27 / 201
第一部 ラクルス村編 第二章 禁忌の少女
11.命の意味は
しおりを挟む
「じゃあ、私はどうしたらいいのよ……」
人族と獣人の歴史を聞き終えて。
リラは悲しみと憤りを交えた声で、言った。
「……私はやっぱり、呪われた子じゃない。お父さんが死んだのも、お母さんが死んだのも、パドやスーンを巻き込んだのも、全部私のせいじゃない」
いや、それは違うだろう。
確かに僕やスーンやジラを巻き込んだのはリラにも責任はあるだろうけど。
リラのお父さんが殺されたのはリラのせいじゃない。
まして、お母さんの死は無関係だ。
「私は産まれてきちゃいけない子だったのよ。私のせいで、みんな、みんな……
私の命なんて、何の意味もない。なのに、私のせいで……」
そう言って両手で顔を覆うリラ。
「リラ……」
僕には何もできない。
何も言ってあげられない。
リラのせいじゃないと言うのは簡単だけど、たぶん、そんな言葉では彼女は救われない。
そっと抱いてあげたくても、チートのせいでそれもできない。
代わりにブシカさんが言った。
「もしも、あんたの命に何の意味も無いっていうならば、お父さんが殺されたことも、パドがあんたのために命をかけたことも、全部意味が無かったってことになるね」
いや、ブシカさん。
正論だけど、その言葉は今のリラには厳しすぎるんじゃ……
リラは泣き叫ぶように問う。
「じゃあ、教えてよ。私の命の意味って何!?」
だが、そのリラにブシカさんは鋭く言った。
「甘ったれるんじゃないよ。自分の命の意味なんていうのは、他人に教えてもらうもんじゃない。自分でみつけるもんだ」
その言葉に、リラは押し黙る。
確かにブシカさんの言葉は間違っていないと思う。
間違っていないと思うけど……
「私はっ!!」
叫び、立ち上がるリラ。
そのまま小屋から駆け出していく。
「リラ!!」
僕は叫ぶ。
「ブシカさん、なんで? あんな言い方したら……」
「私は私の言葉でリラに叱咤激励したつもりだよ。優しい言葉は、パドがかけてやりな。それはあんたの役目だ」
ブシカさんはそう言って、視線で僕にリラを追うように促したのだった。
---------------
小屋から飛び出したリラはすぐに見つかった。
入り口近くでうずくまって泣いていたのだ。
「リラ……」
ブシカさんは優しい言葉をかけてやれと言った。
自分は厳しい言葉で叱咤激励したから、優しい言葉は僕の役目だと。
でも、一体どんな言葉をかければいいのだろう。
僕が迷っていると、リラの方がポツリポツリと話し出した。
「ブルフおじさんはね、私達子どもに、狩りのしかたを教えてくれる先生だったの。
ナターシャおばさんはいつも陽気に笑っていて、母親のいない私のお母さん代わりだった。
ファッコムおじさんは里で一番頼りになる人でね、昔山の中で遭難したときに助けてもらった。
バウトお姉さんは、蝙蝠の羽でいつも私を抱きしめてくれた」
襲ってきた4人の獣人達のことか。
僕は単に襲ってくる敵くらいにしか思っていなかったけど、リラにとっては共に暮らしていた里の隣人でもあったのだ。
「みんな、良い人だと思っていたし、やさしかった。
それなのに、私が半分人族だって分かったら……私がつい口を滑らせたら……
それだけで、それだけのことで、お父さんは里の皆に殺された。
昨日までの優しさが嘘のように、私は里を追われた」
リラの言葉が胸に刺さる。
それは僕がずっと恐れていたことだ。
僕の隠し事がばれたら……
前世の記憶や力が知れ渡ったら、お父さんやお母さん、村長や村の大人たち、ジラやキドやテルやサンやスーンからも、恐れられ、村を追われるかもしれない。
ずっとそうに恐れて暮らしてきた。
お父さんとお母さんは僕を受け入れてくれた。
村長も今のところは。
だけど、リラは実際に昨日まで優しかった里の大人に、父親を殺され、自身も追われ、命を狙われたのだ。
「私なんて、産まれてこない方が良かったのよ」
自分自身を呪う言葉。
僕自身、なんども考えた言葉。
病気の桜勇太がいなかったら、前世の両親や弟はもっと楽だったんじゃないか。
チートや前世の記憶がある僕がいなければ、お父さんとお母さんはもっと仲良く暮らせたんじゃないか。
何度も何度もそんなことを考えた。
その言葉は自分自身への呪いだ。
他の誰がそんなことはないと言っても、呪縛となって僕らを縛り付ける。
このままじゃダメだ。
彼女は本当にダメになってしまう。
僕には、ブシカさんに言われたような優しい言葉なんて思いつかない。
かといって、厳しい言葉を投げかけて立ち直らせることもできない。
だまって抱き寄せることもできないとすれば、何ができるか。
『命の意味は他人に与えられるものじゃない』
ブシカさんはそう言ったけど、本当にそうだろうか。
あの崖の上で、お父さんに『お前が産まれたとき嬉しかった。前世の両親も同じだったと思う』と言われて、僕は救われた。
僕の命にちゃんと意味があるんだと、そう思えた。
ならば、僕がリラの命に意味を与えたとしても、いいんじゃないか?
