悪役貴族転生【女装】悪役令嬢ルート~99通りで断罪される悪役に転生して女装したら死亡フラグが無くなる代わりに周囲の目が怖くなってくんだけど?

あずももも

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5章 女装して国の裏を堕とした

70話 「家族」をゲット

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「姉御ってよく見ると、思ったより怖くねぇんだよな。けどたまに、さっきみたいにめっちゃ怖く――ふべっ」

「リラ、おすわり」

今、数歳の子供なら、10年後には十数歳――簡単な仕事ならできる歳になっているだろう。

いや、そもそも7歳になれば平民でも冒険者にはなれる。

この時代の病気とかの理由の大半が不潔と寒さと飢えと栄養不足だろうし、適度に肥えさせ、普通の体力とか常識をつけさせてから数人単位でパーティーを組ませる。

一応のリーダーを兄妹にしておけば、逃げ出しちゃうこともないだろう……たぶん。

大丈夫、たとえ全員に逃げられたにしても侯爵な家の財力からすればはした金――僕のごはんをちょっとグレードダウンさせれば捻出できる程度の損のはずだから、リラちゃんさえ居れば問題はないんだ。

あ、リラちゃんをおすわりさせてくれてるテオくんもね。

特に僕と同性、かつ常識人で頭も良さそうな彼には一緒に居てほしいし。
ほら、あの屋敷もおじいちゃんとかの一部以外は女性ばっかりだから。

で、そうすれば――病気の治療とか看護で最初は赤字にあるだろうけども、大きくなってくれば自前でなんとか生きられるようになるはず。

そうしたら「小さいころにごはんあげたのは誰かな?」って脅――もとい説得して、多少の「お願い」なら聞いてくれると思う。

逃げられなければね。

つまりはさっき考えたように、言い方は悪いけども便利な駒が生えたってことになる。

大切に育てればお仕事を任せられる駒――仕事仲間がね。

そうそう、仲間。
あるいは友達。

言葉は大切なんだ。

ともかくとして単純に僕の手勢が増えるし、冒険のこととか町のこととかを定期的に報告させれば町の裏の情報まで――それも確度の高いそれを仕入れられる。

特にスラム街からの情報――生活に不満しかない層の生の声は反乱革命祭りを事前に察知することにも繋がるし、その確率も下げられる。

たった10人でもすごくおいしい一手だね。
さすがはジュリオン様ブレイン、かしこい。

「………………………………」

……けど、なんだかちょっと考え方がリアリスト過ぎっていうか欲深いというか……悪役っぽいのは気のせい?

まぁいいや、そのくらいでないとこの厳しい世界では生きていけないんだろう。

「ぷはっ。とにかく姉御、頼むよ。こいつら、あたいたちが居ないと……」
「無理を言ったら怒られる……すみません、こいつらを誰かに任せてからなら――」

「済みません、考えごとを……分かりました、受け入れましょう」

「どんな仕事でも――え?」

あ、ごめん、普通に悪だくみはしてたけどもこの子たちをどうしてやろうかって算段ではあったけども、見捨てるとかいじめるとかは考えてないからね。

僕は、虚ろな目で見上げてくる子供たちのひとりひとりを見る。

「この子たちは――あなたたちの家族。そうですね?」

「家族ぅ? へぶっ」

ごんっ、といい音が響く。

「はい! 大切な家族です! だからどうか!」

さっきから食い気味なテオくんに、また黙らされてるリラちゃん。

……デコが痛そうな音してたけど大丈夫?

「なら――その子たちも同じく『使用人』として『雇い』入れましょう」

「えっ」
「おー!」

大切な家族。

……なら、万が一にでも後ろから刺されないように、鎖として繋いで――じゃないじゃない、普通に僕にとってお得だから連れてくんだって。

ほっといたら死んじゃいそうなんだから、ならせめて偽善でも下心でも良いから人助けするんだってば。

「???」
「やったな兄貴! なんか助けてくれるんだってよ!」

無邪気にぴょんぴょんしているリラちゃんに、抱きつかれてきょとんとしているテオくん。

たぶん雰囲気だけで理解してるっぽいけど、リラちゃんがかわいいね。

テオくんは……たぶん賢いからこそ、貴族な僕の裏の意味とか考えちゃうタイプなんだろう、まだ飲み込めずに目を回してるっぽい。

丁寧な説明は大事。

お互いに子供でも、実質的には就職の面接だからね。

「まず病気と衰弱は時間を掛けて回復させ、ある程度育つまでは――メイドたちと庭の手入れでもさせましょう。そのあとは体を鍛えさせて、その気があるのなら冒険者として……ないのなら、お勉強がその子たちの仕事にします。もちろんあなたたちへと同じように、給料も支払いますよ」

たしかおじいちゃんが、最近腰が痛いからこの庭の手入れも大変とかなんとかふがふが言ってたのをジュリオン様が聞き流してたし。

「えっ、……そ、それはっ」

「何しろあなたたち2人には『10年間働いてもらわねばならない』契約ですから。……家族は多い方が、良いでしょう?」

「……家族……貴族の、お嬢様の……」
「へへっ、照れるなぁ姉御ぉ」

くねくねと真っ赤なおでこを輝かせているリラちゃん。

出会いこそ変化球だったけども、やっぱりヒロインはヒロインでもメインじゃないヒロイン、わりとちょろくデレてくれた。

相手が僕っていう悪役貴族なジュリオン様っていう男相手だけども。

これがメインヒロインたちにもなると……選択肢と戦闘の結果とかでかなりシビアな交流をしないと仲良くなってくれないからね。

あのエミリーちゃんですら、彼女のルートに入ってもかなりぎりぎりまでジュリオン様についてくくらいだし。

アメリアちゃんも、確かジュリオン様が完全に魔王として敵対してもまだ主人公くんとどっちに着くか迷ってくらいだったはずだし。

「――夕方にも、手の者をこちらへ連れてきます。あなたたちと一緒に屋敷へ――と思っているのですが、よろしいでしょうか」

「お、一緒に住んで良いのか?」
「ええ、離れにあります使用人専用の建物なら狭くもないかと」

「すげー、さすが貴族さまだなぁ! 兄貴、屋根があるっぽいぜ!」
「……そうだなぁ……」

テオくんは――良く分からないけども、どこか遠いところを見上げて深遠な考えをした後みたいな顔をしている。

まるで宇宙を見つめている猫みたいだ。

「……では、まずはギルドへ行きましょう。大丈夫、あなたたちを突き出すとかはしません。――家族、でしょう?」



【BAD END/No.06:リラ「あのわがままな性格は嫌いじゃないけど……ごめんな、ジュリオン」テオ「寒い冬に死んだ、あいつらの想い――俺たち貧民を捨てたデュクロワ家に断罪を」――回避】


◆◆◆


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