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告白と、本当の気持ち
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「え……!? そ、そんなこと、できるわけ……」
ない、と言おうとしたけれど、声には出なかった。そうだ、ジェイドはよくわからない伝手とやらで、かなり詳細な情報収集をしていた。それに、彼はたまにふらっとどこかへ出かけてしまう時があった。どこへ行っていたのか尋ねても答えてくれないから、少し寂しく思っていたのだ。
……私、実はジェイドのこと、よくわかっていなかったのかな。
「どうして、そんなことをしたの……?」
攻略対象と恋愛できなかったら、私は幸せな結婚ができないかもしれないのに。もしかして、本当は嫌われていた? たった一人の家族だと思っていたから、信じると言われて嬉しかったから、全部話したのに。でも、それは間違いだったのかな。悲しくて、目の奥が熱くなる。
「わからない? アリス、本当に?」
ジェイドが私の頬にもう片方の手を添えて、親指で目の端を拭う。潤んだ視界に映る彼の表情には、私が思っていたような嫌悪はなかった。それどころか、むしろ切なげな目を向けられていて、ドキリと胸が音を立てた。
「好きだよ、アリス。恋愛なら、僕としよう?」
「……!」
急に向けられた明確な言葉と、熱の籠った視線に、顔が熱くなっていく。困惑と、疑いようもない喜びで胸がいっぱいになって苦しい。真っ赤になっただろう私の顔を見て、ジェイドは満足げに笑みを深めた。
「ごめんね。アリスがいつまでも意地を張って、自分の気持ちに向き合おうとしないから、ちょっと意地悪しちゃった」
「わっ、わわ、私の気持ちって!?」
「僕はそれほど鈍くはないよ。あいつらの情報を持って帰り始めた辺りから、少しずつ僕のことを意識してくれていたよね?」
きゃああああ! 嘘でしょ! 気持ちどころか時期まで正確に把握されていたなんて、恥ずかしすぎる!!
「なんっ、知っ……!」
「うん、気づいてた。僕はそれよりもずっと前から、アリスのことを見ていたから」
切なげにそう言われてしまえば、もう何も言えなくなってしまう。いまだに頬に添えられている彼の手がそっと肌を撫でると、全神経がそこに集中してしまって、ピリッとしびれるような感覚がした。
……そうだ。本当はずっと前から気がついていた。だって、優しくてとびきり格好よくて、おかしなことを言っても信じてくれて、私のために危険なこともためらわない人がいつも一番そばで味方になってくれたら、そりゃあ好きになってしまうじゃない!
「でもっ、ジェイドは私のこと、家族だって言ったじゃない。だからジェイドは私のこと、妹みたいに思ってるんだと……」
「あれは、アリスに安心して話してもらうためにそう言ったんだよ。妹なんて言ったことは一度もないし、思ったこともないよ」
……そ、そうだったのね……。
「それで、返事は? ちゃんと聞かせてよ」
「ひぇっ」
私の頬に触れていた彼の手がするりと顎へ滑り、クッと上を向かされた。なんという自然な顎クイ。好きな人にこんなことをされて迫られているなんて、キャパオーバーで頭が沸騰しそう。でも、どれだけ嬉しくても、頷きたくても、私はそうするわけにはいかないのだ。
ない、と言おうとしたけれど、声には出なかった。そうだ、ジェイドはよくわからない伝手とやらで、かなり詳細な情報収集をしていた。それに、彼はたまにふらっとどこかへ出かけてしまう時があった。どこへ行っていたのか尋ねても答えてくれないから、少し寂しく思っていたのだ。
……私、実はジェイドのこと、よくわかっていなかったのかな。
「どうして、そんなことをしたの……?」
攻略対象と恋愛できなかったら、私は幸せな結婚ができないかもしれないのに。もしかして、本当は嫌われていた? たった一人の家族だと思っていたから、信じると言われて嬉しかったから、全部話したのに。でも、それは間違いだったのかな。悲しくて、目の奥が熱くなる。
「わからない? アリス、本当に?」
ジェイドが私の頬にもう片方の手を添えて、親指で目の端を拭う。潤んだ視界に映る彼の表情には、私が思っていたような嫌悪はなかった。それどころか、むしろ切なげな目を向けられていて、ドキリと胸が音を立てた。
「好きだよ、アリス。恋愛なら、僕としよう?」
「……!」
急に向けられた明確な言葉と、熱の籠った視線に、顔が熱くなっていく。困惑と、疑いようもない喜びで胸がいっぱいになって苦しい。真っ赤になっただろう私の顔を見て、ジェイドは満足げに笑みを深めた。
「ごめんね。アリスがいつまでも意地を張って、自分の気持ちに向き合おうとしないから、ちょっと意地悪しちゃった」
「わっ、わわ、私の気持ちって!?」
「僕はそれほど鈍くはないよ。あいつらの情報を持って帰り始めた辺りから、少しずつ僕のことを意識してくれていたよね?」
きゃああああ! 嘘でしょ! 気持ちどころか時期まで正確に把握されていたなんて、恥ずかしすぎる!!
「なんっ、知っ……!」
「うん、気づいてた。僕はそれよりもずっと前から、アリスのことを見ていたから」
切なげにそう言われてしまえば、もう何も言えなくなってしまう。いまだに頬に添えられている彼の手がそっと肌を撫でると、全神経がそこに集中してしまって、ピリッとしびれるような感覚がした。
……そうだ。本当はずっと前から気がついていた。だって、優しくてとびきり格好よくて、おかしなことを言っても信じてくれて、私のために危険なこともためらわない人がいつも一番そばで味方になってくれたら、そりゃあ好きになってしまうじゃない!
「でもっ、ジェイドは私のこと、家族だって言ったじゃない。だからジェイドは私のこと、妹みたいに思ってるんだと……」
「あれは、アリスに安心して話してもらうためにそう言ったんだよ。妹なんて言ったことは一度もないし、思ったこともないよ」
……そ、そうだったのね……。
「それで、返事は? ちゃんと聞かせてよ」
「ひぇっ」
私の頬に触れていた彼の手がするりと顎へ滑り、クッと上を向かされた。なんという自然な顎クイ。好きな人にこんなことをされて迫られているなんて、キャパオーバーで頭が沸騰しそう。でも、どれだけ嬉しくても、頷きたくても、私はそうするわけにはいかないのだ。
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