「僕は、リラに出会えて良かったよ」
僕の言葉に、リラが顔を上げる。
「もし、リラが産まれてこなかったら、僕はリラに会えなかった。リラの命の意味なんて僕には分からないけど、でも、リラが産まれてきて、ラクルス村に逃げてきたから、僕はリラと出会えたんだ。
僕は、リラと出会えて嬉しかった。だから、きっと意味があるんだよ。
ううん、意味があると僕は思う。そして、僕がそう思う以上、やっぱり意味はあるんだ」
ああ、もう、自分でも途中から何を言っているんだか分からなくなってきた。
それでも、僕の言葉はリラに少しだけ届いたらしい。
リラの瞳から涙が消え、少しだけ生気が戻る。
「リラ。今の僕はリラを抱き寄せることができない。きっと、力で傷つけてしまうから。
でも約束する。僕はこの力を操れるようになって、いつかリラを抱きしめるって。
それを信じてもらえないかな?」
後から冷静に考えてみれば、小っ恥ずかしいにもほどがある言葉だった。
だが、今のリラには、役に立つ言葉だったらしい。
は立ち上がり、にやっと不敵に笑う。
「ふん、チビのくせに何言っているのよ」
その笑顔は、色々と無理をしているようにも見えたけれど。
それでも、彼女は笑ってくれた。
「チビって、だから僕は転生者で……」
「それでも、今はチビでしょ。どうせまだアソコもツルツル……」
「ちょ、今はそういう話じゃないだろ!?」
慌てて顔を真っ赤にして叫ぶ僕。
「ま、いいわ。いつまでも落ち込んでいても仕方ないもんね」
リラはそういうと、小屋の中に戻っていった。
――立ち直った……のかな?
よく分からないが、少なくとも少しは元気が出たらしい。
---------------
小屋の中に戻ると、リラがブシカさんに頭を下げていた。
「お願いします。私をここに置いてください」
その言葉に、ブシカさんは目を細める。
「いくらなんでも図々しいとは思わないのかい? リラ、あんたをここに置いて、私に何の得がある? 獣人達が本当に二度と襲ってこないかどうかもわからないわけだしね」
「なんでもやります。料理でも洗濯でも掃除でも、なんなら狩りでも薬草採取でも。
私、生きたいんです」
リラの言葉に、ブシカさんは「はぁ」っとため息。
「ブシカさん、僕からもお願いします」
リラは生きる意思を取り戻してくれた。
僕がその背中を押した結果でもある。
だから、僕もできる限り協力したかった。
ブシカさん、もう一度ため息。
「炊事洗濯は自分でできるよ。居候もメイドも求めちゃいない」
そりゃあそうだよなぁ。
でも、リラには他に行くところがない。
テルグスの街に行こうとしていたみたいだけど、話を聞く限り人族の祖父母にも歓迎されないだろう。
「ただ、私はここで薬師をやっている。村々と物々交換したり、行商人に卸したり。
最近腰も悪くなってきたし、内弟子なら1人居ても良いと思ってはいた」
その言葉に、リラの顔がパッと明るくなる。
「じゃあ……」
「弟子としてなら置いてやらんでもないよ。もっとも、私の教えは厳しいし、根を上げるようならとっとと追い出すけどね」
「ありがとうございます」
リラはそう言って頭を下げた。
「それと、パド」
「はい」
「あんたはラクルス村に戻りな」
「え、でも……」
リラの方をちらっと見る。
彼女をここに置いて、僕だけ村に戻って良いのだろうか?
