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33 ジェイク様、来園
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「ジェイク様!」
「リア、元気だったか。」
「えぇ。まさか、こんなに早く会えるなんて、嬉しいです。」
「俺も嬉しいぞ。」
ニコリと笑うジェイク様。
はあ……、格好良い。いえ、可愛い?
私は、ジェイク様を、じっと見つめてしまった。ジェイク様も私を見ている。
時が止まったような気さえした。
コホン。
ライラの咳払いで我に返る。
「あっ。…ジェイク様、座りましょう。」
私とジェイク様は向かい合って座る。
その時にジェイク様の手に目がいった。
包帯!?
私は思わず手を取った。
「!!」
「ジェイク様。この手はどうしたのですか?」
「あ、ああ。ちょっとな。大したことはない。」
「両手に包帯なのに?」
「ああ。」
「ジェイク様、私には言えませんか…。」
少し拗ねると、ジェイクは狼狽えだした。
「本当に大したことではないのだ。…昨日、何もできない自分が悔しくて、拳を握ったらちょっと傷になっただけだ。」
「!」
「…今回の件、聞いた。それで、オパール候爵に一筆書いてもらい、会いに来た。言伝も預かっている。」
「昨日の今日ですよ?」
「そうだな。」
「お仕事は?」
「殿下に休む許可をもらった。」
「…もしかして、心配してくださったのですか?」
「当たり前だろう。」
昨日手紙を送って、今日には調整して駆けつけてくれる。それには、皆の協力も必要だ。
なんて幸せ者なのだろう。
泣けてくる…。
「心配して下さって、ありがとうございます。」
目に涙が浮かぶ。
それを見たジェイク様は、目を見開き固まった。
私は少し不安になっていたけれど、こんなに心配してもらうほど思い詰めてはいなかった。
というか、推理小説みたいでちょっと楽しんでるところもあった。
申し訳ない…。
何も言えず、只々ジェイク様の手を撫でていると、ジェイク様が口を開いた。
「リ、リア?そろそろ手を…。」
「あ、すみません。」
私は急いで手を離した。
「そういえば、お父様からの言伝というのは?」
「今回の親父たちの話し合いで分かったことだな。」
「話し合い?」
「ああ。噂の出処だが…。親父たちが、陛下へ俺たちの婚約の報告をする時、ドアの近くに誰か居たそうだ。聞き耳を立て、中途半端に話を聞いたのだろうと。」
「それが分かっていて、そのままに?」
「二人の婚約を言いふらして貰おうと、放っておいたらしい。まさか、ライアン殿下とリアの婚約話に変わっているとは思わなかったそうだ。」
「そうですか。」
「その者は今、調査中だと。そして、その話をライアン殿下の耳に入れた者は、教師が有力だ。謹慎中に部屋の出入りを許可されていたのは、教師のみだったそうでな。」
うーん…。
「他に部屋に入れる者は、いなかったのですか?」
「ん?許可は出してないらしいが。」
「許可なく入ることは出来ます?」
「護衛騎士がいたと思うぞ?」
「…そうですよね。」
「気になるなら、親父に聞いておく。」
「ありがとうございます。」
「それにしても、元気で安心した。スターチスの言っていたとおりだ。リアはどんな時もリアだな。」
「お兄様は何と?」
「ん?リアは、感覚で動くから考え込まない。それと、走って発散するから大丈夫だと。」
「……その通りかもしれません。少しは不安でしたが、そこまで心は痛みませんでした。…すみません。どちらかと言うと、推理するのに夢中に…。」
「そうみたいだな。」
「それに、学園内の噂はもう払拭されました。」
「え?早くないか?」
「女性の噂話とは凄いものです。しかし、何故かライアン殿下だけには、新たな噂が入らないようですが。」
「新たな噂?」
「私の本当の婚約者がジェイク様と言う事です。」
「そうか。」
「あとの問題は、ライアン殿下が面倒くさい事だけです。」
「…面倒くさいだけで済むのか?酷いことを言われたのだろう?」
ん?なんの事だろう?
「酷いことですか?」
「ああ。」
「うーん…。」
考えていると、後ろからライラが小声で教えてくれる。
「野蛮だとか、醜態だとか、仰られたことでは?」
「ああ!そういえば言われましたね。野蛮だとか、醜態を見せるなとか。」
「それだ。」
「気にしていませんでした。」
「…そうか。ならいいんだ。しかし、リアが気にしていなくても、ライアン殿下の態度は目に余る。親父も、近々再教育となるだろうと言っていた。」
「…そうですか。」
「リア、また何かあったら俺にも知らせてくれ。又聞きでは無く、リアから聞きたい。」
!!
「は、はい。」
何だろう…。
リアから聞きたいって
なんか…なんか…恥ずかしい。
私の顔が赤くなる。
「ん?どうした?」
「いえ。自分でも分かりません…。」
「???」
ジェイク様は不思議そうな顔をしている。
その後、お茶で一息つくと、ジェイク様は帰る準備を始めた。
「途中までお送りしてもよろしいですか?」
「見送りをしてくれるのか?ありがとう。」
笑顔でお礼を言われた。
空気が甘い、甘すぎる…。
そして、ふたりで応接室を出た。
「リア、元気だったか。」
「えぇ。まさか、こんなに早く会えるなんて、嬉しいです。」
「俺も嬉しいぞ。」
ニコリと笑うジェイク様。
はあ……、格好良い。いえ、可愛い?
