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ミリしら作品の悪役令息に転生した。BL作品なんて聞いてない!
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「ミリオ・イシュトバーン侯爵令息!貴様が我が友リューゼルに行った蛮行!知らぬとは言わせんぞ!!」
新入生歓迎パーティーでこの国の王太子の怒声が響き渡った。
まるで宝塚のように、ダンスホールから数段高く作られた舞台の上には『この世界』の『攻略キャラ』だと推察される、目に痛い配色の髪を持つ五人の美丈夫が憤った表情で立っている。
その内、輝く黄金の髪に青い瞳と言ういかにもなルックスを持つイケメンが王太子のセドリック・アルヴェール。その人である。
水を打ったように静まり返るダンスホールの隅。教師からの呼び出しで遅れてくるらしい友人を待ちながら、一人ビュッフェを楽しんでいた『ミリオ・イシュトバーン侯爵令息』こと俺は首をひねった。
(おっかしなぁ。悪役令息ムーブなんて一つもしてないのに)
何を隠そう、俺は転生者なのである。
ここは『攻略キャラ』が複数出てくるような、おそらく乙女ゲームを題材にした作品の世界である。
前世、オタク御用達の青い店を訪れた時に大々的にポスターが貼られていたので間違いない。
女性向け作品と言うこともあり、俺はこの世界の元となった作品を履修していない。いわゆるミリしら作品というやつだ。
だが、うすらぼんやりと残るポスターの記憶から、自分が悪役の立場にあるキャラに転生してしまったことだけは推察することができた。
ミリしら作品とはいえ、こういう作品のお約束と言えばただ一つ。悪役を断罪してざまぁ展開とかいうやつ。でも、俺は別にこの作品のファンでも何でもないので普通に嫌だ。
せっかく侯爵令息、それも第二子という将来安泰コースに乗ってるのにリスクをとらなきゃいけないんだ。
だから、俺はこの貴族子女たちが集まる聖ミレニア学園に入学してからずっと目立たないように心がけて来たし、メインキャラっぽい人物には近づいてすらいない。
もちろん、王太子たちの言う『リューゼル』という人物も知らない。
展開的にヒロインちゃんだと思うんだけど、入学してから女生徒と交流持った記憶がない。
「セドリック殿下、何かの間違いではありませんか?俺はその、えーと、リューゼル?さん?って人と面識ないんですけど」
「しらばっくれても無駄ですよ。あなたがリューゼルあての招待状を強奪し、我々生徒会主催のパーティーに押しかけたことはわかっています」
殿下の代わりにそう吐き捨てたのは、翡翠色の長髪を一つにまとめた真面目系眼鏡イケメン枠である宰相子息のユリウス・グランツだ。
確かに、数か月前友人から生徒会主催のパーティーの招待状はもらったけれど、あて名は間違いなく俺の名前だった。強奪したおぼえなどない。
「それだけではない!貴様、放課後に気にくわないからと言ってリューゼルに切りかかったらしいな!?騎士の風上にも置けない卑怯な奴め!!」
次いでそう叫ぶのは、燃えるような短髪の体格がいい熱血体育会系イケメン枠の騎士団長子息のレオン・がルヴァン。
剣術が苦手な友人に剣を教えたことはあるが、女生徒にそんなことするわけがない。もちろん、リューゼルなんて知らないやつに切りかかるほど暇でもな。
「それだけじゃないよ。リューゼルが持ってたアクセサリーに追跡魔法がかかってた。誰の?って聞いたら君のって証言したよ」
インディゴブルーのサラストヘアーに眠たげな目。無気力系不思議イケメン枠の魔塔主子息のアーサー・ネフィリムがそう続けた。
全く身に覚えがなさすぎる。そもそも俺はお遊びの魔法は好きだけど実戦的な魔法は苦手なので追跡魔法とかかけられない。そのリューゼルさんはどうして俺の名前を言ったんだ。
「そ、それだけじゃないよ!きみは、リューゼルへの恋心を募らせて、爵位を盾にリューゼルを無理やり部屋に連れ込んだんだ!」
ふわふわとしたピンクブロンドに大きな瞳が特徴的な、中性的な庇護欲を誘う系イケメン枠の枯葉ノエル・ミレイユ。五人の中で唯一俺と顔見知りの相手でもある。
なんなら俺の友人の幼馴染で、積極的に絡みにはいかないけど顔を合わせたら挨拶するような仲だ。
