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1章 女装して屋敷を堕とした(7歳スタート・すでに手遅れっぽいけど)
5話 剣と魔法の才能は作中最強のジュリオン様2
しおりを挟む閑話休題、話を戻そう。
とりあえずの死亡ルート直行フラグは取り除けたわけだけども、10年後の本編開始の時点で、僕の運命は主人公の選択に委ねられる。
一応で主人公との共闘ルート(ただしやっぱり途中でジュリオン様が死ぬ)はあるから、今のところは途中まではそのルートを目指すほか無いところ。
まぁそのあとの分岐で死ぬから、そこはどうにかしないとだけど。
「はぁ、いいなぁジュリオンさまぁ……かっこかわいくて……」
それは10年後に置いておくとして、だ。
――ここは、剣と魔法の世界だぞ?
なら、剣と魔法を極めるしかないだろ?
なにしろジュリオン様はルート次第で魔王に君臨でき、主人公サイドのキャラがほぼ全員――モブまで含めた学園関係者全員で掛かってようやく倒せるほどにまで成長できるポテンシャルがある。
物語の中でも事あるごとに「僕には才能があるからな!」とか言ってたし、恐らくはそこまで苦労せずとも、並以上の実力は身につくだろう。
正直、今から剣と魔法の練習が楽しみすぎるんだ。
まぁそのうちの魔法は、早くて1ヶ月後じゃないと教えてもらえないって出鼻くじかれた形だけど。
それでも僕は諦めない。
なにしろ現代地球に生まれた男は100%と言って良いくらいに魔法に恋い焦がれてるんだから。
必殺技とか良いよね。
つまりはそういうことだ。
いろんなルートのジュリオン様と戦ったおかげでいろんな技とか魔法とか必殺技とかも知ってるし、それを先回りして育てるだけっていうショートカットもできるはず。
転生チート、こういうときに使わなくていつ使うんだってね。
ただし、主人公くんはいくらでもレベリングができて才能上限無しとかいうそのジュリオン様を上回るチート存在だ、未来の彼に敵対された時点でちょっとおかしいスピードでレベリングされてどうあがいても負ける。
つまり?
「原作開始の時間軸までに、最低でもレベルは30程度にはなってないとな……」
「レベル? ほぇぇ……?」
とりあえずで簡単には追いつけないまでレベルを上げておく。
その上で慢心せず、さらなるレベリングや魔法、技の習得に専念する。
今からできる対策としては、それしかない。
この世界の才能は人によって差があり、さらに上限も極端に変わる。
俗に言う、キャラのレア度ってやつだ。
でもガチャで同じキャラを引いて重ねたりすると上限突破もできて、最終的にはおおよそみんな――主人公のパーティーに入れるキャラなら100まで行けるはず。
それ以外のモブキャラとかの上限は25とかで、主人公パーティーで条件とか満たすと上限がちょっとずつ解放って感じ。
で、だいたいどんなルートでもレベルがパーティーの平均で30あるとだいたいクリアできたはず。
そうじゃないとモブでもヒロインなキャラ入れてのクリアとかできないしな。
ただし魔王ルートとかのごく一部を除く。
だからって理由で、ざっくりと30を目標にしたい。
いやまぁ、主人公くんのチュートリアルが終わるまでの最初の数ヶ月でそこまで到達してれば良いんだけど、10年あるわけだしな。
あ、主人公くん?
彼は神様の恩寵とかいうので上限がほとんどないから……なんだあいつ、ずるいぞ。
この世界の主人公だからしょうがないけどさ。
劣化版ではあるけどもジュリオン様も似たようなもんだしさ。
「……髪の毛……伸ばしたらもっとお嬢様に……? 毎日いろんな髪型で遊べますぅ……?」
僕の周りをサラウンドしているかわいいいきものを、適度にあしらってやる。
「わ、わ……ジュリオンさまぁ、私の髪の毛、ほつれちゃいますぅ」
そんな剣と魔法を鍛えてのレベリングに最適なのはダンジョンだけど、そもそもとして貴族の末っ子が、しかも7歳の子供がいきなり今日に行くなんてのは不可能。
いくら亡き母さんショックで目を細めて見てくるようになった使用人たちも、いや、だからこそ許してくれないだろう。
わがままわんぱくボーイだったとしても貴族の子弟としては――前世換算でもまぁ手のかかる男子程度だし、そんなことよりも僕っていう万が一の跡取りに何かあるような事態になることの方がやばいからな。
少なくとも屋敷の敷地内に居れば死ぬことはないんだ、僕の癇癪で胃が削られることになろうとも、こんな僕でも外に出すわけにはいかないはず。
父親と兄というツートップこそ不在でも、一応での保護者として継母は居るし、あと、屋敷の使用人を束ねるおじいちゃんが首を振らなければ、ただの坊やな僕が外出なんてできない。
たとえ脱走しても馬の足で数時間の距離が最寄りの町だ、その前に捕まる。
なら、他に手段は?
――初級ダンジョンでも問題ないと太鼓判を押してくれる程度に、僕のレベルやスキルを上げてもらう。
で、実力を彼らに見せつけて――貴族としての義務をなんちゃらで強引に押し通す。
この世界の価値観的に、学園で登場するメインキャラたち――貴族たちも、そこそこの年齢からダンジョンに潜って鍛えてたはず。
突撃しても無駄死にはしないってアピールすれば……警護マシマシとかでなら行かせてくれる気がする。
現状、それしかない。
で、確か家庭教師の先生は僕に魔法を教えてくれていた――もっとも、説明されたらすぐにできちゃう天才体質だったから、その日の魔法を使ったらあとはぼけーっと理論とか聞いてただけだったけどな……ああもったいない。
けど、こんな僕でも万が一の跡取り息子のスペアとしての価値がある以上、そんな僕を教育する彼女の実力もかなりのもののはず。
次からは1分も無駄にしないように吸収していきたい。
だけど、
「剣、か……」
「ほぇ? けん?」
魔法だけ使えても属性魔法の効かない敵も居るし、そもそも単純に体力は必要だ。
屋敷の敷地内を走り込んで多少は鍛えられるだろうけども……レベリングとしての効率は悪いだろう。
なにしろこの世界はゲームの価値観だ。
スキルを鍛え、ある程度まで行ったら後はモンスターを倒す方がずっと手っ取り早いし、なにより将来のための貯蓄ができる。
さて、そんなわけで攻撃スキルを鍛えたいわけだけども……体のできてない子供だからってそっちの教育はまだだったし……うーむ。
適当に棒きれでも振り回すか?
レベルは上がらなくても体力と筋力は鍛えられるはずだし、運が良ければ剣術スキルとか育つかもしれないし。
「あ、剣ですかぁ。……剣って言えば、あのおじいちゃんが昔はすごかったって言ってましたねぇ」
あ。
「……ああ、確か――それだ」
なんだ、居たじゃないか。
僕の、ジュリオン様フェイスは――たぶん、悪役兼ラスボスとしての笑みを浮かべているだろう。
「きゅんっ……ジュリオンさまぁ……かっこかわいい……!」
だって、都合良くそんな存在が居るんだからさ。
元はどっかの騎士団長とかしてたらしい、元・剣の達人キャラが――今はちょっとだけボケてるおじいちゃんが、すぐそばに。
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