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第一章
ノアルード②
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それから、オレは狭くて汚い、牢獄のような場所へ閉じ込められることになった。
凄惨な現場で、唯一の生き残りとして発見されたオレは、危険人物として隔離されることになったらしい。
……どうしてオレは殺されそうになったんだろう。どうして、気を失っている間に殺されなかったんだろう。どうして、メイドたちまで殺されなきゃならなかったんだろう……?
様々な疑問が絶えず頭の中を埋め尽くし、脳裏に焼き付いた凄惨な光景とともにオレを苛んだ。
精霊たちを通してあらゆるものを見たり聞いたりできるようになっていたおかげで、オレは牢獄の中からでも、自分の置かれている状況を多少なりとも知ることができた。
どうやら、オレを殺すよう指示したのは、オレの父親のようだった。
今まではオレの扱いを決めかねて生かしていたが、息子の後継者の座が危うくなることを恐れた王妃に懇願され、結局はオレを始末することにしたらしい。
メイドたちに知らせれば、オレに悟られたり、オレを逃がそうとする者が出たりするかもしれない。万が一の可能性も潰し、確実にオレを始末するため、いつも通りの日常の中で、あの凄惨な殺戮劇を起こしたのだそうだ。
今までずっと放置され、会いに来たこともなかったのだから、父親に何かを期待していたわけではないはずだった。それなのに、その事実は少なからずオレを打ちのめした。
その後すぐに殺されずここへ閉じ込められたのは、想定外にオレが生き残り、事件が明るみになってしまったせいらしい。
王子であるオレを理由もなく殺すことはできないため、暗殺という手段を取ったのに、失敗してしまった。だから仕方なく、危険人物として閉じ込めることにしたそうだ。
牢獄の中の生活は、ろくなものではなかった。
出される食事は、カビたパンにわずかな野菜が入った薄いスープなど、残飯のようなものばかりだった。
そしてなお悪いことに、何かの毒でも入っているのか、それを食べるといつも腹痛を起こしたり、戻したりした。即死の毒を入れないことからして、オレを衰弱死させたいようだった。オレは出される食事に手をつけるのが怖くなった。
いつもお腹を空かせるようになると、精霊たちが豆粒ほどの大きさをした果実をどこかから持ってきてくれるようになった。味がなくて美味しくはなかったが、それを一粒食べると、不思議と空腹がスッと収まった。
精霊たちによると、それはひとつ食べれば一日空腹になることがなく、なおかつ全ての栄養価が含まれるという、不思議すぎる果実だった。
その在り処は精霊たちしか知らない場所だそうで、人の世に出回ることはほとんどない、まさに伝説のような果実だ。
しかし、精霊と親しい精霊族たちにとっては、単なる非常食のようなものなのだそうだ。味がないので好んでは食べないが、栄養は摂れる便利なもの、という扱いらしい。
その果実のおかげで、オレはなんとか生きながらえることができた。
しかし、いつまで経っても弱らないオレに痺れを切らしたのか、再び複数の暗殺者がやってきた。
でも、それは予想の範囲内だったので、今度は魔法を使って撃退してやった。子供のオレに敵わなかったことが悔しかったのか、彼らは顔を歪めながらわめき始めた。
「この化け物が……!」
「誰もお前が生きてることを望んでないんだ。大人しく死ねよ!!」
暗殺者たちの言葉が胸に刺さった。
でも、オレは大人しく死んでやるつもりなんてない。
オレはさらに追い打ちをかけ、奴らを追い払った。
ひどい戦闘の跡が残る牢獄の中で、一人、オレは決意した。
……ここを出よう。
凄惨な現場で、唯一の生き残りとして発見されたオレは、危険人物として隔離されることになったらしい。
……どうしてオレは殺されそうになったんだろう。どうして、気を失っている間に殺されなかったんだろう。どうして、メイドたちまで殺されなきゃならなかったんだろう……?
様々な疑問が絶えず頭の中を埋め尽くし、脳裏に焼き付いた凄惨な光景とともにオレを苛んだ。
精霊たちを通してあらゆるものを見たり聞いたりできるようになっていたおかげで、オレは牢獄の中からでも、自分の置かれている状況を多少なりとも知ることができた。
どうやら、オレを殺すよう指示したのは、オレの父親のようだった。
今まではオレの扱いを決めかねて生かしていたが、息子の後継者の座が危うくなることを恐れた王妃に懇願され、結局はオレを始末することにしたらしい。
メイドたちに知らせれば、オレに悟られたり、オレを逃がそうとする者が出たりするかもしれない。万が一の可能性も潰し、確実にオレを始末するため、いつも通りの日常の中で、あの凄惨な殺戮劇を起こしたのだそうだ。
今までずっと放置され、会いに来たこともなかったのだから、父親に何かを期待していたわけではないはずだった。それなのに、その事実は少なからずオレを打ちのめした。
その後すぐに殺されずここへ閉じ込められたのは、想定外にオレが生き残り、事件が明るみになってしまったせいらしい。
王子であるオレを理由もなく殺すことはできないため、暗殺という手段を取ったのに、失敗してしまった。だから仕方なく、危険人物として閉じ込めることにしたそうだ。
牢獄の中の生活は、ろくなものではなかった。
出される食事は、カビたパンにわずかな野菜が入った薄いスープなど、残飯のようなものばかりだった。
そしてなお悪いことに、何かの毒でも入っているのか、それを食べるといつも腹痛を起こしたり、戻したりした。即死の毒を入れないことからして、オレを衰弱死させたいようだった。オレは出される食事に手をつけるのが怖くなった。
いつもお腹を空かせるようになると、精霊たちが豆粒ほどの大きさをした果実をどこかから持ってきてくれるようになった。味がなくて美味しくはなかったが、それを一粒食べると、不思議と空腹がスッと収まった。
精霊たちによると、それはひとつ食べれば一日空腹になることがなく、なおかつ全ての栄養価が含まれるという、不思議すぎる果実だった。
その在り処は精霊たちしか知らない場所だそうで、人の世に出回ることはほとんどない、まさに伝説のような果実だ。
しかし、精霊と親しい精霊族たちにとっては、単なる非常食のようなものなのだそうだ。味がないので好んでは食べないが、栄養は摂れる便利なもの、という扱いらしい。
その果実のおかげで、オレはなんとか生きながらえることができた。
しかし、いつまで経っても弱らないオレに痺れを切らしたのか、再び複数の暗殺者がやってきた。
でも、それは予想の範囲内だったので、今度は魔法を使って撃退してやった。子供のオレに敵わなかったことが悔しかったのか、彼らは顔を歪めながらわめき始めた。
「この化け物が……!」
「誰もお前が生きてることを望んでないんだ。大人しく死ねよ!!」
暗殺者たちの言葉が胸に刺さった。
でも、オレは大人しく死んでやるつもりなんてない。
オレはさらに追い打ちをかけ、奴らを追い払った。
ひどい戦闘の跡が残る牢獄の中で、一人、オレは決意した。
……ここを出よう。
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