「て、いうかおいミレイユ!お前、俺が童貞って知ってるよな!?え、なんで俺知り合いに突然冤罪かけられてんの!?」
「し、しらばっくれないでよ!君が最近リューゼルを部屋に連れ込んで、次の日の朝まで出てこないのなんてみんな知ってるんだ!」
「誰だよ、リューゼルさん!!もう俺の前に連れてきてくれない!?本当に心当たりが皆無なんだけど!!」
たまらず叫ぶと、俺の周囲にいた人たちが一歩後ずさった。
最悪だ。何が悲しくて俺は公衆の面前で童貞カミングアウトしなきゃいけないんだ。
せめて友人が側にいてくれたら、俺の無実を証明してくれるのに!そう思っていると、ダンスホールの扉が開き、友人であるリュカの黒髪がちらりと見えた。
俺も銀髪であるように、この世界では前世の日本人のような黒髪というのはかなり珍しい部類に入る。
リュカの姿を目にし、俺は思わず笑顔になった。
「リュカっ!助けてくれ!俺の貞操が顔も知らん奴に奪われたことになってる!!」
「ハ?なにそれどういうこと?……ていうか、これ今どういう状況??」
顔をしかめながらも、遠巻きにされている俺の傍に迷わず来てくれるリュカさんイケメンっす。愛してる。
情けない顔をしているだろう俺相手に、リュカはしょうがないなと言わんばかりに頭を撫でた。
派手なイケメンではないが、さすがなんかの作品の世界。モブであるリュカの顔も整っている。
「俺がリューゼルさんとかいう知らん奴に追跡魔法しかけて爵位を盾に童貞捨てたクソヤバいやつにされてる……っ」
「ハ?リューゼル?あー……、なるほど。……なんで?」
「知らないよ!!誰だよリューゼルさん!」
ひどい冤罪である。俺、学園卒業したら可愛い嫁さんもらって親の持ってる爵位を一つ譲ってもらって悠々自適に暮らそうと思ってたのに。
こんなひどい悪評ついたら結婚とかできないじゃん!
思わず顔を覆って嘆くと、リュカが俺の頭を抱き寄せて撫でてくれた。
「おー、よしよし。怖かったねぇ、ミリオ。僕が守ってあげるからねぇ」
「もういい!嫁さんがもらえなかったらリュカと結婚するもん!」
「おーおー、願ってもな、げふん。僕も卒業したらミリオと一緒にいたいなぁ」
途中なんか小声で言いかけたっぽいが、何だったのか。
バブみを感じてリュカの体にひしと抱き着くと、檀上の王太子が突如大声を上げた。
「ミリオ・イシュトバーン!!リューゼルに抱き着くんじゃない!!!!」
「は?いやいや、俺が抱き着いてるのは大親友のリュカくんですが!?リューゼルなんて子しりませんが!?」
「だから!貴様が今抱き着いているのがリューゼルだ!!!」
王太子渾身の叫びに、思わずいまだ俺の頭を撫でるリュカを見ると、リュカは照れたように少し笑った。
「あー、僕がエルヴァロッド伯爵の庶子って話はしたことあるでしょ?貴族としての僕の名前がリューゼルカーン・エルヴァロッドなんだ。でも、学園卒業後は縁切る予定だから普段はリュカ・ノクスって母親の名字で名乗ってるんだ」
その名前を聞いた瞬間。頭の中にオタク御用達の青い店でディスプレイされていた販促動画の音声が一瞬にしてよみがえった。
ーーーーーーーーーー
「選ばれし者にのみ許される、聖ミレニア学園への入学。その門をくぐった僕は、やがて五人と誓いを結ぶこととなる。」
黒髪の青年が学園を見上げる。
(華やかなピアノ×ストリングスBGMが流れる)
「貴様を護る。それが王太子としてできる唯一の誓いだ」
「私の全てを差し上げますから、どうかあなたを独占させてください」
「惚れた俺が悪いっていうなら、お前の代わりにいくらでも罰を受けてやるよ!」
「君が望むなら、いくらだって頑張れる気がするんだ……」
「好き……なの。ずっと前から!君のことが!」
金、緑、赤、青、ピンクの髪色のイケメンたちが、代わる代わるカットイン。
「秘密、陰謀、すれ違う想い――それでも、彼らと交わした“誓い”だけは、誰にも渡さない。」
銀髪の男に追い詰められながらも、黒髪の青年が力強く睨み返す。
【挿入歌サビ】
「五人の誓いが交差する。恋と運命が交差する、学園ハーレムファンタジー!アニメ『薔薇色ロジカと五つの誓約』Blu-ray第1巻予約発売中!」
ーーーーーーーーーー
「BLじゃねーーーーかッ!!!!!!!」
思わず叫んだ。
なんてこった!乙女ゲーム系の作品の世界だと思ってたのに!!
