかの死亡、それも父親が政治的に守れなかったからっていう理由付き。
あと、5歳の時点では分からないだろうけども、成長してくれば産みの母親を見捨てる形にしたのが国中の貴族たちって認識になって?
世界を恨んでいく方向に突っ走っても、おかしくはなくって?
以後はストッパーも不在になって増長し、たしなめるべき父親は不在、頼れるかもしれなかった兄はずっと父の補佐で帰らず。
屋敷には僕より下の地位の使用人たちや病弱でほとんど寝ている妹――しかも後妻のしかおらず。
その後妻さんも僕への罪悪感からか、基本的に近づいて来ず、この屋敷の近くに建てたばかりの別の屋敷に引きこもり。
5歳児からこれなら、そりゃあおかしくもなるわ……ジュリオン様にちょっと同情。
ネグレクト、放置親、放置子、児相案件。
まぁ継母とその娘――義妹なら気持ちは分かる。
自分たちが――たぶんパパンの命令で、前の母親の息子と一緒に住むことになっちゃって、単純に気まずいんだ。
それに正直……悪いけど良くも悪くも優しい義母さんに、こんなジュリオン様を癒やしたり叱咤激励したりなんてできない。
だから放置はまだマシな選択だ。
問題はこの状況を作り出したくせに放置の父親だからな。
んで、そんな環境ではあるけども、残念ながらそんな概念も役所もこの世界には存在しない。
そもそも貴族案件だから間違っても介入なぞできっこない。
だって首が物理的に飛ぶもん。
ていうかこういう境遇の貴族も平民も、この世界にはごまんと居るだろうし、むしろ何不自由なく育ててくれていること自体は感謝すべき状況だし――ただしこういう思考をできるまで育っている前提で。
あ、でも、ジュリオン様の癇癪は絶対エミリーちゃんのせいだよね……エミリーちゃん自身は悪くはないんだけどさぁ……。
………………………………。
これ、目覚めるのがもっと遅かったら、もっと事態が拗れていたことに……?
「ジュリオン様は、やはりセレスティーヌ様の血を濃く受け継いでおられる……気性を抑えるのに苦労なされるのも道理でしょう」
「そうか、母上が……」
ん?
とりあえずそれっぽく返事はするけども――周囲の反応が妙だぞ?
「ああ、セレスティーヌ様か……」
「旦那様に一目惚れなされて捕しょ――嫁がれるまでは本当に……」
「なら、坊ちゃまのこれまでは本当に些細なことですね……」
「そうか、既視感はこのためだったのですか……」
あれ?
なんか風向きが変わったぞ?
「セレスティーヌ様はなぁ……」
「お嬢様なのに、ジュリオン様のご年齢のときにはもう屋敷を脱走しては」
「なぜか平民の常識を知り尽くされて町を縦横無尽に駆け回り」
「ダンジョンへと単身突撃されて」
「役人の不正をおひとりで暴いたのを、帰ってきてからご自慢されたり」
「モンスターのスタンピードを単独で撃破してから報告なされたり」
「侵入してきた魔族とやり合ってから後を頼まれてきたり」
「謀反を企てた者を9割殺しにしてずるずると引きずってご帰還されたり」
「「「それと比べたら……」」」
「? ほぇ? ジュリオンさまのお母さまぁ? セレスティーヌさまぁ?」
「「「………………………………」」」
ほんわりとした視線がエミリーちゃんに注がれる。
ああ……君はそのままの君で居てくれ。
きっとここに居る全員が思っているよ……君以外。
まぁこのままなのは確定している未来だから、ある意味安心できるけども。
さて。
なぜか今世の産みの母親そっくりだってことになった瞬間、使用人たちからの僕に対するヘイトが明らかに消失した。
……ということは、確率で物語登場前に死亡しての「ジュリオン様不在ルート」に入る可能性もなくなったかな?
ほとんどのユーザーたちからは「外れルートはやめろ! 普通に全部で1時間はかかるチュートリアルやり直すのめんどくさいだろ!」と総スカンだった、アレ。
いや、まだ決めるには早いけども……とりあえず身内からの暗殺の可能性とかは相当軽減されたはず。
ジュリオン様が本編に登場しないと確か大半のルートが機能不全に陥り、結果として人類の脅威たるモンスター、魔族、魔王軍、そして魔王への対処がシステム的に不可能になるバグで詰むはずだ。
だからこそユーザーからブーイングの嵐だったはず。
今世を生きる僕としても、それは極力回避したいところ。
けれどもよしよし……たかが女装、しかも子供のそれでここまで楽になるなら大儲けだ。
僕の男としてのアイデンティティーが犠牲になる程度で死なずに済むなら安いものだよね、きっと。
特に今は子供だし、そもそもまだ今世の姿が僕だっていう実感が薄いから、こんな格好をしていてもわりとメンタルは平常だし。
あとはメス堕ちルートに入らない努力をするだけだね。
いやまぁ明らかにダメそうなら、せめて女性の手に堕ちるルートを模索するしかないけどさぁ……。
◇
【BAD END/No.01:エミリー「ジュリオン様がみなさんに殺されちゃった かわいそうだけど、あんなこと言ったら……」――回避】
家庭環境が5歳の時点で崩壊――母親がまさかの死亡、それも父親が政治的に守れなかったからっていう理由付き。
あと、5歳の時点では分からないだろうけども、成長してくれば産みの母親を見捨てる形にしたのが国中の貴族たちって認識になって?
