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第二章
シトリン
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ようやく衣装の最終調整を終えたわたしは、今度はメリアンたちの許可を得て、竜舎へやってきていた。
「シトリンーーー!」
わたしが竜舎へ飛び込むと、全体的に真っ白で、翼の先へ向けて黄色に染まった羽毛を持つ、最高にキュートでふわふわなドラゴンが、パッとこちらを向いた。
「キュゥーーーン!」
シトリンは大喜びで、わたしを歓迎してくれた。他のドラゴンよりもかなり小さめとはいえ、わたしの二倍以上は体長があるので、喜びを表現しているだけなのに、かなり迫力がある。
バサバサと鳥のような羽を羽ばたかせているが、この子は皇城にいるドラゴンの両親から生まれた、れっきとしたドラゴンである。
ただ、先祖返りかなにかで、この子だけ普通のドラゴンの姿で生まれなかったらしい。処分されそうになっていたところをわたしが見つけて、ペットにしたのだ。
……だって、こんなにふわふわで可愛いドラゴンなんて、他にいないもの!
本当は、白いからシロと名付けるつもりだったのだが、周囲に大反対されてしまった。皇女のペットに相応しい名前ではないらしい。
わかりやすくていいのにと思ったけれど、翼の先が黄色いので、シロはちょっと相応しくないのではないでしょうかとリリアンに言われ、それもそうかと考え直した。確かに、プーニャのクロは真っ黒だものね。
シトリンはメリアンが提案してくれた名前だけれど、薄い黄色の宝石の名前なので、可愛くて美しいこの子にピッタリである。
羽毛のほとんどが真っ白で目立つ上に、体も生まれつき小さめだったので、軍用には適さないと判断されてしまったけれど、ペットとして飼うのなら、どんなに他のドラゴンと違っていようが構わない。骨格はちゃんとドラゴンだし、角もあるから、わたしのシトリンは間違いなく、特別に可愛いだけの、立派なドラゴンなのだ。
「グルルルル」
「キュルキュルキュル」
シトリンと戯れていると、竜舎にいる他のドラゴンたちが、存在をアピールするように鳴き始めた。シトリンだけ飼い主であるわたしに撫でられて、羨ましいのかもしれない。
「ふふっ。みんなも元気そうね!」
ルーシャスの相棒のドラゴンであるイオは特にわたしに懐いてくれているので、真っ先にやってきて、頭を下げた。ひと撫ですると、満足げにフンッと鼻息をかけられた。こういうところも可愛いのよね。
他のドラゴンたちもみんな一匹ずつ一通り撫でてあげると、わたしはシトリンのところへ戻る。「もっと私に構って!」と言わんばかりにスリスリと頭を擦り付けてくるのだから、シトリンは本当に可愛い子なのだ。
「皇女殿下! いらしていたんですか」
「ビリー! ええ。ちょっとシトリンと散歩にでも行こうかと思って。いいわよね?」
「もちろんですとも。すぐに準備いたします」
竜舎番のビリーは、ドラゴンの生態をよく知る、頼れるおじいちゃんだ。ありがたく、準備を手伝ってもらう。
「シトリン、散歩に行くよ!」
「キュウッ!」
わたしは専用の鞍をつけたシトリンへ跨がり、手綱を引いた。
バサッと白くて美しい翼を羽ばたかせ、シトリンとわたしは、大空へ飛び立った。
「キュウーーーッ!」
「あははっ、気持ちいいね、シトリン!」
もう何度もこうして空を飛んでいるけれど、毎度この爽快感はたまらない。シトリンはわたしの思う通り、皇城の周りを旋回するようにゆっくりと飛んだ。
長い歴史を感じる、大きな城だ。
初めて来た時は、ここに住むことになるなんて信じられなかったけれど、今ではすっかり慣れ親しんだ我が家となっている。
「皇女様ー!」
「殿下ー!」
下の方から、わたしを呼ぶ使用人たちの声が聞こえた。シトリンに乗って飛んでいるわたしを見つけたので、手を振っているみたい。
手を振り返すと、みんなが笑顔で、大きく腕を振り返してくれた。
……ここの人たちはみんな、本当にいい人ばかりだわ。
みんなが、わたしを皇女として大切にしてくれている。だから、わたしも皇女としてしっかり役目を果たしたいと思うし、果たさなきゃいけない。勉強は苦手だし、皇女なんて柄じゃないって思うけど。
わたしは、この国の人たちが大好きだから。
「あっ!」
修練場に、わたしの一番の仲良しであり、大好きなお友達の姿を見つけた。
「シトリンーーー!」
わたしが竜舎へ飛び込むと、全体的に真っ白で、翼の先へ向けて黄色に染まった羽毛を持つ、最高にキュートでふわふわなドラゴンが、パッとこちらを向いた。
「キュゥーーーン!」
シトリンは大喜びで、わたしを歓迎してくれた。他のドラゴンよりもかなり小さめとはいえ、わたしの二倍以上は体長があるので、喜びを表現しているだけなのに、かなり迫力がある。
バサバサと鳥のような羽を羽ばたかせているが、この子は皇城にいるドラゴンの両親から生まれた、れっきとしたドラゴンである。
ただ、先祖返りかなにかで、この子だけ普通のドラゴンの姿で生まれなかったらしい。処分されそうになっていたところをわたしが見つけて、ペットにしたのだ。
……だって、こんなにふわふわで可愛いドラゴンなんて、他にいないもの!
