異世界で悪役令嬢として生きる事になったけど、前世の記憶を持ったまま、自分らしく過ごして良いらしい

千晶もーこ

文字の大きさ
111 / 134

91

しおりを挟む
「それでは、終わりにしょう。解散!」

はぁ、ジェイクが格好良かったぁ…。
躍動する筋肉も、指示を出す姿も何もかも!

「あ、ちょっと待てくれ。差し入れをもらった。誰か運んでくれ。」
「俺が行きますよ。」

ジェイクの声にグレイさんが手を挙げる。
そして、ふたりでこちらへ歩いてくる。

「オパール様、こんにちは。」
「こんにちは、グレイさん。ノア、差し入れを。」
「はい。」

ノアはグレイさんに大きなバスケットを2つ渡した。

「ありがとうございます。」
「こちらこそ、先日は迷惑をかけてしまったようですみません。」
「先日ですか?」
「囮作戦中です。」
「あー…。」
「今日一緒にご飯を、と言いたいところですが、ジェイクが拗そうなので、また今度お話を聞かせて下さい。」
「リア!?」
「ははは!良いですよ、ぜひ。…ライラさん達はお昼一緒にどうですか?」

グレイさんに、にこやかに誘われ、ライラとノアが顔を見合わせる。
その様子を見て、グレイさんが驚いた様に目を見開いた。

どうしたのかしら?

「グレイ。どうした?」
「いや、何でもない。ふたりともどうでしょう?」
「では、よろしくおねがいします。」

ライラとノアは、私達のお弁当を置いて、グレイさんとその場を離れていった。

「グレイさん。どうしたのでしょうか?」
「後で聞いておく。」
「はい。お弁当は何処で食べますか?」
「そうだな。天気もいいし、ここで食べよう。近くに水道があるから、手を洗ってくる。」
「その間に準備をしておきます。」
「頼む。」

私は、お重型のお弁当を開き、コップにお茶を注ぐ。

ジェイクが戻ってきた。

「美味そうだな。」
「今回は、ジェイクの物は全て私が作りました。お口に合うといいのですが。」
「頂こう。」

ジェイクがお稲荷さんに手を伸ばす。

「美味い。これは?」
「お稲荷さんです。」
「この皮が良い。」
「ふふっ。」
「こっちはどうだ?」

ジェイクは、どんどん口に入れ、お弁当が面白い程に無くなっていく。

「お茶のおかわり入れましょうか?」
「ああ。ありがとう。」

お茶を飲むジェイクの口の横にご飯粒がついている。

「ジェイク。付いてますよ。」

私はそれを取り、自分の口に入れた。

「デザートもありますよ。」
「あ、ああ。」

うん?どうかしたのかしら?

「これも美味い。」
「お口に合って良かったです。」

何事も無いように、会話が続く。

「ジェイクのこの後の仕事は何ですか?」
「休憩が終わったら、レオン殿下の所だ。」
「それなら、残りのチーズケーキを持っていってくれますか?一応、お兄様や、お父様の分も持ってきておいたのです。」
「そうなのか?」
「正確には、ジェイクへ作るに当たって、今回許可してくれたお礼も兼ねて、ジェイソンお父様にも差し入れをしようと思いました。でも、ジェイソンお父様だけでは、お父様が拗ねます。そして、お父様へあげると、お兄様が…という事で、仕事の合間に皆さんで摘めるように作ってきました。もちろん。2部署で食べられる様に、きちんと分けてきましたよ。」
「リア…。きちんと渡しておく。」
「手間を掛けさせてしまって、すみません。」
「良いんだ。さて、約束した腹ごなしでもするか?」
「はい!ありがとうございます。」

私はジェイクに手合わせしてもらう。
始めて少しすると、ジェイソンお父様がやって来た。

「重心がブレたぞ。」

途中にはアドバイスも貰った。

「ありがとうございました。」

手合わせが終わり、私はジェイクに向かって頭を下げる。

「親父、良いところに来た。これ、リアからの差し入れだ。午後は侯爵達と仕事だろう?」
「午後と言うか…。今日は、ずっと陛下の護衛だ。プルメリア、ありがとな。」
「こちらこそ。騎士団見学を許可してくださり、ありがとうございました。」
「気にするな。何時でも来い。じゃあな。」

ジェイソンお父様は手をふり、去っていった。

渋くて、格好いい!

見つめてていると、ジェイクに後ろから目を隠される。

「ジェイク?」
「…見なくていい。」

私はジェイクの手に自分の手を添え、ゆっくりはずさせる。

「言ってくださらないと分かりませんよ?」

大体予想はついているけれど…。

「…憧れていると知っているが、心がモヤモヤするんだ。」
「それは、ヤキモチですね。」
「ああ。」
「嬉しいです。」
「重くないか?」
「全然。」

私達は見つめ合い、顔が近づく…

駄目だ!此処は訓練場!

私は、ジェイクの顔を両手で挟む形で抑えた。

「ジェイク。此処では駄目です。」
「ゴホン。…そうだな。」

ふと視線を感じ、周りを見ると、騎士やライラ達が戻ってきていた。皆、そっぽを向いている。

いつから…?

「お前ら…。」
「差し入れのお礼を言いに来たのです。何も見ていません!」

ひとりの騎士が声を上げる。

「おにぎり美味しかったです。ありがとうございました!では!」

騎士達がサッと離れていき、ライラ、ノア、グレイさん、そして私達が残された。

「グレイ。いつからいた?」
「重心がブレたぞ、辺りかな。」
「…だいぶ前だな。」

ジェイクは片手で顔を隠す。

私は大きく息を吐いた。

「声をかけてくだされば良かったのに…。」
「お話し中だったので、終わるまで待っていましたが、話しかける雰囲気でなくなりました。」

ライラが私の言葉に答える。

「そう、そうね。ごめんなさい。…帰りましょうか。」
「畏まりました。」
「ジェイク。失礼します。」
「ああ。入口まで送る。」
「ありがとうございます。」

私は王城を後にした。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!

楠ノ木雫
恋愛
 貧乏な実家を救うための結婚だった……はずなのに!?  貧乏貴族に生まれたテトラは実は転生者。毎日身を粉にして領民達と一緒に働いてきた。だけど、この家には借金があり、借金取りである商会の商会長から結婚の話を出されてしまっている。彼らはこの貴族の爵位が欲しいらしいけれど、結婚なんてしたくない。  けれどとある日、奴らのせいで仕事を潰された。これでは生活が出来ない。絶体絶命だったその時、とあるお偉いさんが手紙を持ってきた。その中に書いてあったのは……この国の大公様との結婚話ですって!?  ※他サイトにも投稿しています。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!

白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、 《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。 しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、 義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった! バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、 前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??  異世界転生:恋愛 ※魔法無し  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています

如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」 何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。 しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。 様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。 この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが…… 男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。

愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。 人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。 それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。 嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。 二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。 するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)

透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。 有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。 「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」 そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて―― しかも、彼との“政略結婚”が目前!? 婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。 “報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

処理中です...