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後日談3
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新婚生活の夜は、いつも長くて、深い。
バルコニーから差し込む銀色の月光が、乱れたシーツと、重なり合う二人の影を淡く照らしている。
激しい愛撫の余韻で、僕の呼吸はまだ乱れたままだ。
アルヴィス様は僕を自分の腕の中に抱き寄せ、汗ばんだ僕の額を愛おしそうになぞっている。彼の体温は、僕の魔力を受け取ったことで驚くほど高くなっており、触れているだけで溶けてしまいそうだ。
「……ヒイロ。貴様は今、何を考えている?」
彼は僕の指を一本ずつ取り、その指先に小さな口づけを落としていく。まるで、僕のすべてを自分のものだと、一箇所も漏らさず確認するような、そんな仕草。
「……考えていたのは、あの日、雪山で拾ってもらえて、本当によかったなって」
「……私は、後悔しているぞ」
アルヴィス様の意外な言葉に、僕は驚いて彼を見た。
彼は寂しげに笑うと、僕をさらに強く抱きしめた。
「もっと早く、貴様をあの国から奪い去っておくべきだった。……あのような無能共に、貴様の笑顔や、この柔らかな肌を、一瞬でも見せていたかと思うと、今でも腸が煮えくり返る」
「アルヴィス様……。でも、あの経験があったから、僕はあなたの温かさが、こんなに特別だって気づけたんだと思います」
僕は彼の首に腕を回し、自分から唇を寄せた。
軽い、羽が触れるようなキス。
けれど、彼がそれを逃すはずがない。彼はすぐに僕の後頭部を支え、逃がさないように深く、深く、僕の息を奪っていった。
「……ヒイロ。貴様の力は、もはや魔力供給などという言葉では説明がつかん。……貴様は、私の魂の欠片そのものだ。貴様が欠ければ、私は王としても、男としても、一瞬で崩れ去るだろう」
「……大げさですよ」
「事実だ。……だから、一生、私の側にいろ。……もし、別の世界が貴様を呼んでも、決してその手を離すな。私が貴様の鎖となり、楔となり、この地に繋ぎ止めてやる」
それは、愛の言葉というにはあまりに重く、支配的で、狂気すら孕んだ執着だ。
けれど、その鎖を誰よりも心地よく感じているのは、他ならぬ僕自身だった。
「……はい。……どこへも行きません。アルヴィス様が飽きるまで、いえ、飽きても、ずっと側にいます。……だって、僕の魔力は、あなたの熱でしか安定しないんですから」
僕が微笑むと、アルヴィス様は満足げに目を細め、再び僕を夜の深淵へと誘うように覆いかぶさった。
二つの月が沈み、新しい一日が始まっても、僕たちの愛は終わらない。
「おまけ」だった聖女は、今や世界で一番幸せな独占欲の虜として、愛しい主様(旦那様)の腕の中で、永遠の春を謳歌し続けるのだ。
(完)
バルコニーから差し込む銀色の月光が、乱れたシーツと、重なり合う二人の影を淡く照らしている。
激しい愛撫の余韻で、僕の呼吸はまだ乱れたままだ。
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「……ヒイロ。貴様は今、何を考えている?」
彼は僕の指を一本ずつ取り、その指先に小さな口づけを落としていく。まるで、僕のすべてを自分のものだと、一箇所も漏らさず確認するような、そんな仕草。
「……考えていたのは、あの日、雪山で拾ってもらえて、本当によかったなって」
「……私は、後悔しているぞ」
アルヴィス様の意外な言葉に、僕は驚いて彼を見た。
彼は寂しげに笑うと、僕をさらに強く抱きしめた。
「もっと早く、貴様をあの国から奪い去っておくべきだった。……あのような無能共に、貴様の笑顔や、この柔らかな肌を、一瞬でも見せていたかと思うと、今でも腸が煮えくり返る」
「アルヴィス様……。でも、あの経験があったから、僕はあなたの温かさが、こんなに特別だって気づけたんだと思います」
僕は彼の首に腕を回し、自分から唇を寄せた。
軽い、羽が触れるようなキス。
けれど、彼がそれを逃すはずがない。彼はすぐに僕の後頭部を支え、逃がさないように深く、深く、僕の息を奪っていった。
「……ヒイロ。貴様の力は、もはや魔力供給などという言葉では説明がつかん。……貴様は、私の魂の欠片そのものだ。貴様が欠ければ、私は王としても、男としても、一瞬で崩れ去るだろう」
「……大げさですよ」
「事実だ。……だから、一生、私の側にいろ。……もし、別の世界が貴様を呼んでも、決してその手を離すな。私が貴様の鎖となり、楔となり、この地に繋ぎ止めてやる」
それは、愛の言葉というにはあまりに重く、支配的で、狂気すら孕んだ執着だ。
けれど、その鎖を誰よりも心地よく感じているのは、他ならぬ僕自身だった。
「……はい。……どこへも行きません。アルヴィス様が飽きるまで、いえ、飽きても、ずっと側にいます。……だって、僕の魔力は、あなたの熱でしか安定しないんですから」
僕が微笑むと、アルヴィス様は満足げに目を細め、再び僕を夜の深淵へと誘うように覆いかぶさった。
二つの月が沈み、新しい一日が始まっても、僕たちの愛は終わらない。
「おまけ」だった聖女は、今や世界で一番幸せな独占欲の虜として、愛しい主様(旦那様)の腕の中で、永遠の春を謳歌し続けるのだ。
(完)
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