本当は、白いからシロと名付けるつもりだったのだが、周囲に大反対されてしまった。皇女のペットに相応しい名前ではないらしい。
わかりやすくていいのにと思ったけれど、翼の先が黄色いので、シロはちょっと相応しくないのではないでしょうかとリリアンに言われ、それもそうかと考え直した。確かに、プーニャのクロは真っ黒だものね。
シトリンはメリアンが提案してくれた名前だけれど、薄い黄色の宝石の名前なので、可愛くて美しいこの子にピッタリである。
羽毛のほとんどが真っ白で目立つ上に、体も生まれつき小さめだったので、軍用には適さないと判断されてしまったけれど、ペットとして飼うのなら、どんなに他のドラゴンと違っていようが構わない。骨格はちゃんとドラゴンだし、角もあるから、わたしのシトリンは間違いなく、特別に可愛いだけの、立派なドラゴンなのだ。
「グルルルル」
「キュルキュルキュル」
シトリンと戯れていると、竜舎にいる他のドラゴンたちが、存在をアピールするように鳴き始めた。シトリンだけ飼い主であるわたしに撫でられて、羨ましいのかもしれない。
「ふふっ。みんなも元気そうね!」
ルーシャスの相棒のドラゴンであるイオは特にわたしに懐いてくれているので、真っ先にやってきて、頭を下げた。ひと撫ですると、満足げにフンッと鼻息をかけられた。こういうところも可愛いのよね。
他のドラゴンたちもみんな一匹ずつ一通り撫でてあげると、わたしはシトリンのところへ戻る。「もっと私に構って!」と言わんばかりにスリスリと頭を擦り付けてくるのだから、シトリンは本当に可愛い子なのだ。
「皇女殿下! いらしていたんですか」
「ビリー! ええ。ちょっとシトリンと散歩にでも行こうかと思って。いいわよね?」
「もちろんですとも。すぐに準備いたします」
竜舎番のビリーは、ドラゴンの生態をよく知る、頼れるおじいちゃんだ。ありがたく、準備を手伝ってもらう。
「シトリン、散歩に行くよ!」
「キュウッ!」
わたしは専用の鞍をつけたシトリンへ跨がり、手綱を引いた。
バサッと白くて美しい翼を羽ばたかせ、シトリンとわたしは、大空へ飛び立った。
「キュウーーーッ!」
「あははっ、気持ちいいね、シトリン!」
もう何度もこうして空を飛んでいるけれど、毎度この爽快感はたまらない。シトリンはわたしの思う通り、皇城の周りを旋回するようにゆっくりと飛んだ。
長い歴史を感じる、大きな城だ。
初めて来た時は、ここに住むことになるなんて信じられなかったけれど、今ではすっかり慣れ親しんだ我が家となっている。
「皇女様ー!」
「殿下ー!」
下の方から、わたしを呼ぶ使用人たちの声が聞こえた。シトリンに乗って飛んでいるわたしを見つけたので、手を振っているみたい。
手を振り返すと、みんなが笑顔で、大きく腕を振り返してくれた。
……ここの人たちはみんな、本当にいい人ばかりだわ。
みんなが、わたしを皇女として大切にしてくれている。だから、わたしも皇女としてしっかり役目を果たしたいと思うし、果たさなきゃいけない。勉強は苦手だし、皇女なんて柄じゃないって思うけど。
わたしは、この国の人たちが大好きだから。
「あっ!」
修練場に、わたしの一番の仲良しであり、大好きなお友達の姿を見つけた。
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