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お風呂から上がった僕は、最高級のシルクでできた寝巻きを着せられ、再びふかふかのベッドへ。
髪を乾かしてくれたのも、なんとアルヴィス様だった。
あんなに綺麗な顔をして、世話焼きなのだろうか。いや、たぶん執着心が強すぎるだけなんだろうな、となんとなく察し始める。
そこへ、コンコンと控えめなノックの音が響いた。
「失礼します、アルヴィス様。例の『迷い人』の件ですが――」
入ってきたのは、銀色の鎧に身を包んだ凛々しい女性騎士だった。
彼女は僕を見るなり、その鋭い眉をピクリと動かした。
「……なるほど。これが殿下が雪山から拉致……いえ、お連れしたという御方ですか」
「言葉に気をつけろ、ジゼル。彼は私の恩人になる男だ」
「恩人、ですか。……魔力測定では『ゼロ』だったと報告を受けておりますが」
ジゼルと呼ばれた騎士は、あからさまに不審そうな視線を僕に向ける。
そりゃそうだ。魔力ゼロの男が、この国の次期国王の寝室にいるなんて、不自然極まりない。
「あの、ヒイロと言います……。ご迷惑をおかけして、すみません」
「……殊勝な心がけですね。ですが、殿下をたぶらかすような真似をすれば、この剣が黙っていませんよ」
ひえっ、怖い。
でも、その直後だった。
ぐうぅぅぅぅぅ……。
静かな部屋に、情けない音が響き渡った。
僕の、お腹の音だ。
「…………」
「…………」
ジゼルさんが絶句し、アルヴィス様が小さく吹き出した。
「ふっ……。そういえば、何も食わせていなかったな。ジゼル、すぐに厨房から一番消化に良い、かつ栄養価の高いものを持ってこい。最高級の素材を使え」
「はっ……ただいま」
ジゼルさんは毒気を抜かれたのか、どこか呆れたような顔をして部屋を出て行った。
しばらくして運ばれてきたのは、黄金色のスープと、ふんわりとした白いパン。
「さあ、食べろ。私が食べさせてやってもいいが?」
「い、いいです! 自分で食べられます!」
慌ててスプーンを手に取り、スープを一口。
……その瞬間、全身の細胞が歓喜の声を上げた。
野菜の旨味が凝縮されていて、それでいて体に染み渡るような優しい味。
「美味しい……。こんなの、食べたことないです……」
「そうか。ならばもっと食え。貴様の体はあまりに細すぎる。まずは人並みの肉をつけるのが先決だ」
アルヴィス様は、僕が食べる様子をじっと見つめている。
その眼差しは、まるで大切に育てている苗木を見守る園芸家のようで。
(怖い人だと思ったけど……案外、優しいのかな?)
そんな淡い期待は、食後に彼が放った一言で打ち砕かれた。
「腹が膨れたら、寝る準備をしろ。今夜から貴様は、私の腕の中で眠るのだ」
「……はい?」
聞き間違いかと思ったが、彼は真剣だった。
どうやら「おまけの聖女」の夜は、想像以上に多忙になりそうだった。
髪を乾かしてくれたのも、なんとアルヴィス様だった。
あんなに綺麗な顔をして、世話焼きなのだろうか。いや、たぶん執着心が強すぎるだけなんだろうな、となんとなく察し始める。
そこへ、コンコンと控えめなノックの音が響いた。
「失礼します、アルヴィス様。例の『迷い人』の件ですが――」
入ってきたのは、銀色の鎧に身を包んだ凛々しい女性騎士だった。
彼女は僕を見るなり、その鋭い眉をピクリと動かした。
「……なるほど。これが殿下が雪山から拉致……いえ、お連れしたという御方ですか」
「言葉に気をつけろ、ジゼル。彼は私の恩人になる男だ」
「恩人、ですか。……魔力測定では『ゼロ』だったと報告を受けておりますが」
ジゼルと呼ばれた騎士は、あからさまに不審そうな視線を僕に向ける。
そりゃそうだ。魔力ゼロの男が、この国の次期国王の寝室にいるなんて、不自然極まりない。
「あの、ヒイロと言います……。ご迷惑をおかけして、すみません」
「……殊勝な心がけですね。ですが、殿下をたぶらかすような真似をすれば、この剣が黙っていませんよ」
ひえっ、怖い。
でも、その直後だった。
ぐうぅぅぅぅぅ……。
静かな部屋に、情けない音が響き渡った。
僕の、お腹の音だ。
「…………」
「…………」
ジゼルさんが絶句し、アルヴィス様が小さく吹き出した。
「ふっ……。そういえば、何も食わせていなかったな。ジゼル、すぐに厨房から一番消化に良い、かつ栄養価の高いものを持ってこい。最高級の素材を使え」
「はっ……ただいま」
ジゼルさんは毒気を抜かれたのか、どこか呆れたような顔をして部屋を出て行った。
しばらくして運ばれてきたのは、黄金色のスープと、ふんわりとした白いパン。
「さあ、食べろ。私が食べさせてやってもいいが?」
「い、いいです! 自分で食べられます!」
慌ててスプーンを手に取り、スープを一口。
……その瞬間、全身の細胞が歓喜の声を上げた。
野菜の旨味が凝縮されていて、それでいて体に染み渡るような優しい味。
「美味しい……。こんなの、食べたことないです……」
「そうか。ならばもっと食え。貴様の体はあまりに細すぎる。まずは人並みの肉をつけるのが先決だ」
アルヴィス様は、僕が食べる様子をじっと見つめている。
その眼差しは、まるで大切に育てている苗木を見守る園芸家のようで。
(怖い人だと思ったけど……案外、優しいのかな?)
そんな淡い期待は、食後に彼が放った一言で打ち砕かれた。
「腹が膨れたら、寝る準備をしろ。今夜から貴様は、私の腕の中で眠るのだ」
「……はい?」
聞き間違いかと思ったが、彼は真剣だった。
どうやら「おまけの聖女」の夜は、想像以上に多忙になりそうだった。
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