世界を恨んでいく方向に突っ走っても、おかしくはなくって?
以後はストッパーも不在になって増長し、たしなめるべき父親は不在、頼れるかもしれなかった兄はずっと父の補佐で帰らず。
屋敷には僕より下の地位の使用人たちや病弱でほとんど寝ている妹――しかも後妻のしかおらず。
その後妻さんも僕への罪悪感からか、基本的に近づいて来ず、この屋敷の近くに建てたばかりの別の屋敷に引きこもり。
5歳児からこれなら、そりゃあおかしくもなるわ……ジュリオン様にちょっと同情。
ネグレクト、放置親、放置子、児相案件。
まぁ継母とその娘――義妹なら気持ちは分かる。
自分たちが――たぶんパパンの命令で、前の母親の息子と一緒に住むことになっちゃって、単純に気まずいんだ。
それに正直……悪いけど良くも悪くも優しい義母さんに、こんなジュリオン様を癒やしたり叱咤激励したりなんてできない。
だから放置はまだマシな選択だ。
問題はこの状況を作り出したくせに放置の父親だからな。
んで、そんな環境ではあるけども、残念ながらそんな概念も役所もこの世界には存在しない。
そもそも貴族案件だから間違っても介入なぞできっこない。
だって首が物理的に飛ぶもん。
ていうかこういう境遇の貴族も平民も、この世界にはごまんと居るだろうし、むしろ何不自由なく育ててくれていること自体は感謝すべき状況だし――ただしこういう思考をできるまで育っている前提で。
あ、でも、ジュリオン様の癇癪は絶対エミリーちゃんのせいだよね……エミリーちゃん自身は悪くはないんだけどさぁ……。
………………………………。
これ、目覚めるのがもっと遅かったら、もっと事態が拗れていたことに……?
「ジュリオン様は、やはりセレスティーヌ様の血を濃く受け継いでおられる……気性を抑えるのに苦労なされるのも道理でしょう」
「そうか、母上が……」
ん?
とりあえずそれっぽく返事はするけども――周囲の反応が妙だぞ?
「ああ、セレスティーヌ様か……」
「旦那様に一目惚れなされて捕しょ――嫁がれるまでは本当に……」
「なら、坊ちゃまのこれまでは本当に些細なことですね……」
「そうか、既視感はこのためだったのですか……」
あれ?
なんか風向きが変わったぞ?
「セレスティーヌ様はなぁ……」
「お嬢様なのに、ジュリオン様のご年齢のときにはもう屋敷を脱走しては」
「なぜか平民の常識を知り尽くされて町を縦横無尽に駆け回り」
「ダンジョンへと単身突撃されて」
「役人の不正をおひとりで暴いたのを、帰ってきてからご自慢されたり」
「モンスターのスタンピードを単独で撃破してから報告なされたり」
「侵入してきた魔族とやり合ってから後を頼まれてきたり」
「謀反を企てた者を9割殺しにしてずるずると引きずってご帰還されたり」
「「「それと比べたら……」」」
「? ほぇ? ジュリオンさまのお母さまぁ? セレスティーヌさまぁ?」
「「「………………………………」」」
ほんわりとした視線がエミリーちゃんに注がれる。
ああ……君はそのままの君で居てくれ。
きっとここに居る全員が思っているよ……君以外。
まぁこのままなのは確定している未来だから、ある意味安心できるけども。
さて。
なぜか今世の産みの母親そっくりだってことになった瞬間、使用人たちからの僕に対するヘイトが明らかに消失した。
……ということは、確率で物語登場前に死亡しての「ジュリオン様不在ルート」に入る可能性もなくなったかな?
ほとんどのユーザーたちからは「外れルートはやめろ! 普通に全部で1時間はかかるチュートリアルやり直すのめんどくさいだろ!」と総スカンだった、アレ。
いや、まだ決めるには早いけども……とりあえず身内からの暗殺の可能性とかは相当軽減されたはず。
ジュリオン様が本編に登場しないと確か大半のルートが機能不全に陥り、結果として人類の脅威たるモンスター、魔族、魔王軍、そして魔王への対処がシステム的に不可能になるバグで詰むはずだ。
だからこそユーザーからブーイングの嵐だったはず。
今世を生きる僕としても、それは極力回避したいところ。
けれどもよしよし……たかが女装、しかも子供のそれでここまで楽になるなら大儲けだ。
僕の男としてのアイデンティティーが犠牲になる程度で死なずに済むなら安いものだよね、きっと。
特に今は子供だし、そもそもまだ今世の姿が僕だっていう実感が薄いから、こんな格好をしていてもわりとメンタルは平常だし。
あとはメス堕ちルートに入らない努力をするだけだね。
いやまぁ明らかにダメそうなら、せめて女性の手に堕ちるルートを模索するしかないけどさぁ……。
◇
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