異世界で悪役令嬢として生きる事になったけど、前世の記憶を持ったまま、自分らしく過ごして良いらしい

千晶もーこ

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ライラとグレイ

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グレイは、側仕え用の食堂で昼食を取っていた。

ライラさんは来ないな。
まだ仕事か。

俺は、女性に不自由をした事は無い。浮気や二股とかはしなかったが、付き合っている人がいなければ、来るもの拒まず去るもの追わずだ。
ジェイクに惚れた相手ができ、面倒くさい事になった時には、どうしてそうなるのか不思議だった。

それが、人の事を言えなくなってしまった。

ライラさんの仕えているオパール様は、色んな意味で規格外の方だ。あのジェイクが惚れるのも無理はない。
その規格外の女性を支えているライラさんも、規格外だ。
護衛も兼ねているようで、何かあっても冷静に対応し、凛としている。そんなライラさんのオパール様を見る目は、慈しむ様な穏やかな目になる。

それは不思議な感覚だった。
これは、なんだろうと思っていた。

そんな時、ライラさんとオパール様の護衛のひとりが同じモチーフの物を付けているのを見てしまった。

何故?
ふたりはそういう関係なのか?

俺の心が乱れる。
今までの女性相手に、ここまでの嫉妬を感じた事は無い。

そうか。そういうことか…。

自覚し告白したが、断られた。しかし、自分から告白したのだって初めてなんだ。そう簡単に諦めるわけにはいかない。

そんな事を考えているグレイへ、ライラが近づいていき、声をかけた。

「グレイ副隊長。」
「ライラさん?」
「お話があるのですが、少し良いですか?」
「もちろん。」
「では、こちらへ。」

ふたりとも顔には出していないが、内心は違った。

落ち着いて…自分の気持ちをどーんと…。

ライラさんから声をかけられたのは初めてだ。何があるんだ…。迷惑だとか、話しかけるなとか!?

ふたりは人気のない所まで来た。
すると、ライラは急に立ち止まり、後ろにいるグレイの方へ勢いよく向いた。

「ボフッ!」

ライラの顔は、グレイの胸元にぶつかった。
ライラが急に止まった為、後ろでグレイがライラにぶつかりそうになっていた所へ、振り向いたライラの顔が埋まる形になったのだ。

「す、すみません。」

ライラはすぐに離れた。

やってしまった…。

「いや、こちらこそ。」

ライラさんが俺の胸に…。

「「…」」

ふたりの間に沈黙がおきる。

「ライラさん。話とは何かな?」
「あ、はい。」

落ち着いて…落ち着いて…

「グレイ副隊長はモテますよね?」
「え?あ、うん、モテなくはない、と思う。」
「私は、モテません。」
「そんなにキレイなんだから、そんなことないでしょ?」
「きっ!?…コホン。告白だって、この間が初めてです。」
「そうだったんだ。」
「だから、よく分かりません。」
「うん?」
「私は、断りました。」
「うん。」
「無理です、とも言いました。」
「はい…。」

これは、迷惑だコースか…。

「それなのに何故…。分からなくなって、仕事にも支障をきたしています。」
「ん?」

なんか違う?

「グレイ副隊長は女性慣れしていますが、私は慣れていません。からかっているだけでしたら、」
「からかってないから。何でうちの隊長の婚約者の侍女を遊びに選ぶの。そもそも、本気でなかったら、告白なんてしない。」
「そ、そうですか。」
「ライラさんは俺をどう思っているの?迷惑?」
「迷惑だなんて。…でも、断っていますし、」

なるほど。

「それは、置いておいて。今の気持ちは?」
「…グレイ副隊長から声をかけてもらうのを、待っている自分がいます。」

グレイはライラさんの顔に手を伸ばし、頬を触る。

「期待して良いのかな?」
「…」
「ライラさん?」
「こういうところです。慣れていませんので、手を…。」
「…はい。」

グレイは伸ばした手を引いた。

「心臓がいくつあっても足りません。…加減してください。」
「それって…。良いように受け取るよ?」

コクンと、ライラは頷いた。

「そっか。良かったぁ!」

グレイは身体の力が抜けたように、座り込んだ。

「グレイ副隊長、大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫。…まず、副隊長呼びをやめるところから始めようか。俺もライラと呼んで良いかな。」
「…はい。よろしくお願い致します。」




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