神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう

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【断章】命の輝き

【断章7】 復活の時

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 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇

(パド/一人称)

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 ルシフの誘いを断ったとき、僕はもう助からないだろうなと思った。
 だから、次に気がつくことがあるとすれば、おねーさん神様とであったあの白い世界になるのだろうなぁと考えていた。

 だけど。
 僕が目を開けたとき視界に入ってきたのは、疲れ切った教皇の顔だった。

 ――何が、起きた?

 死ぬ寸前に一瞬意識が戻っただけ?
 いや、違う。
 体が動く。
 体力が元に戻っている。

 ――どうして?

「よかった、パドくん、気がついたのですね」

 教皇がそう言って、僕に笑いかける。
 その顔には、疲労という言葉ではすまないほどの脂汗が流れている。

 そして。
 教皇スラルス・ミルキアスは僕が上半身を起き上がらせるのと引き換えにするように、その場に倒れた。

「教皇さん……大丈夫ですか?」

 僕は慌てて這うように教皇に近づいて問う。
 教皇は虫の息のような声で、僕に言った。

「パドくん、娘を……テミアールをお願いします」

 そういう教皇は、もはや死にかけにしか見えない。
 どうして?
 なんで、僕ではなく教皇が死にかけているの?

 そこまで考えたとき、『まさか』という思いが心の中に広がる。
 かつて、ブシカお師匠様が僕らを助けてくれたときの最後の魔法。
 状況は全く違うけど、教皇、あなたは僕を……

 冗談じゃない。
 僕を助けるために教皇が命を捨てたとでも言うのか?

 くそ。
 くそっ、くそっ、くそっ。

 お母さんも、お師匠様も、リリィも、僕はっ。

 だが、それでも。
 立ち上がらなければならなかった。

 もしも僕の思っているとおりなら。
 教皇は僕に命をくれたのだ。
 そして、僕に自分の娘の後始末を託したのだ。

 だったら。

 ――やるしかないじゃないか。

 僕は立ち上がる。
 右腕がないからバランスが悪い。
 それでも。

 立ち上がって左手首の先に漆黒の刃を生み出す。

『彼女』を相手に、アル様とキラーリアさん、それにリラとピッケが戦っていた。何故ピッケまでいるのかと思うが、アル様がルシフからもらった大剣を使っていることや、ルアレさんもいることから考えれば、僕の予想通りレイクさんが呼び出したのだろう。

 天井が崩れ、空が見えているのは『彼女』がやったのか、それともピッケか。

 ――いずれにせよ。

 僕は再び、『彼女』と――テミアール王妃のなれの果てと対峙した。
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