それに、村長や両親は僕を許してくれるだろうか?
「あんたが今やるべきことは、両親に自分の無事を知らせることだろう? 今こうしている間も、あんたの両親は悲しんでいるかもしれないんだよ」
そうだ。
お父さんやお母さんはきっと僕が死んだと思っている。
ジラやキドやスーンや村長も責任を感じているかもしれない。
自分の無事を知らせるのは僕の義務だ。
「でも、みんな僕のことを許してくれるでしょうか?」
これだけ勝手なことをしでかしたのだ。
きっと村長もお父さんも怒っている。
やっぱり僕の力は受け入れられないと思われたかもしれない。
「許してもらえるなんて期待はするな。許してもらえるまで謝って、それでも許してもらえなかったら相手を恨まず自分を省みろ。
だが、このままでは村長達も、許す許さない以前の話だ」
その通りだ。
僕はちゃんと村に戻って、皆に無事を報告して、それから謝らなくちゃいけない。
許してもらえなかったとしても、それが僕の責任であり、義務でもあるんだ。
「村までの地図と、ついでに3日分の食料は特別サービスしてやろう。まあ、何事もなければ2日で着くだろうけど」
その言葉に、リラが言う。
「パド1人で行かせるの?」
「さすがにそこまで面倒みきれん」
いや、十分だ。
3日間寝かせてくれて、薬や食料、それに色々な知識ももらった。
これ以上何かを求めたら、それこそ図々しい。
「大丈夫だよ、リラ。1人で帰れるから。
ブシカさん、何から何まで本当にありがとうございます」
僕は頭を下げた。
人族と獣人の歴史を聞き終えて。
リラは悲しみと憤りを交えた声で、言った。
「……私はやっぱり、呪われた子じゃない。お父さんが死んだのも、お母さんが死んだのも、パドやスーンを巻き込んだのも、全部私のせいじゃない」
いや、それは違うだろう。
確かに僕やスーンやジラを巻き込んだのはリラにも責任はあるだろうけど。
リラのお父さんが殺されたのはリラのせいじゃない。
まして、お母さんの死は無関係だ。
「私は産まれてきちゃいけない子だったのよ。私のせいで、みんな、みんな……
私の命なんて、何の意味もない。なのに、私のせいで……」
そう言って両手で顔を覆うリラ。
「リラ……」
僕には何もできない。
何も言ってあげられない。
リラのせいじゃないと言うのは簡単だけど、たぶん、そんな言葉では彼女は救われない。
そっと抱いてあげたくても、チートのせいでそれもできない。
代わりにブシカさんが言った。
「もしも、あんたの命に何の意味も無いっていうならば、お父さんが殺されたことも、パドがあんたのために命をかけたことも、全部意味が無かったってことになるね」
いや、ブシカさん。
正論だけど、その言葉は今のリラには厳しすぎるんじゃ……
リラは泣き叫ぶように問う。
「じゃあ、教えてよ。私の命の意味って何!?」
だが、そのリラにブシカさんは鋭く言った。
「甘ったれるんじゃないよ。自分の命の意味なんていうのは、他人に教えてもらうもんじゃない。自分でみつけるもんだ」
その言葉に、リラは押し黙る。
確かにブシカさんの言葉は間違っていないと思う。
間違っていないと思うけど……
「私はっ!!」
叫び、立ち上がるリラ。
そのまま小屋から駆け出していく。
「リラ!!」
僕は叫ぶ。
「ブシカさん、なんで? あんな言い方したら……」
「私は私の言葉でリラに叱咤激励したつもりだよ。優しい言葉は、パドがかけてやりな。それはあんたの役目だ」
ブシカさんはそう言って、視線で僕にリラを追うように促したのだった。
---------------
小屋から飛び出したリラはすぐに見つかった。
入り口近くでうずくまって泣いていたのだ。
「リラ……」
ブシカさんは優しい言葉をかけてやれと言った。
自分は厳しい言葉で叱咤激励したから、優しい言葉は僕の役目だと。
でも、一体どんな言葉をかければいいのだろう。
僕が迷っていると、リラの方がポツリポツリと話し出した。
「ブルフおじさんはね、私達子どもに、狩りのしかたを教えてくれる先生だったの。