「思いっきりBLじゃねぇか!!そりゃわからんわ!!!乙女ゲームよりも未知の世界だわ、こんチクショウ!!!!」
どおりで可笑しいと思ったんだよ!!攻略キャラみたいなやつらはいるのに、一向にヒロインちゃんは見当たらないんだもん!!
平民の可愛い子から高位貴族の麗しの方まで一通り探りを入れるために見に行ったけど!!誰も彼もキャラ立ちしてないんだもん!!だから今日の新入生歓迎パーティーがオープニングかと思ってたのに!!!
「そんで、お前が主人公かよ!!絶望した!プルプル、俺は悪い悪役令息じゃないよ!!!」
「わあ、どうしたのミリオ?かわいいね」
「可愛くないわいっ!!」
「かわいいよ♡」
相変わらず俺の頭を撫でるリュカに涙がでそうだ。でも、主人公なら言ってほしかった!確かに、中性的な美形な顔つきしてるけどさ!!五色のヒーローと比べたら普通だったから安心してたのに!
「……もういい。思いっきり恥晒しちゃったし、俺明日から領地に引っ込むわ。リュカ、俺のことは忘れてヒーローたちと幸せに、」
「ハァ?」
『幸せになってくれ』と言い切る前に、聞いたこともないような低いリュカの声にさえぎられる。
え?と俯かせてた顔を上げてリュカを見ると、綺麗な顔をしかめた彼が目に入る。
「今更、僕がミリオを逃がすとでも思ってんの?」
そう言うと、リュカの綺麗な顔が迫ってくる。
「んぅ!?」
重ねられた柔らかな唇に目を白黒させているうちに、ぬるりと彼の舌が俺の口内に侵入してきた。
逃げようとするも、意外に強い力に押さえつけられ逃げられない。
思春期の体には余りにも情熱的なその口づけに、下半身が熱を持つ。
「んっ、は、ぁ……。ふふっ。みんなの前でキスしちゃったね?」
「な、にすん、だよ……!」
どちらのかもわからない唾液で濡れた口元を、ぐっと手の甲で拭ったリュカの鋭い視線が俺を貫いた。
「絶対逃がさないから、覚悟しときなよ。ミリオ」
「はわわ……!」
新入生歓迎パーティーでこの国の王太子の怒声が響き渡った。
まるで宝塚のように、ダンスホールから数段高く作られた舞台の上には『この世界』の『攻略キャラ』だと推察される、目に痛い配色の髪を持つ五人の美丈夫が憤った表情で立っている。
その内、輝く黄金の髪に青い瞳と言ういかにもなルックスを持つイケメンが王太子のセドリック・アルヴェール。その人である。
水を打ったように静まり返るダンスホールの隅。教師からの呼び出しで遅れてくるらしい友人を待ちながら、一人ビュッフェを楽しんでいた『ミリオ・イシュトバーン侯爵令息』こと俺は首をひねった。
(おっかしなぁ。悪役令息ムーブなんて一つもしてないのに)
何を隠そう、俺は転生者なのである。
ここは『攻略キャラ』が複数出てくるような、おそらく乙女ゲームを題材にした作品の世界である。
前世、オタク御用達の青い店を訪れた時に大々的にポスターが貼られていたので間違いない。
女性向け作品と言うこともあり、俺はこの世界の元となった作品を履修していない。いわゆるミリしら作品というやつだ。
だが、うすらぼんやりと残るポスターの記憶から、自分が悪役の立場にあるキャラに転生してしまったことだけは推察することができた。
ミリしら作品とはいえ、こういう作品のお約束と言えばただ一つ。悪役を断罪してざまぁ展開とかいうやつ。でも、俺は別にこの作品のファンでも何でもないので普通に嫌だ。
せっかく侯爵令息、それも第二子という将来安泰コースに乗ってるのにリスクをとらなきゃいけないんだ。
だから、俺はこの貴族子女たちが集まる聖ミレニア学園に入学してからずっと目立たないように心がけて来たし、メインキャラっぽい人物には近づいてすらいない。
もちろん、王太子たちの言う『リューゼル』という人物も知らない。
展開的にヒロインちゃんだと思うんだけど、入学してから女生徒と交流持った記憶がない。
