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5章 女装して国の裏を堕とした
80話 やさしいせかい
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ようやくに現実を受け入れ、布に吸い込ませても吸い込ませても止まらない涙を流れないように向いていた首を、上からそっと戻す。
――ああ。
ジュリオン様時代がほとんどだったにしろ、数時間だけでも僕の面倒を見てくれてた使用人のお姉さんたちが――僕の、胸元と脇とおへそとふとももが見えてるすれっすれのいかがわしい格好を見ている。
僕は変態だと思われている。
いや、僕は変態そのものなんだ。
僕はもうだめだ。
「ユリア様……まさか、すでにモルテール子爵に……!」
「許すまじ……生かしてはおけない……!」
「モルテール子爵は、誘拐された子供たちの保護の際『不幸な事故』で……そういうことで口裏を」
「もちろんです。この場に居る全員が等しく思っているでしょう」
「……?」
涙で目の前がぼやけているからよく分からない。
けども、大体半分の人が――左右の壁際で並んで立ってた子供たちも含めて――真上を向いたり座り込んだりしていて、3分の1くらいが鼻血を出していて、それ以外の人はどうしたのってくらいに真っ青な顔になっている気がする。
なんでだろう。
もう分かんない。
分かんないや。
だってもう、僕はおしまいなんだから。
ああ、こんなことならいっそのこと意識も完全に子供に生まれ変わっていれば良かったのに。
「ジュ――ユリア様? お体の方は……?」
いつの間にかに近づいてきていたらしい使用人さんの1人が、話しかけてきているらしい。
体?
体なんて……僕の、こんな体なんて。
「……もう、手遅れ……」
「!?」
「まさか、ジュ――リア様を、手籠めに……!?」
「処しますか?」
「処しましょう」
「ご存じでしょうか、世の中には想像するだけで身の毛もよだつ始末の方法があると」
「想い人のためなら、二度と安らかに眠れなくなる行為でも可能です」
ああ、僕はもう手遅れだ。
「……もう、どうでもいい……」
「ジュ――リア様!」
「皆の者……そこの豚を捕縛なさい」
「はっ」
「この豚め! 貴様、よくも麗しい我らが主を……!」
――ジュリオン様として生まれ変わり、記憶が戻った時点でもうダメだったんだ。
だって、なんでかしらないけども超のつく悪徳変態貴族が「こいつが指示したんです!」とか抜かしてるんだから。
僕が必死に抵抗するほどに世界が僕を悪役にしたがってくる。
今回は因果律をねじ曲げてまで、僕を大罪人に仕立てあげたんだ。
「僕にはもう、生きている価値など……」
「――ジュリオン様」
ふわり。
――屋敷で、ジュリオン様としての記憶で嗅ぎ慣れた使用人さんの匂いがする。
ぼそぼそと――僕を後ろから優しく抱きしめながら、話しかけてくる。
「我らは、たとえ御身に何があろうと、何をなされようと――最期の1人まで、最後の1秒までお伴致します……ですから、どうか……」
悲しすぎて何を言ってるのかよく分からないけども、とりあえずで僕を非難する様子じゃないって信じたい。
……せめて、そう思い込むだけでもしたいんだ。
「ユリア様……」
――ぎゅっ。
目元を左右から柔らかく、デイジーさんが抱きしめてきている。
「……あなたは、私の一生の推しなんです。推しが辛いときこそ、ファンは寄り添いたい……ダメですか?」
デイジーさんも、僕を非難しない。
よく分からないことを言ってるけども、こんな僕を抱きしめてくれる程度には許してくれるらしい。
「……こんなに、汚れても……?」
「ええ……ええ……! ユリア様は、心……魂が、お美しい……うぅ……」
数百人の子供を拉致監禁調教悪行三昧した主犯っていう汚名を着せられて汚れた僕を――ちょっと痛いくらいに、けども目元の柔らかいクッションで優しく抱きしめてくれる。
「うぅ、姉御……ごめんな、ごめんな。あたいたちのために、こんな目に……詳しいことは知らねえけど、女として生まれて後悔するとかいう目に遭ったって……」
「ユリア様……俺、一生を掛けて償います。ユリア様が俺たちにしてくれて、俺たちがさせてしまった、全てを」
リラちゃんとテオくんが、なにかしら慰めの言葉をかけてくれている。
「ユリア様……良いのです。貴族の淑女でも、お辛いことは」
「そうですわ、大声で泣いても、誰もはしたないなどと言いませんの」
「おいたわしい……さぞお辛い目に……ユリア様……」
「うぇぇぇん、ユリアさまぁ……」
モブ子ズも怒ってないし、ルーシーちゃんは泣き虫だ。
「――ここで見聞きしたことは、他言無用。皆様、よろしいですね?」
「ギルドマスター……!」
「ジャンさん……!」
誰?
……あ、ギルドの偉い人だっけ。
他言無用――秘密に、してくれる?
僕が主犯にされたっていうか主犯の供述が「こいつにやれって脅されました」ってせいで僕が世界の敵みたいなのを?
ああ。
なんだかもう、悲しすぎて頭がくらくらしてきた。
「……ジュ――リア様!?」
「ユリア様ぁぁ!?」
「みなさん、体を休められる場所は!? ベッド――以外で!」
「ユリア様がお辛い目に遭われた場所以外で!」
「え? え? ……よ、良く分かりませんが、私たちに用意されている部屋で良いのでしたら……」
メイドお姉ちゃんの声。
それを認識したあたりで――僕の意識は絶望で閉ざされた。
◇
【速報・ジュリオン様救済ルート実装】
【第一報では、大型アプデの際はメインヒロインたちはもちろんサブヒロイン、他のキャラやモブの一部の過去編も展開という情報が】
【唐突な発表の理由は「条件が満たされたため」と、基本的に広報をしない開発元が唐突にSNSへつぶやき――】
【「どのヒロインよりもかわいいメス堕ちジュリオン様」のロリ、もといショタ時代から描く、『その手は誰を選ぶため』の事実上の続編となる――】
――ああ。
ジュリオン様時代がほとんどだったにしろ、数時間だけでも僕の面倒を見てくれてた使用人のお姉さんたちが――僕の、胸元と脇とおへそとふとももが見えてるすれっすれのいかがわしい格好を見ている。
僕は変態だと思われている。
いや、僕は変態そのものなんだ。
僕はもうだめだ。
「ユリア様……まさか、すでにモルテール子爵に……!」
「許すまじ……生かしてはおけない……!」
「モルテール子爵は、誘拐された子供たちの保護の際『不幸な事故』で……そういうことで口裏を」
「もちろんです。この場に居る全員が等しく思っているでしょう」
「……?」
涙で目の前がぼやけているからよく分からない。
けども、大体半分の人が――左右の壁際で並んで立ってた子供たちも含めて――真上を向いたり座り込んだりしていて、3分の1くらいが鼻血を出していて、それ以外の人はどうしたのってくらいに真っ青な顔になっている気がする。
なんでだろう。
もう分かんない。
分かんないや。
だってもう、僕はおしまいなんだから。
ああ、こんなことならいっそのこと意識も完全に子供に生まれ変わっていれば良かったのに。
「ジュ――ユリア様? お体の方は……?」
いつの間にかに近づいてきていたらしい使用人さんの1人が、話しかけてきているらしい。
体?