私は、ジェイク様を、じっと見つめてしまった。ジェイク様も私を見ている。
時が止まったような気さえした。
コホン。
ライラの咳払いで我に返る。
「あっ。…ジェイク様、座りましょう。」
私とジェイク様は向かい合って座る。
その時にジェイク様の手に目がいった。
包帯!?
私は思わず手を取った。
「!!」
「ジェイク様。この手はどうしたのですか?」
「あ、ああ。ちょっとな。大したことはない。」
「両手に包帯なのに?」
「ああ。」
「ジェイク様、私には言えませんか…。」
少し拗ねると、ジェイクは狼狽えだした。
「本当に大したことではないのだ。…昨日、何もできない自分が悔しくて、拳を握ったらちょっと傷になっただけだ。」
「!」
「…今回の件、聞いた。それで、オパール候爵に一筆書いてもらい、会いに来た。言伝も預かっている。」
「昨日の今日ですよ?」
「そうだな。」
「お仕事は?」
「殿下に休む許可をもらった。」
「…もしかして、心配してくださったのですか?」
「当たり前だろう。」
昨日手紙を送って、今日には調整して駆けつけてくれる。それには、皆の協力も必要だ。
なんて幸せ者なのだろう。
泣けてくる…。
「心配して下さって、ありがとうございます。」
目に涙が浮かぶ。
それを見たジェイク様は、目を見開き固まった。
私は少し不安になっていたけれど、こんなに心配してもらうほど思い詰めてはいなかった。
というか、推理小説みたいでちょっと楽しんでるところもあった。
申し訳ない…。
何も言えず、只々ジェイク様の手を撫でていると、ジェイク様が口を開いた。
「リ、リア?そろそろ手を…。」
「あ、すみません。」
私は急いで手を離した。
「そういえば、お父様からの言伝というのは?」
「今回の親父たちの話し合いで分かったことだな。」
「話し合い?」
「ああ。噂の出処だが…。親父たちが、陛下へ俺たちの婚約の報告をする時、ドアの近くに誰か居たそうだ。聞き耳を立て、中途半端に話を聞いたのだろうと。」
「それが分かっていて、そのままに?」
「二人の婚約を言いふらして貰おうと、放っておいたらしい。まさか、ライアン殿下とリアの婚約話に変わっているとは思わなかったそうだ。」
「そうですか。」
「その者は今、調査中だと。そして、その話をライアン殿下の耳に入れた者は、教師が有力だ。謹慎中に部屋の出入りを許可されていたのは、教師のみだったそうでな。」
うーん…。
「他に部屋に入れる者は、いなかったのですか?」
「ん?許可は出してないらしいが。」
「許可なく入ることは出来ます?」
「護衛騎士がいたと思うぞ?」
「…そうですよね。」
「気になるなら、親父に聞いておく。」
「ありがとうございます。」
「それにしても、元気で安心した。スターチスの言っていたとおりだ。リアはどんな時もリアだな。」
「お兄様は何と?」
「ん?リアは、感覚で動くから考え込まない。それと、走って発散するから大丈夫だと。」
「……その通りかもしれません。少しは不安でしたが、そこまで心は痛みませんでした。…すみません。どちらかと言うと、推理するのに夢中に…。」
「そうみたいだな。」
「それに、学園内の噂はもう払拭されました。」
「え?早くないか?」
「女性の噂話とは凄いものです。しかし、何故かライアン殿下だけには、新たな噂が入らないようですが。」
「新たな噂?」
「私の本当の婚約者がジェイク様と言う事です。」
「そうか。」
「あとの問題は、ライアン殿下が面倒くさい事だけです。」
「…面倒くさいだけで済むのか?酷いことを言われたのだろう?」
ん?なんの事だろう?
「酷いことですか?」
「ああ。」
「うーん…。」
考えていると、後ろからライラが小声で教えてくれる。
「野蛮だとか、醜態だとか、仰られたことでは?」
「ああ!そういえば言われましたね。野蛮だとか、醜態を見せるなとか。」
「それだ。」
「気にしていませんでした。」
「…そうか。ならいいんだ。しかし、リアが気にしていなくても、ライアン殿下の態度は目に余る。親父も、近々再教育となるだろうと言っていた。」
「…そうですか。」
「リア、また何かあったら俺にも知らせてくれ。又聞きでは無く、リアから聞きたい。」
!!
「は、はい。」
何だろう…。
リアから聞きたいって
なんか…なんか…恥ずかしい。
私の顔が赤くなる。
「ん?どうした?」
「いえ。自分でも分かりません…。」
「???」
ジェイク様は不思議そうな顔をしている。
その後、お茶で一息つくと、ジェイク様は帰る準備を始めた。
「途中までお送りしてもよろしいですか?」
「見送りをしてくれるのか?ありがとう。」
笑顔でお礼を言われた。
空気が甘い、甘すぎる…。
そして、ふたりで応接室を出た。
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