「セドリック殿下、何かの間違いではありませんか?俺はその、えーと、リューゼル?さん?って人と面識ないんですけど」
「しらばっくれても無駄ですよ。あなたがリューゼルあての招待状を強奪し、我々生徒会主催のパーティーに押しかけたことはわかっています」
殿下の代わりにそう吐き捨てたのは、翡翠色の長髪を一つにまとめた真面目系眼鏡イケメン枠である宰相子息のユリウス・グランツだ。
確かに、数か月前友人から生徒会主催のパーティーの招待状はもらったけれど、あて名は間違いなく俺の名前だった。強奪したおぼえなどない。
「それだけではない!貴様、放課後に気にくわないからと言ってリューゼルに切りかかったらしいな!?騎士の風上にも置けない卑怯な奴め!!」
次いでそう叫ぶのは、燃えるような短髪の体格がいい熱血体育会系イケメン枠の騎士団長子息のレオン・がルヴァン。
剣術が苦手な友人に剣を教えたことはあるが、女生徒にそんなことするわけがない。もちろん、リューゼルなんて知らないやつに切りかかるほど暇でもな。
「それだけじゃないよ。リューゼルが持ってたアクセサリーに追跡魔法がかかってた。誰の?って聞いたら君のって証言したよ」
インディゴブルーのサラストヘアーに眠たげな目。無気力系不思議イケメン枠の魔塔主子息のアーサー・ネフィリムがそう続けた。
全く身に覚えがなさすぎる。そもそも俺はお遊びの魔法は好きだけど実戦的な魔法は苦手なので追跡魔法とかかけられない。そのリューゼルさんはどうして俺の名前を言ったんだ。
「そ、それだけじゃないよ!きみは、リューゼルへの恋心を募らせて、爵位を盾にリューゼルを無理やり部屋に連れ込んだんだ!」
ふわふわとしたピンクブロンドに大きな瞳が特徴的な、中性的な庇護欲を誘う系イケメン枠の枯葉ノエル・ミレイユ。五人の中で唯一俺と顔見知りの相手でもある。
なんなら俺の友人の幼馴染で、積極的に絡みにはいかないけど顔を合わせたら挨拶するような仲だ。
「て、いうかおいミレイユ!お前、俺が童貞って知ってるよな!?え、なんで俺知り合いに突然冤罪かけられてんの!?」
「し、しらばっくれないでよ!君が最近リューゼルを部屋に連れ込んで、次の日の朝まで出てこないのなんてみんな知ってるんだ!」
「誰だよ、リューゼルさん!!もう俺の前に連れてきてくれない!?本当に心当たりが皆無なんだけど!!」
たまらず叫ぶと、俺の周囲にいた人たちが一歩後ずさった。
最悪だ。何が悲しくて俺は公衆の面前で童貞カミングアウトしなきゃいけないんだ。
せめて友人が側にいてくれたら、俺の無実を証明してくれるのに!そう思っていると、ダンスホールの扉が開き、友人であるリュカの黒髪がちらりと見えた。
俺も銀髪であるように、この世界では前世の日本人のような黒髪というのはかなり珍しい部類に入る。
リュカの姿を目にし、俺は思わず笑顔になった。
「リュカっ!助けてくれ!俺の貞操が顔も知らん奴に奪われたことになってる!!」
「ハ?なにそれどういうこと?……ていうか、これ今どういう状況??」
顔をしかめながらも、遠巻きにされている俺の傍に迷わず来てくれるリュカさんイケメンっす。愛してる。
情けない顔をしているだろう俺相手に、リュカはしょうがないなと言わんばかりに頭を撫でた。
派手なイケメンではないが、さすがなんかの作品の世界。モブであるリュカの顔も整っている。
「俺がリューゼルさんとかいう知らん奴に追跡魔法しかけて爵位を盾に童貞捨てたクソヤバいやつにされてる……っ」
「ハ?リューゼル?あー……、なるほど。……なんで?」
「知らないよ!!誰だよリューゼルさん!」
ひどい冤罪である。俺、学園卒業したら可愛い嫁さんもらって親の持ってる爵位を一つ譲ってもらって悠々自適に暮らそうと思ってたのに。
こんなひどい悪評ついたら結婚とかできないじゃん!
思わず顔を覆って嘆くと、リュカが俺の頭を抱き寄せて撫でてくれた。
「おー、よしよし。怖かったねぇ、ミリオ。僕が守ってあげるからねぇ」
「もういい!嫁さんがもらえなかったらリュカと結婚するもん!」
「おーおー、願ってもな、げふん。僕も卒業したらミリオと一緒にいたいなぁ」
途中なんか小声で言いかけたっぽいが、何だったのか。
バブみを感じてリュカの体にひしと抱き着くと、檀上の王太子が突如大声を上げた。
「ミリオ・イシュトバーン!!リューゼルに抱き着くんじゃない!!!!」
「は?いやいや、俺が抱き着いてるのは大親友のリュカくんですが!?リューゼルなんて子しりませんが!?」
「だから!貴様が今抱き着いているのがリューゼルだ!!!」
王太子渾身の叫びに、思わずいまだ俺の頭を撫でるリュカを見ると、リュカは照れたように少し笑った。
「あー、僕がエルヴァロッド伯爵の庶子って話はしたことあるでしょ?貴族としての僕の名前がリューゼルカーン・エルヴァロッドなんだ。でも、学園卒業後は縁切る予定だから普段はリュカ・ノクスって母親の名字で名乗ってるんだ」
その名前を聞いた瞬間。頭の中にオタク御用達の青い店でディスプレイされていた販促動画の音声が一瞬にしてよみがえった。
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「選ばれし者にのみ許される、聖ミレニア学園への入学。その門をくぐった僕は、やがて五人と誓いを結ぶこととなる。」
黒髪の青年が学園を見上げる。
(華やかなピアノ×ストリングスBGMが流れる)
「貴様を護る。それが王太子としてできる唯一の誓いだ」
「私の全てを差し上げますから、どうかあなたを独占させてください」
「惚れた俺が悪いっていうなら、お前の代わりにいくらでも罰を受けてやるよ!」
「君が望むなら、いくらだって頑張れる気がするんだ……」
「好き……なの。ずっと前から!君のことが!」
金、緑、赤、青、ピンクの髪色のイケメンたちが、代わる代わるカットイン。
「秘密、陰謀、すれ違う想い――それでも、彼らと交わした“誓い”だけは、誰にも渡さない。」
銀髪の男に追い詰められながらも、黒髪の青年が力強く睨み返す。
【挿入歌サビ】
「五人の誓いが交差する。恋と運命が交差する、学園ハーレムファンタジー!アニメ『薔薇色ロジカと五つの誓約』Blu-ray第1巻予約発売中!」
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「BLじゃねーーーーかッ!!!!!!!」
思わず叫んだ。
なんてこった!乙女ゲーム系の作品の世界だと思ってたのに!!
「思いっきりBLじゃねぇか!!そりゃわからんわ!!!乙女ゲームよりも未知の世界だわ、こんチクショウ!!!!」
どおりで可笑しいと思ったんだよ!!攻略キャラみたいなやつらはいるのに、一向にヒロインちゃんは見当たらないんだもん!!
平民の可愛い子から高位貴族の麗しの方まで一通り探りを入れるために見に行ったけど!!誰も彼もキャラ立ちしてないんだもん!!だから今日の新入生歓迎パーティーがオープニングかと思ってたのに!!!
「そんで、お前が主人公かよ!!絶望した!プルプル、俺は悪い悪役令息じゃないよ!!!」
「わあ、どうしたのミリオ?かわいいね」
「可愛くないわいっ!!」
「かわいいよ♡」
相変わらず俺の頭を撫でるリュカに涙がでそうだ。でも、主人公なら言ってほしかった!確かに、中性的な美形な顔つきしてるけどさ!!五色のヒーローと比べたら普通だったから安心してたのに!
「……もういい。思いっきり恥晒しちゃったし、俺明日から領地に引っ込むわ。リュカ、俺のことは忘れてヒーローたちと幸せに、」
「ハァ?」
『幸せになってくれ』と言い切る前に、聞いたこともないような低いリュカの声にさえぎられる。
え?と俯かせてた顔を上げてリュカを見ると、綺麗な顔をしかめた彼が目に入る。
「今更、僕がミリオを逃がすとでも思ってんの?」
そう言うと、リュカの綺麗な顔が迫ってくる。
「んぅ!?」
重ねられた柔らかな唇に目を白黒させているうちに、ぬるりと彼の舌が俺の口内に侵入してきた。
逃げようとするも、意外に強い力に押さえつけられ逃げられない。
思春期の体には余りにも情熱的なその口づけに、下半身が熱を持つ。
「んっ、は、ぁ……。ふふっ。みんなの前でキスしちゃったね?」
「な、にすん、だよ……!」
どちらのかもわからない唾液で濡れた口元を、ぐっと手の甲で拭ったリュカの鋭い視線が俺を貫いた。
「絶対逃がさないから、覚悟しときなよ。ミリオ」
「はわわ……!」
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おもしろいです!
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ありがとうございます!
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