ナターシャおばさんはいつも陽気に笑っていて、母親のいない私のお母さん代わりだった。
ファッコムおじさんは里で一番頼りになる人でね、昔山の中で遭難したときに助けてもらった。
バウトお姉さんは、蝙蝠の羽でいつも私を抱きしめてくれた」
襲ってきた4人の獣人達のことか。
僕は単に襲ってくる敵くらいにしか思っていなかったけど、リラにとっては共に暮らしていた里の隣人でもあったのだ。
「みんな、良い人だと思っていたし、やさしかった。
それなのに、私が半分人族だって分かったら……私がつい口を滑らせたら……
それだけで、それだけのことで、お父さんは里の皆に殺された。
昨日までの優しさが嘘のように、私は里を追われた」
リラの言葉が胸に刺さる。
それは僕がずっと恐れていたことだ。
僕の隠し事がばれたら……
前世の記憶や力が知れ渡ったら、お父さんやお母さん、村長や村の大人たち、ジラやキドやテルやサンやスーンからも、恐れられ、村を追われるかもしれない。
ずっとそうに恐れて暮らしてきた。
お父さんとお母さんは僕を受け入れてくれた。
村長も今のところは。
だけど、リラは実際に昨日まで優しかった里の大人に、父親を殺され、自身も追われ、命を狙われたのだ。
「私なんて、産まれてこない方が良かったのよ」
自分自身を呪う言葉。
僕自身、なんども考えた言葉。
病気の桜勇太がいなかったら、前世の両親や弟はもっと楽だったんじゃないか。
チートや前世の記憶がある僕がいなければ、お父さんとお母さんはもっと仲良く暮らせたんじゃないか。
何度も何度もそんなことを考えた。
その言葉は自分自身への呪いだ。
他の誰がそんなことはないと言っても、呪縛となって僕らを縛り付ける。
このままじゃダメだ。
彼女は本当にダメになってしまう。
僕には、ブシカさんに言われたような優しい言葉なんて思いつかない。
かといって、厳しい言葉を投げかけて立ち直らせることもできない。
だまって抱き寄せることもできないとすれば、何ができるか。
『命の意味は他人に与えられるものじゃない』
ブシカさんはそう言ったけど、本当にそうだろうか。
あの崖の上で、お父さんに『お前が産まれたとき嬉しかった。前世の両親も同じだったと思う』と言われて、僕は救われた。
僕の命にちゃんと意味があるんだと、そう思えた。
ならば、僕がリラの命に意味を与えたとしても、いいんじゃないか?
「僕は、リラに出会えて良かったよ」
僕の言葉に、リラが顔を上げる。
「もし、リラが産まれてこなかったら、僕はリラに会えなかった。リラの命の意味なんて僕には分からないけど、でも、リラが産まれてきて、ラクルス村に逃げてきたから、僕はリラと出会えたんだ。
僕は、リラと出会えて嬉しかった。だから、きっと意味があるんだよ。
ううん、意味があると僕は思う。そして、僕がそう思う以上、やっぱり意味はあるんだ」
ああ、もう、自分でも途中から何を言っているんだか分からなくなってきた。
それでも、僕の言葉はリラに少しだけ届いたらしい。
リラの瞳から涙が消え、少しだけ生気が戻る。
「リラ。今の僕はリラを抱き寄せることができない。きっと、力で傷つけてしまうから。
でも約束する。僕はこの力を操れるようになって、いつかリラを抱きしめるって。
それを信じてもらえないかな?」
後から冷静に考えてみれば、小っ恥ずかしいにもほどがある言葉だった。
だが、今のリラには、役に立つ言葉だったらしい。
は立ち上がり、にやっと不敵に笑う。
「ふん、チビのくせに何言っているのよ」
その笑顔は、色々と無理をしているようにも見えたけれど。
それでも、彼女は笑ってくれた。
「チビって、だから僕は転生者で……」
「それでも、今はチビでしょ。どうせまだアソコもツルツル……」
「ちょ、今はそういう話じゃないだろ!?」
慌てて顔を真っ赤にして叫ぶ僕。
「ま、いいわ。いつまでも落ち込んでいても仕方ないもんね」
リラはそういうと、小屋の中に戻っていった。
――立ち直った……のかな?
