悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?

あずももも

文字の大きさ
86 / 147
5章 女装して国の裏を堕とした

69話 町の闇

しおりを挟む
「――――――………………………………」

顔の良い男女。
特に幼い女の子。

さらには貴族が孕ませて捨てた女性の子供。
あるいは頭が良い子。

そういう子たちを――――――

「――悪徳貴族が見目麗しい子供を、『遊ぶために』男女問わず連れて行くと……特に孤児は、帰らないと。ほう……」

僕は普段滅多に怒らないのに、なんだか異様に胃がむかむかしてきた。

こんなにも怒ったことは、前世でもそうそうないレベルで。
覚えてないけども。

「ひぃっ……!?」
「周囲の小石が……!?」
「地鳴りがしてきたぞ!?」
「ま、まさか、怒りだけで魔力が……!?」

「――――――話しなさい」

「も、もう話しました! これ以上は――――」

これは、ジュリオン様の――多分はエリート貴族としての意識が、怒っている。

恐らくは自分の――お父さんのだけども――領地で好き勝手されたことに対して。

僕の――前世の市民としての意識が、怒っている。

――年端もいかない子供への、一方的な犯罪に対して。

かちり。

僕たちの心が――意識が同調する感覚。

「そのゴ――虫ケラ共の住処を。おおよそは分かっているはずです」

「ひぃっ!?」
「あ、コイツ、漏らしやがった!?」

ギャラリーがうるさい。

けども、そんなことはどうでも良い。

「……あの、それを知って……?」

「――――――もちろん、今から磨り潰すためですが、何か?」

「ぴぃっ!?」

あ、リラちゃんが泣きそう。

……子供を怖がらせちゃうのは大人失格だ。
怒っちゃったときこそにっこり笑わないとね。

「ひぃっ……」
「笑って……!?」
「なんと恐ろしい笑顔なんだ……」

……なんかもう、聞いちゃった以上にはその貴族さんへ天誅――じゃないじゃない、文句、抗議を言いに行かないと体が収まらなくなっちゃったらしい。

僕も同じ意見だから良いけども……ジュリオン様ってば、自分が関係無い場面では意外と良い人だったりするのかな。

あ、いや、僕はジュリオン様の前世の存在なんだから実質的には僕の魂的なのの怒りポイントが同じなだけかな。

そんなことを考えていたら、ちょっとだけ落ち着いてきて周りが見えてくる。

……ちょっと怒っただけで、なぜかみんなが異様に怖がってる。

これはいけない、革命の兆しがまた産まれちゃう。
せっかく摘み取ったはずなのに、また産まれちゃう。

「あ、ま、待ってくれ……ええと、お嬢様! その前に俺たちの――」

顔が真っ青――だけども声を上げてくれたテオくんのおかげで、完全に怒りが収まってきた。

……ジュリオン様関係なく、子供ボディだから感情爆発しやすいのかなぁ。

「――ああ、先ほどの、あなたたちが養っていた子たちの件ですね」

しゅううう。

そうだった、この子たちが居なくなったら困る子たちが居るって話だったね。
ならまずはそっちを片づけてからだ。

「案内してください。……いえ、今は怒っていませんよ。ごめんなさい、怖がらせて」

「ちびるとこだった……」
「リラ? こんな場面で漏らすなよ? 頼むからな?」

「ごめん、嘘ついた。ちょいちびった。そのへんで洗ってきて良い?」
「お前……」

しっかり者のテオくん、あと涙目のおでこちゃんに着いていこう。

あ、漏らしちゃったのはしっかり洗ってきてね。





「……そうですか。あなたたちが盗んだお金で、この子たち10人ほどを養っていたと」

「は、はい! あ、でも、欲ばったりは――姉御相手以外は、何回かしか……」
「ですからその……怒らないでほしい……あ、いや、お怒りにならないでほしいんですが……」

「生きるためですから怒りませんよ。怒りませんが……」

リラちゃんとテオ君の根城。

……そこには確かに、リラちゃんよりも幼かったり――明らかに病気な子が。

孤児同士の絆なのか、それとも共同体としての義務なのか。

とにかくこの兄妹は、この孤児たちのスラム街には不可欠な存在だったらしい。
うん、確かにこの世界「生きるのは自前でなんとかしろ」ってスタンスだからね……福祉なんてないんだ。

だからこそ、盗みを働くしかない。

衛兵とか町の人たちに諦められる程度の、こそ泥とかの範囲で。
その塩梅ははたして年上の住人たちからの知恵か、それともこの子たちのものか。

孤児が、ギルドで働けば良いっていう情報にアクセスできるわけがないもんね。
あったとしたって、孤児ってだけで大変な思いもするだろうし。

「………………………………」

世界を知ってる商人たちが「かなり上等」って言ってたこの領ですらこれだと、他の領は一体どうなっているんだ、とも思うけども。

――それはともかくとして。

貧民出身の子供たち――彼らへ恩を売りつつ育てたら、実に良い手駒になりそうですね?

「……姉御?」

……あ、便利そうだよね、うん。

リラちゃんたちに心おきなくのびのびと育ってもらうためにも、家族の面倒も見なくっちゃね。

ちょっと契約魔法のせいか思考が変になりかけたけども、そういうことのはずだよね。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

処理中です...