体なんて……僕の、こんな体なんて。
「……もう、手遅れ……」
「!?」
「まさか、ジュ――リア様を、手籠めに……!?」
「処しますか?」
「処しましょう」
「ご存じでしょうか、世の中には想像するだけで身の毛もよだつ始末の方法があると」
「想い人のためなら、二度と安らかに眠れなくなる行為でも可能です」
ああ、僕はもう手遅れだ。
「……もう、どうでもいい……」
「ジュ――リア様!」
「皆の者……そこの豚を捕縛なさい」
「はっ」
「この豚め! 貴様、よくも麗しい我らが主を……!」
――ジュリオン様として生まれ変わり、記憶が戻った時点でもうダメだったんだ。
だって、なんでかしらないけども超のつく悪徳変態貴族が「こいつが指示したんです!」とか抜かしてるんだから。
僕が必死に抵抗するほどに世界が僕を悪役にしたがってくる。
今回は因果律をねじ曲げてまで、僕を大罪人に仕立てあげたんだ。
「僕にはもう、生きている価値など……」
「――ジュリオン様」
ふわり。
――屋敷で、ジュリオン様としての記憶で嗅ぎ慣れた使用人さんの匂いがする。
ぼそぼそと――僕を後ろから優しく抱きしめながら、話しかけてくる。
「我らは、たとえ御身に何があろうと、何をなされようと――最期の1人まで、最後の1秒までお伴致します……ですから、どうか……」
悲しすぎて何を言ってるのかよく分からないけども、とりあえずで僕を非難する様子じゃないって信じたい。
……せめて、そう思い込むだけでもしたいんだ。
「ユリア様……」
――ぎゅっ。
目元を左右から柔らかく、デイジーさんが抱きしめてきている。
「……あなたは、私の一生の推しなんです。推しが辛いときこそ、ファンは寄り添いたい……ダメですか?」
デイジーさんも、僕を非難しない。
よく分からないことを言ってるけども、こんな僕を抱きしめてくれる程度には許してくれるらしい。
「……こんなに、汚れても……?」
「ええ……ええ……! ユリア様は、心……魂が、お美しい……うぅ……」
数百人の子供を拉致監禁調教悪行三昧した主犯っていう汚名を着せられて汚れた僕を――ちょっと痛いくらいに、けども目元の柔らかいクッションで優しく抱きしめてくれる。
「うぅ、姉御……ごめんな、ごめんな。あたいたちのために、こんな目に……詳しいことは知らねえけど、女として生まれて後悔するとかいう目に遭ったって……」
「ユリア様……俺、一生を掛けて償います。ユリア様が俺たちにしてくれて、俺たちがさせてしまった、全てを」
リラちゃんとテオくんが、なにかしら慰めの言葉をかけてくれている。
「ユリア様……良いのです。貴族の淑女でも、お辛いことは」
「そうですわ、大声で泣いても、誰もはしたないなどと言いませんの」
「おいたわしい……さぞお辛い目に……ユリア様……」
「うぇぇぇん、ユリアさまぁ……」
モブ子ズも怒ってないし、ルーシーちゃんは泣き虫だ。
「――ここで見聞きしたことは、他言無用。皆様、よろしいですね?」
「ギルドマスター……!」
「ジャンさん……!」
誰?
……あ、ギルドの偉い人だっけ。
他言無用――秘密に、してくれる?
僕が主犯にされたっていうか主犯の供述が「こいつにやれって脅されました」ってせいで僕が世界の敵みたいなのを?
ああ。
なんだかもう、悲しすぎて頭がくらくらしてきた。
「……ジュ――リア様!?」
「ユリア様ぁぁ!?」
「みなさん、体を休められる場所は!? ベッド――以外で!」
「ユリア様がお辛い目に遭われた場所以外で!」
「え? え? ……よ、良く分かりませんが、私たちに用意されている部屋で良いのでしたら……」
メイドお姉ちゃんの声。
それを認識したあたりで――僕の意識は絶望で閉ざされた。
◇
【速報・ジュリオン様救済ルート実装】
【第一報では、大型アプデの際はメインヒロインたちはもちろんサブヒロイン、他のキャラやモブの一部の過去編も展開という情報が】
【唐突な発表の理由は「条件が満たされたため」と、基本的に広報をしない開発元が唐突にSNSへつぶやき――】
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