よく分からないが、少なくとも少しは元気が出たらしい。
---------------
小屋の中に戻ると、リラがブシカさんに頭を下げていた。
「お願いします。私をここに置いてください」
その言葉に、ブシカさんは目を細める。
「いくらなんでも図々しいとは思わないのかい? リラ、あんたをここに置いて、私に何の得がある? 獣人達が本当に二度と襲ってこないかどうかもわからないわけだしね」
「なんでもやります。料理でも洗濯でも掃除でも、なんなら狩りでも薬草採取でも。
私、生きたいんです」
リラの言葉に、ブシカさんは「はぁ」っとため息。
「ブシカさん、僕からもお願いします」
リラは生きる意思を取り戻してくれた。
僕がその背中を押した結果でもある。
だから、僕もできる限り協力したかった。
ブシカさん、もう一度ため息。
「炊事洗濯は自分でできるよ。居候もメイドも求めちゃいない」
そりゃあそうだよなぁ。
でも、リラには他に行くところがない。
テルグスの街に行こうとしていたみたいだけど、話を聞く限り人族の祖父母にも歓迎されないだろう。
「ただ、私はここで薬師をやっている。村々と物々交換したり、行商人に卸したり。
最近腰も悪くなってきたし、内弟子なら1人居ても良いと思ってはいた」
その言葉に、リラの顔がパッと明るくなる。
「じゃあ……」
「弟子としてなら置いてやらんでもないよ。もっとも、私の教えは厳しいし、根を上げるようならとっとと追い出すけどね」
「ありがとうございます」
リラはそう言って頭を下げた。
「それと、パド」
「はい」
「あんたはラクルス村に戻りな」
「え、でも……」
リラの方をちらっと見る。
彼女をここに置いて、僕だけ村に戻って良いのだろうか?
それに、村長や両親は僕を許してくれるだろうか?
「あんたが今やるべきことは、両親に自分の無事を知らせることだろう? 今こうしている間も、あんたの両親は悲しんでいるかもしれないんだよ」
そうだ。
お父さんやお母さんはきっと僕が死んだと思っている。
ジラやキドやスーンや村長も責任を感じているかもしれない。
自分の無事を知らせるのは僕の義務だ。
「でも、みんな僕のことを許してくれるでしょうか?」
これだけ勝手なことをしでかしたのだ。
きっと村長もお父さんも怒っている。
やっぱり僕の力は受け入れられないと思われたかもしれない。
「許してもらえるなんて期待はするな。許してもらえるまで謝って、それでも許してもらえなかったら相手を恨まず自分を省みろ。
だが、このままでは村長達も、許す許さない以前の話だ」
その通りだ。
僕はちゃんと村に戻って、皆に無事を報告して、それから謝らなくちゃいけない。
許してもらえなかったとしても、それが僕の責任であり、義務でもあるんだ。
「村までの地図と、ついでに3日分の食料は特別サービスしてやろう。まあ、何事もなければ2日で着くだろうけど」
その言葉に、リラが言う。
「パド1人で行かせるの?」
「さすがにそこまで面倒みきれん」
いや、十分だ。
3日間寝かせてくれて、薬や食料、それに色々な知識ももらった。
これ以上何かを求めたら、それこそ図々しい。
「大丈夫だよ、リラ。1人で帰れるから。
ブシカさん、何から何まで本当にありがとうございます」
僕は頭を下げた。
11
あなたにおすすめの小説
魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。
名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。
絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。
運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。
熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。
そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。
これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。
「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」
知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。
「強くてニューゲーム」で異世界無限レベリング ~美少女勇者(3,077歳)、王子様に溺愛されながらレベリングし続けて魔王討伐を目指します!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
作家志望くずれの孫請けゲームプログラマ喪女26歳。デスマーチ明けの昼下がり、道路に飛び出した子供をかばってトラックに轢かれ、異世界転生することになった。
課せられた使命は魔王討伐!? 女神様から与えられたチートは、赤ちゃんから何度でもやり直せる「強くてニューゲーム!?」
強敵・災害・謀略・謀殺なんのその! 勝つまでレベリングすれば必ず勝つ!
やり直し系女勇者の長い永い戦いが、今始まる!!
本作の数千年後のお話、『アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~』を連載中です!!
何卒御覧下さいませ!!
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
スローライフ 転生したら竜騎士に?
梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる